奴隷契約

翌朝


マヘリア

「また縁があったら会いましょ。

私はリズムリア王国のパエルモにいるから、もし来た時は立ち寄ってね。」


「ありがとうございました。

この世界に来て、マヘリアさんたちみたいな親切な人に出会えて良かったです。」


マヘリア

「簡単に人を信じちゃダメよ。

じゃあね。」




マヘリアさんの魔動車を見送ってから、僕はハモンド商会に向かった。


店の前にはハモンドさんとは違う店員さんがいた。


「すいません。

奴隷を買いに来ました。

ハモンドさんいらっしゃいますか?」


店員

「会長とお約束されていますか?」


「あ、いや、約束はありませんが、、、」


店員

「でしたら、私がご用件を伺いましょう。」


「え、あ、え」


ぐいぐい来る店員さんは苦手です。

僕が戸惑っていると、


「おや?

昨日のお客様、

もういらっしゃったのですか?」


ハモンドさん登場。


ハモンド

「店の前で話もなんですし、奥へどうぞ。」


ハモンドさんに連れられて前回の応接室へ。


ハモンド

「それで、今日はどうされました?」


「お金が準備出来たので買いに来ました。」


ハモンド

「ほう!

想像していたよりも、かなり早いですな。

それで、昨日話をしていた通りリィズとフィオでよろしいですか?」


「はい。

お願いします。」


ハモンド

「それでは契約内容の確認を行いましょう。」


ハモンドさんが合図をすると、店員が書面を持ってきた。


ハモンド

「奴隷とは契約魔法によって行動を縛ることです。

契約内容の確認は細心の注意を払う必要がございます。

悪徳業者は契約の穴を悪用してきますからね。」


「そうなんですか?」


ハモンド

「ひどいケースだと、

奴隷を渡しておきながら主人交代の手続きを行わず、夜には宿を抜けて奴隷が奴隷商人の元に戻っている。

なんてケースもあるんですよ。」


「なるほど。

それで僕はどうすればいいんですか?」


ハモンド

「私が順番に確認していきます。

まずは奴隷を縛る契約の確認です。

お名前をお教え頂けませんか?」


「馬場明良です。」


ハモンド

「アキラ様ですね。

それで契約はどの程度の強度を求めますか?

主人に害を加えてはならない、

主人の命令に従う、

というのは最低限の制約として入っています。

そこに、例えば、

離れてはいけないとか、

しゃべってはならないとか、

秘密保持とか、

そういう追加ルールです。」


「じゃあ、主人の秘密を漏らしてはならないってルールをお願いします。」


ハモンド

「わかりました。

それでは書類を整えますね。

その間に、リィズとフィオをお渡しした後のことを説明しておきます。」


「受け取った後のこと?」


ハモンド

「そうです。

彼女達は拐われてきました。

少しは回復しましたがまだ歩いて長旅出来る状態ではありません。

数日は体調の回復と確認をお願いします。」


「ハモンドさんっていい人ですね。」


ハモンド

「ハッハッハッ、いい人は奴隷商人なんてしませんよ。

強いて言えば、商人として誠実な商売をしたいと思ってはいます。

さて、そろそろ彼女達の準備が整ったようです。」


リィズとフィオが店員に連れられて入ってきた。


ハモンド

「アキラ様、契約書の内容をご確認ください。」


ハモンドさんから2枚の紙を渡された。


ハモンド

「内容に相違無ければ、その契約者の欄にご署名ください。」


契約書ってよくわからないよね。

でも契約者の欄に署名した。

署名した契約書をハモンドさんに渡す。


ハモンド

「お預かりします。

それでは続いてお支払いです。

カードでよろしいですか?」


「カードでお願いします。」


僕はギルドカードを差し出す。

そしてハモンドさんのカードと引っ付けて、11,000ウォンカを支払った。


ハモンド

「確かに受け取りました。

それでは主人変更の手続きを行います。」


ハモンドさんが紙を丸めてリィズの首輪に触れさせる。

すると、契約書が砕けて霧散していった。

同じくもう1枚の契約書をフィオの首輪に触れさせる。

再び契約書が砕けて霧散する。


ハモンド

「これで契約は完了です。

リィズとフィオの主人はアキラ様です。」

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