ディーン先生

「すいません。色々質問して。」


ディーン

「気にしなくていいよ。

今日の午前中は君たちのコーチとして雇われているからね。

まだ昼まで少し時間があるからアフターサービスだよ。」


「それじゃあ、もう少し質問してもいいですか?」


ディーン

「もちろん。」


「最近レベルの上がりが悪いんですけど、理由ってわかりますか?」


ディーン

「ちなみに今のレベルは?」


「9です。」


ディーン

「それだとここでは上がりにくいね。

格下のモンスターだと倒しても経験値が少なくなるんだ。

西の森だとレベル5、東の平原だとレベル10ぐらいが限界って言われているんだ。

限界が近づくと、なかなか上がらないよ。

レベルを上げたいなら、場所を変えてもう少し強いモンスターを倒さないとダメだね。」


「やっぱりそうなんだ。

それとレベルが上がった時のステータスアップなんだけど、何かルールはあるんですか?」


ディーン

「職業毎の期待値と優先値だね。

レベルアップした時に貰えるステータスのアップの合計を期待値、って言うんだ。

簡単に言えば、この期待値が高ければ高いほど優秀な職業ってことになる。

一般的にその期待値によって、

標準職 期待値5以下

上級職 期待値7以下

伝説職 期待値8以上

まぁ、伝説職に出会うことはまず無いよ。」


ちなみに僕の『市民』は3しか上がらない。

リィズやフィオは4上がるらしい。

まぁ暴食があるから良いんだけどね。


ディーン

「ステータスのアップ率の差に加えて、覚えるスキルも上級職や伝説職の方が強力だ。

この職業のランク差は大きいよ。


そして職業毎に優先値が決まっている。

優先値とはどのステータスが優先的にアップするか、だね。

そうだな~、わかりやすいのは盾士とかだと、毎回丈夫さが上がるらしいね。

まぁ一般的に前衛タイプの職業は力や丈夫さがよく上がるね。

非戦闘職は器用さなどが上がりやすいらしいよ。

それにアップするステータスは各項目1とは限らない。伝説職になると+2とか+3もよくあるらしい。

羨ましい限りだね。」


なるほど。

ディーンさんの説明はわかりやすい。


ステータスは

HP・MP ・力・丈夫さ・魔力・魔法抵抗力・素早さ・器用さ、の8項目。

その8項目にレベルが上がるとポイントが割り振られる。

その割り振られ方は職業毎に傾向がある。

まぁ、戦士が魔力ばかり上がっても仕方ないからね。

ちなみに『市民』も器用さが若干上がりやすい気がする。


「確かに、期待値が8よりも高いと、絶対に+2以上の項目が出てきますよね。」


ディーン

「そうなんだ。

そしてポイントなのはレベルを上げるのに必要な経験値は同じ、というところだね。

つまりステータスの高い上級職は強いモンスターを倒しやすい。するとレベルもどんどん上がっていく。

標準職と上級職の差は広がる一方だよ。」


「だから職業は重要なんですね。」


ディーン

「その通り。

レベル1の時のステータスはそれほど変わらない。

しかし、上がれば上がる程、差は広がっていく。

長い時間を使ってから、失敗したと思わせ無いように冒険者ギルドは非戦闘職の加盟を認めていないんだよ。」


「そうなんだ。」


ディーン

「でも、非戦闘職がレベルを上げるのも無駄ではないんだよ。

職人なら器用さが高い方が良い仕事が出来る。

力の強い農民の方が沢山田んぼを耕せる。

上げたステータスは無駄にはならないよ。」


ディーンさんはリィズやフィオを見ながら言ってくれた。

優しいし、気遣いも出来る。

年齢は近いけど、僕よりもかなり大人だ。


ディーンさんには色々教えてもらった。


ディーン

「また困ったことがあったら何時でも言ってよ。」


「ありがとうございます。」


ディーン

「じゃあ、

この書類にサインと評価を書いて。」


今回のコーチは冒険者ギルドを通じての依頼だ。

依頼を終えると依頼主は評価をすることになっている。

評価はA~E。

A、B、Cは達成。

D、Eは失敗となる。


Aは大満足。但し、この評価をすると報酬を1割アップしないといけない。 だから、滅多にないらしい。

Bは満足。普通はこれ。

Cは不満あり。達成は達成だけど、少し不満が残る結果だったという意思表示。

Dは未達成。支払いが減額あるいは無し。但し、この評価をするには正当な理由が無ければならない。

Eは失敗。支払いは無し。逆に冒険者がペナルティを支払う。当然、根拠は必要。 


この評価はギルドランクのアップにも関わるらしい。



僕はサインをして、Aと書き込んだ。


ディーン

「良いのかい?有難いけど。」


「大丈夫です。ディーンさんのコーチは完璧でした。」


ディーン

「ありがとう。嬉しいよ。

じゃあ、また何かあったら声かけてよ。」

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