第十二章 クレリアの涙

 クレリアにできることはアストリアの腕の止血と、体の体温が下がらないように覆いかぶさることだけだった。


 彼はまだ息をしている。

 マスターはきっと自分を探してる。

 見つけてもらうのを待つしかない。


 もし傭兵さんのいのちが消えてしまうならそのときはわたしも一緒に凍え死のう……


 クレリアのほほを涙が伝った。

 わたしの身勝手な行動のために彼は死に瀕している。


 でも、だって!

 あの光景をみたら裏切られたと思うじゃない!

 それももういい。

 わたしたちは一瞬でも恋人になれた。

 そうでしょ、傭兵さん……

 おなかが減って、焚火にくべる枯れ木を集められないよ

 ごめんね、アストリア

 わたしの恋人

〝いつか泣かしてやるからな〟って、本当に泣かされてるよ


 なんだかまたねむくなってきたな……

 死んだらまたアゼルにあえるかな


 セレナさんにもあえるかもしれない

 あってみたいな


 おなじひとをすきになったから……

 あ、でもこの人あのよでハーレムつくろうとするかもしれない

 わたしとセレナさんを囲って、ふふっ

 ゆるせない

 ほんとうにえっちなんだから……


 ねえ、わたしたちは星になれるかな?

 それとも一瞬の流れ星かな


 あのひとならこう答える

〝この瞬間は永遠なんだ

 だれにもかき消せるもんか〟


 うん、わかってた……


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