職業発表

「私がやります!」


百田先生が名乗り出た。


エリック

「どうぞ。

緊張しなくて大丈夫ですよ。

水晶玉に手を置くだけですから。」


百田先生は頷いて、水晶玉に手を置いた。


『百田円香

 異世界人

 炎の賢者

 レベル1』


エリック

「おぉぉぉぉ!

素晴らしい!

賢者は魔法使い系トップクラスの職業です。

しかも『炎の賢者』という特別職。

これは非常に貴重な職業ですよ。」


百田先生

「ありがとうございます。

それで、特別職とはなんですか?」


カロッサ

「職業の前に言葉が入る場合を特別職と呼んでいます。

この場合、通常の賢者よりも、より炎の魔法に特化した賢者ということになります。

炎は攻撃魔法の定番ですから、人気は高いと思います。

おめでとうございます。」


エリックさんもカロッサさんもべた褒めだ。

百田先生もまんざらでもない顔をしている。


荒川君

「じゃあ、次は俺が行くぜ!」


そう言って荒川君が前に出る。


エリック

「どうぞ、こちらへ。」


荒川君が水晶玉に手を置いた。


『荒川勇紀

 異世界人

 大剣豪

 レベル1』


荒川君

「なんだよ。地味だな~。」


エリック

「素晴らしい結果ですよ。

大剣豪は私の剣士の2段階上です。

近接戦闘ではトップクラスの職業ですよ。」


カロッサ

「剣豪でも十分レアなのに。

更にその上ですから。

おめでとうございます。」


荒川君

「お、おう。」


カロッサさんが荒川君の手を握った。

金髪モデルのようなカロッサさんに手を握られて、荒川君が照れている。


荒川君に続いて、続々と水晶玉に手を置いていく。


「「おぉぉぉぉぉぉ!!」」

そして、一際大きな歓声が上がった。


水晶玉に浮かんでいたのは、


『北条雅樹

 異世界人

 閃光の勇者

 レベル1』


エリック

「まさか『勇者』が現れるとは!」


カロッサ

「勇者は全ての面で優れている究極の職業です。まさか実際に見られる日が来るなんて夢にも思いませんでした!

おめでとうございます!」


エリックさんとカロッサさんも興奮しているようだ。


クラスメイトたちも

「さすが北条だよな。」

「確かに北条君なら納得だよね。」

なんてことを話あっていた。


北条君。

成績優秀、スポーツ万能、性格も良くて、リーダーシップもある、勇者。

神様はえこ贔屓をし過ぎだと思う。



職業判定は進み、残り3人。

スクールカースト底辺の3人が残った。

もちろん僕も残っている。

僕と長田と前田。


間違いない底辺だ。


2人が前に出ないので、仕方なく僕が前に出る。

クラスメイトの大半はもう興味を失っている。底辺の僕たちにそもそも期待もしていなって感じだ。

まぁ、北条君のところがピークで。そこからは惰性になったのは間違いない。


僕は促されて水晶玉に手を置く。

すると、

『馬場明良

 異世界人

 市民

 レベル1』


「市民?」


エリック

「珍しい職業ではありませんね。

街にいる一般人に比較的よくある職業です。」


カロッサ

「市民がいないと街は成立しません。

とても、、、大事な仕事だと思います。」


これだ。。。

エリックさんもカロッサさんも蔑んだような目をしている。表情は誤魔化せても、瞳の奥にある侮蔑は隠せない。


クラスメイトたちもクスクスと笑っている。


その後の職業確認は地獄だった。

三者連続『市民』。


どうやら、どの世界の神様もえこ贔屓が好きなようだ。

スクールカースト底辺の3人がこの世界でも底辺の職業になるなんて。


僕も勇者や賢者が良かった。

主役と脇役はどこに行っても変わらないらしい。



エリック

「みなさん、

職業の判定お疲れ様でした。

なお、判定を済ませた後は、

『ステータス』と言うと自分の詳細なステータスを確認することが出来ます。

一度、お試しください。」


・・・本当か?

もしかして、最初から出来たんじゃないか?

僕たちの職業を知る為にこの方法を最初は教えなかったんじゃないか?


でも怪しんでいるのは僕ぐらいだ。

みんな浮かれてる。

こんなファンタジーな状況に浮かれている。ついさっきまで、異世界に来て不安で震えてたのに。。。

現金なもんだな。


「ステータス」

「ステータス」

「ステータス」


みんなが試している。

どうやら見えるのは本人だけらしい。


僕もやってみよう。

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