最終話 その後
その後、私はメルヴァント第二王子と結婚し、2人の息子と1人の娘に恵まれた。
長男は一時的に仮の当主となっていたセジュラから当主の仕事を学び、私からの正式に当主の座を譲った。
3人はとても賢く良い子に育ち、民達からの人気も厚い。
今でもディラシファル侯爵領へとお忍びで向かい、民達との交流を絶やさないでいる。
私が当主になりたての頃に会っていた子供達は、それぞれ騎士団に入団したり、王城のメイドとなっていたりなど、平民からの大出世していた。
メルヴァント殿下は王となった兄上の補佐をしている。
私も時折手伝っている。
私と殿下は相思相愛だった。
今では幸せに、楽しく暮らしている。
シファナに奪われていた過去の事など忘れ、今では王族の一員として、民達に希望を与えたいと日々書類と向き合う。
それは、とても幸せな忙しさだった。
これは結婚してすぐ、殿下に言われた事なのだが、
「サリーエが侯爵家当主になる事を、他の貴族が絶対に許さないと思っていたんだけどね。でも反対意見なんてなくて、さらにはそうしてくれと願う貴族ばかりだったよ。
何日もかかるだろうとされていた会議は一日で終わり、その後の手続きも瞬時に完了していった。
全ては妹を最後まで責めず、耐え続けた君の勝利だね。」
と。
ふと、気になっていた事をその時に殿下に尋ねた。
シファナやお母様は今どうしているのか…と。
「彼女達は、地獄を見ているそうだよ。父親は不敬罪で終身刑。第二王子の婚約者(今では結婚しているけれど)、そんなサリーエから全てを奪った罪がある。とかで、平民達からも嫌がらせや罵声をあびているようだね。言うまでもないけど、シファナとガイディアスの婚約は、爵位剥奪の時点で破棄されているよ。……同情しているのかい?」
「いえ。自分達の行いが間違っていたということを、気付いてくれていれば良いのですが…。」
「どうだろうね。シファナは後悔していないんじゃないか?あんな性格だしな。」
「……。」
「まぁ、もう私達には何も出来ないからね。後は彼女達の態度次第さ。セシアルの方はサリーエに対しての非を認めていて、民達から許されつつあるそうだよ。シファナは変わることが出来なさそうだけど……。」
「はい……。」
私から全てを奪った妹は、地獄を見ているようです──
私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。 凛 伊緒 @rinio
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