戦闘奴隷

コーラル商会に着くと、

マヘリアさんとイリーナさんが待っていた。


「お待たせしました。」


マヘリア

「リィズちゃんとフィオちゃんはデラーノさんに預けてきたのね。

厳しい人だけど、信頼出来る人よ。

安心して行ってらっしゃい。」


「ありがとうございます。」


イリーナ

「旅に必要な荷物をまとめておきましたので積み込みましょう。」


イリーナさんが用意した荷物を積み込んで、ついに出発。

目指すはドバン帝国のアルバン。

ハモンド商会で奴隷の購入だ。




イリーナ

「なかなか速くて快適ですね。

もっと遅いのかと思ってました。」


「ボゥは暴れ牛から進化してるからね。体力もスピードもありますよ。

それにガウ、リン、ドラが周囲のモンスターが近寄らないようにしてくれてるから、邪魔されずに進めるんです。」


イリーナ

「みなさん優秀ですね。」



イリーナさんとの旅は順調だった。

気さくに話してくれるので話しやすい。コミュニケーション能力が高いんだろうね。

イリーナさんは食事の準備もテキパキやってくれる。移動しながらガウが角うさぎを狩ってくれた。それをささっと解体して調理してくれた。

食事の心配がないのはいいことだよ。


バレティアで1泊。

朝には何故か必要な物資が補充されていた。

いつの間に!?

イリーナさんは仕事が早い。


そしてアルバンに到着。

そのままハモンド商会に直行。


ハモンド

「おや?

お久しぶりですね。

リィズとフィオは元気にしておりますか?」


覚えてるんだ。

凄いな。


「元気ですよ。

今レストランで修行中です。」


ハモンド

「彼女たちの職業にぴったりですね。

それで今日はどのようなご用件でしょうか?」


「今日は戦闘奴隷を探してるんです。」


ハモンド

「なるほど。

どのような場面を想定されていますか?」


「メインはリィズとフィオの護衛です。

2人は欲しいかな。

信用出来る人が有難いです。」


ハモンド

「なるほど、人間性重視ですね。

少々お待ちください。」


ハモンドさんが奥に入ると、

イリーナ

「良いお店だと思います。

奴隷商にしては清潔ですし、奴隷の扱いも良心的なようです。」


なんか選んだお店を誉められるのって、ちょっと嬉しい。


ハモンドさんが2人の奴隷を連れてきた。


1人は25~6歳ぐらいかな。

かなりキツイ印象の女性だ。

引き締まった体は鍛え上げられている。


もう1人は20歳ぐらい。

こちらは柔らかい優しい印象の女性だ。

胸の主張が激しい。

思春期の男の子は目のやり場に困るよ。


ハモンド

「アイラ。

侍でレベル26。

マユラ。

重装歩兵でレベル14。」


イリーナ

「侍は上級職です。

レベル26ともなれば実力は問題無しです。

重装歩兵も防御力が高く護衛向きです。

レベルは少し物足りない感じはありますが、許容範囲内でしょう。

ただ、どちらも装備を用意するのにお金がかかります。

侍はスキルを使用するのに刀が必要です。刀は流通量が少ないので、価格が高くなります。

重装歩兵はその名の通り重装備を用意しないと実力を発揮出来ません。

どちらも初期投資が必要なので、実力よりがは割安に出来るのでしょう。」


ハモンド

「ご明察です。

それとアイラが安いのにはもう1つ理由があります。彼女が奴隷になったのは某大物貴族が絡んでいます。

彼女を購入すると、その大物貴族に睨まれる可能性が高いのです。

そのため、帝国内の貴族や商人は彼女に手を出しません。

彼女を購入するのは、帝国外の人間だけになります。

だから、割安に出来るのです。」


「ちなみに、奴隷になった理由を伺うことは出来ますか?」


ハモンド

「かまいませんよ。

2人とも話してください。」


アイラ

「私は帝国の軍人だった。大将役の貴族のボンボンがビビって逃げ出し、作戦は失敗。

そのボンボンの家が事実を隠蔽する為に、すべての責任を私になすりつけた。

それで奴隷送りだ。」


厳しい世界だね。

可哀想だけど、貴族の権力には勝てないんだろうね。


マユラ

「私は冒険者をやっててね。

色々あってパーティーを抜けて、新しいパーティーへの参加を焦ってたら、冒険者パーティーに誘われて、バカみたいについて行ったら、眠ったところを身ぐるみはがされて、奴隷に売り飛ばされたんだよ。」


「なっ!? そんなこともあるの!?」


この世界、厳し過ぎ。

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