SAKE(酒)

しょもぺ

第1話 『えっ? 押したの?』

ハハッ。大丈夫さ。いつものことだ。


いつもそうなんだよ。酒をちょっと、多く飲み過ぎただけなんだよ。


悪いクセだ。あまりにも仕事が大変なので、ちょっとばかし、やらかしただけなんだ。


ふぅ~……いけいない、いけない。


いい年してるのだから、そろそろ飲み過ぎも抑えないといけないのもわかる。


う~ん……あまり記憶がないな。いかいん、いかん。


でも、大丈夫。いつものことさ。いつものように、少しずつ、記憶が回復してくるだろう。


まず、水を飲んで、トイレに行って用を足す。それから、コーヒーを飲んで落ち着くのだ。


いつものことで、いつもの、当たり前の日常。


大丈夫だ。少しばかり、酒を飲み過ぎただけのことだろう。


だって、それには理由もあるんだよ。


仕事は好きなので、少し位のガマンは出来るつもりではいる。


でもさぁ。アレだよ? アイツだよ?


やっぱ嫁がウルサイんだよ。


家族を持つと、当然というか、当たり前のように皆が問題を抱えるのもわかる。


でも、そうじゃない。家の問題はそうじゃない。特別なんだよ。


ああ、もう、どうでも良くなってきたなぁ。酔いも少し醒めてきたようだ。


めんどうくさいが、私は私の仕事を最優先しなければいけない事があるのだ。


どれ、本日の私の仕事は何だっけか……


それから、すぐに、秘書官が青ざめた顔で、この部屋に入ってきた。


「プレジデントッ! 何故、核ミサイルのボタンを押したのですかっ!」


私は、きょとんとした。それと同時に酒の恐さを知ったのだった。 おわり

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SAKE(酒) しょもぺ @yamadagairu

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