初めてのモンスター

僕たちが道を歩いていると、その声は突如聞こえた。


「ギャオゥ!」


森の中からモンスターが現れた。


ゴブリンだ!


イメージ通りのゴブリンが3体現れた。

120センチ程度の身長。

醜い顔には鷲鼻に鋭い牙。

腕は細いが、鋭い爪が伸びている。


ロールプレイングゲームでは定番のザコモンスター。

しかし、目の前にすると十分恐ろしい。


「グギャァ」


叫び声をあげながらこちらに向かって走ってくる。


「う、うわ~」

前田君が逃げ出した。


「ず、ズルいぞ!」

長田君と僕も後を追いかけた。


僕たちは道を逸れ、森の中に逃げ込んだ。

ゴブリンたちがどんどん迫ってくる。


僕らは歩き続けて疲れていたし、足場の悪い森の中を走り慣れていなかった。

でこぼこの木の根に足をとられながら走り続けた。


走り疲れた僕らは洞穴に飛び込んだ。


しかし、その洞穴は短く、隠れる場所もなかった。


僕らは追い詰められた。

3対3

戦えば勝てるかもしれない。。。


でも戦い方がわからない。

格闘技経験なんて無い。

喧嘩の経験だって無いんだ。


どうしよう、、、


迷っていると、事態が動いた。

長田君が前田君の背中を押した。


「えっ!?」

驚きの声をあげながら前田君が転ぶ。

転んだ前田君にゴブリンが殺到する。


ゴブリンたちが鋭い爪を振るう。

「ウワァァァ!」


「ん!?あれ? ギャァァァァァ!」


不自然だった。

最初の数発は血も出なかった。

大丈夫かな?と思ったら急に血が吹き出した。


そんな隙に長田君が逃げようとした。

しかし、ゴブリンの脇を通ろうとした時に見つかった。

ゴブリンが足元にタックルをした。


ゴブリンに足を掴まれ長田君が転ぶ。

前田君を殺し終えたゴブリンが長田君に殺到する。


「クソッ!?

なんでだよ!」


足を掴まれて逃げられない長田君。

這うように逃げようとするが、腕も押さえつけられる。

そして振るわれる爪。


やはり数発は血が出ない。

やっぱりか。


数発後には血が吹き出した。

止まらない、、、


返り血で血まみれになったゴブリンがこちらを睨むゴブリンたち。


なんとなく、この世界のシステムがわかった。

HP だ。

HP がある間は体にはダメージが無いんだ。

ダメージはHP を減らす。

そしてHP が0になると体に直接ダメージが入る。


ロールプレイングゲームで瀕死のダメージなのに動き回れるのは不思議だったんだけど、これなら理解出来る。



もう僕だけだ。

戦うしかない。


僕のステータスは、

 HP  20

 MP  6

 力 9

 丈夫さ 35

 魔力 6

 魔法抵抗力 6

 素早さ 7

 器用さ 8


防御特化のステータス。

前田君や長田君の防御力より格段に高いはずだ。更にHPも高いはず。


あの2人が数発耐えられたんだ。

僕なら10発以上耐えられるはず。

それまでにゴブリンを倒す!


近くにあった岩を手に取る。


やるぞ!


僕は岩を頭上に掲げて、振り下ろす。

ゴブリンは背が低い。

ゴブリンの頭にぶつかる。

なんの手応えも無い。

ゴブリンが僕に群がり爪を振り回す。

不思議と当たっている感触はあるが、痛みはない。


僕は何度も岩を振り下ろす。

すると、

「ギャワァ!」

ゴブリンの頭が砕ける。


「次だ!」


次のゴブリンに岩を振り下ろす。

その間もゴブリンが爪を振るう。

不思議なことに服すら破れない。


ゴブリンの頭をかち割る。


「残り1体!」


ゴブリンを睨み付ける。

すると、ゴブリンが逃げようとした。

ゴブリンが逃げようとするのを捕まえる。


その弾みで僕もゴブリンも転倒する。

もつれ合いながらも、なんとか馬乗りになり、岩を振り下ろし続けた。


そして、ゴブリンの顔を打ち砕いた。


「や、やった。」


『ゴブリンたちを倒した。

 レベルが1上がった。

 HP +1

 素早さ+1

 器用さ+1


 色欲レベル1を取得

 暴食と反応

 暴食がレベル+1

 色欲がレベル+1


 強欲レベル1を取得

 暴食と色欲が反応

 暴食がレベル+1

 色欲がレベル+1

 強欲がレベル+2』


なんか凄いことになってるぞ!?

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