水場の出会い

ようやく川を見つけた。


もう昼をかなり過ぎている。

喉はカラカラだ。

川に手を入れ、水を掬う。


ゴクゴクゴク


「く~~~、うまい。」


『水を飲んだ

 HP +1』


もう1口。


『水を飲んだ

 HP +1』


ガサガサ


なんだ!?

敵か?


剣を構える。


出てきたのは、


「オオカミか、、、」


犬よりも2回りぐらい大きい。

灰色の毛並みに鋭い目。

前足も太く、その爪は脅威だ。


どうする?

テイムでしょ!


ゴブリンや角うさぎをテイムする気にはならなかったけど、オオカミは強そうだし、カッコいい。


でも、テイムってどうやってやるの?



そんなことを考えていると、どんどんオオカミが近づいてくる。

すると、一気に加速する。


飛びかかってくる!


「テイム!」


とりあえず叫んでみた。

すると僕の手から光が飛び、オオカミの額に当たる。


なんとなくわかる。

おそらく僕の力が浸透していっている感じだな。

たぶん、無制限ってなってたけど、僕より能力が高いモンスターはテイム出来ないと思う。

何が無制限なんだろう?


オオカミの体が淡く輝いた。


『あなたを我が主と認めよう。』


「おぉ!?」


頭に声が響いた。

たぶん、あのオオカミの声だ。


「よろしくね。

え~っと、」


名前を着けないと。

オオカミっぽい名前・・・


「ガウだな。ガウって名前でもいい?」


『良い名だ。よろしく頼む。』


テイムしたモンスターはステータスも確認することが出来た。


『ガウ

 グレイウルフ


 HP  6/10

 MP  7/7

 力 12

 丈夫さ 8

 魔力 5

 魔法抵抗力 6

 素早さ 14

 器用さ 8


 スキル

 連携 レベル1

 ダッシュ レベル1』


僕らのステータスから、職業とレベルが抜けた感じだ。

素早さと力が高い。

連携とかダッシュってスキルもオオカミっぽいね。


「レベルって無いんだ?」


『我々は魔石を一定数食べることで進化していく。人間とは強くなる方法が違う。』


「魔石ってどこで手に入るの?」


『全てのモンスターの体内にある。』


「そうなんだ。」


わざわざ倒したモンスターの死体を解剖なんてしないからね。知らなかった。


「とりあえずこれ飲みなよ。」


ポーションを差し出す。

何気にHP 減ってたからね。


『感謝する。』




そこからは1人と1頭の旅が始まった。

なんか心強いね。

川に沿って歩いていく。


水を入れる容器が無いのだ。

ポーションの小瓶は中身を飲んだ瞬間に消えるし。まさにファンタジー。

時折水を飲み、食べられる物を探す。

やっぱり火が無いのがキツイ。

背に腹は代えられないので、とにかく食べられそうな物は口にした。

やはり木の実が中心になるが、硬過ぎたり、苦かったり、あまり食べられない。


ガウに相談すると、


『角うさぎは人間がよく食べると聞いたぞ。』


生食はきついよ、、、


川沿いなんだから魚とか食べたいけど、捕まえる道具が無い。


我慢しながら歩き続けた。

途中モンスターが何回か出てきた。

ゴブリンとも遭遇した。

楽勝だった。

ガウがいるし、剣も装備している。

瞬殺したら、また剣が手に入った。

今回は革の盾もドロップしたが、諦めた。

そんなに持てないよ。



次第に日が暮れてきたので、野宿することにした。寝ている間はガウが見張りをしてくれるらしい。


「ガウは寝なくても大丈夫なの?」


『我も眠るが、耳は常に探知を続けている。近づく者がいればわかる。』


さすが野生。

お言葉に甘えて眠らせてもらう。

枯葉の上で丸くなる。

普通なら、とても寝られる環境ではないが、疲れが勝った。

すぐに眠りに落ちていった。



翌朝。

朝日とともに目覚めた。

なんとか無傷で生きている。


「おはよう、見張りありがとうね。」


『問題無い。夜間は夜目の利くモンスターしか動き回らん。それほど多くない。』


なるほどね。


川で顔を洗い出発の準備をする。

昨日もモンスター数体を倒した。

毎回アイテムがドロップするが、もう持ち運びの限界がきている。

制服のポケットにポーションを突っ込んでいるが邪魔だ。

剣も既に2本持っている。これ以上は厳しい。


リュックサックが欲しいな。

リュックサックをドロップするモンスターいないかな?

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