元神さまは人間に転生して弱体化したが、元がチート神なので魔法世界でもめっちゃ浮いている話! 〜龍神さまの日常〜
ルド
転生した龍神さまだけど毎日必死です!
どうも! 転生した元龍神です!
神だった前世では色々とあって死んじゃいましたが、こうして別世界ではありますが戻って参りました!
この世界をシンプルに語るなら現代魔法世界。
現代社会の中に魔法が当たり前のように存在しています。龍神だった頃の自分も使っていたので驚きはしませんが、俺のいた世界とは仕組みの方がかなり違うようです。
まず魔法を使うには『
魔具とはよく知られる魔法の杖と同様に魔法を発現させる効果があるが、形状は杖以外にもある。多いのは腕輪タイプ(邪魔にならないから)、指輪やアクセサリーのタイプも重宝されているが、小さいものほど制作者の腕が重要になる。武器タイプも存在するが、そちらは完全に戦闘タイプの魔法の使い手が扱う魔具。それ自体に殺傷能力がある場合は
中学生から取れる資格であるが、きっと持っている人は数人であろう武器タイプの
「ほ、本当に持ってるの……か?」
「はい……木刀ですが、一応」
俺も取っちゃってるんだな実は……! けど持って来るの初めてだったから愛用の木刀(超特別性)を袋から取り出して教職員に見せたら止められたよ……! トホトホ、予想してましたー!
照れているように見られるかもだが、ポカンとした教員の視線から逃れるように頭を掻いて目を逸らしてしまう。だって仕方ないじゃん! 元神でも視線は辛いのよ!
「ふ、普段は持って来てませんが、きょ、今日の試験は実技もあると訊いたので……俺の場合これがないと結構不利なんですよ」
いや、言い訳させてくれるならこれも弱体化した肉体が悪いんだ!
封印の影響で魔力以外にも肉体まで元神さまなのに弱体化してたから! 鍛えないと流石に不味いと思って独学だけど頑張ったんだよ! いや、独学って言っても元の世界にあったドラゴン族専用(人型でも可能)の鍛錬方法を試しただけなんだって! 決してチートは使ってない! 龍族秘伝の特性プロテインを再現したくらいで……俺は無実だ!!(*ここに原因から目を逸らしている元神がいます)
「でも、確か君の魔法成績って……」
「で・す・か・ら、これがないと困るんですよ! ほら、体術だとアタリどころが悪いと大変でしょ!?」
興味本位で当時覚えてなかった龍族専用の剣術まで覚えてしまった所為でこっちの方が寧ろ安心して同級生と『手加減して』戦えるようになった。封印の影響で遠距離や中距離系の魔法が苦手だから普通に殴るとオリハルコン(この世界で一番硬い金属)並みに頑丈な肉体である事がバレる! ……い、いや、筋肉もセーブすればそこまで具体的にバレる事はないと思うが……殴られた相手の体が間違いなく潰れます。強化魔法を使っててもアウトだと思う!
武器タイプの魔具の所為で目立つかもしれないが、これだけは絶対に譲れません!
相手の生死が掛かってるんだ! 俺はまだ青春というものを謳歌したい!
「わ、分かった分かった。とりあえず登録するからこっちに持って来てくれ。言っておくが、ライセンスがあっても大怪我負わせたら最悪退学もあり得るからな?」
「分かってますよ」
というかそれは相手に言ってくれないかなー。入学してから三ヶ月が経つけど未だに優等生の意地とかプライドとかで変な理由で突っかかって来る人いるんだからー。
心なしか教員の人に問題児扱いされている気がしたが、無事に魔具(木刀)の登録を済ませた昼過ぎの午後。魔法が使用出来る実技場。
「遂に……来てしまった」
まず午前中の筆記テストは良い感じだと思う。魔法成績だと壊滅的だろうからってちゃんと真面目に勉強したが、まさか入学当時の学年でトップ3に入るとは思わなかったけど。うざったい連中からムッチャ不正だとかカンニングだとか言われたが、学校の厳重な監視の中での試験だぞ? そっち方面は専門外だから絶対速攻でバレるわ。今回も問題なく出来たからまた何か言われそうだな。
「これより実技試験を行う。番号順に前に出なさない」
と教員が次々と生徒を呼んでいき等々俺の番が回ってきたのだが……うわ、元神なのに運なしか。
「フ、お前とはな」
「めんどい」
よりにもよってウザい連中の一人と当たるとは。向こうは最初こそ俺だと知ってかイラッとした様子ではあったが、すぐに憂さ晴らしが出来るみたいなニヤケ顔で出て来た。手首には腕輪の魔具が付けられている。
深い溜息を吐いて俺も仕方なく木刀の魔具を取り出すと実技場が少し騒ついた。やっぱり珍しいですかねぇー?
「試験でも剣ならオレに勝てると? マグレが何度も続くと思うな!」
「マグレかどうか自分の目で確かめたら? もっとも――」
見えるかどうか怪しいけどな。
実技試験が始まる。離れたところから教員が合図を出した途端、ウザキャラ男子Aが腕輪を使って魔法を発動させた。
「『ファイアボール』ッ!」
バスケットサイズの炎ボールが10球。中級の炎魔法だ。高校生でも扱えるレベルの魔法だが、一度に10の炎球を出して操れるのは中々いない。プライドが高過ぎて忘れがちだが、彼も一応は優等生枠(クラスだけは)という事か。
奴の周囲で展開されたと同時に一斉に放たれる。ターゲットは当然俺だ。腹立つほど憎いからか実技だからって威力が高い気がして若干引くが……
「ッ――消えっ!?」
「いい加減学習しろよ」
出来損ない枠な俺が使える。いや、使えるようになってしまった難問と言われている超高等魔法。
あまりにも封印が酷いからと編み出したソレは、まだこの世界では確立されていない未踏の魔法の一つだったのだ。
「くそっ! もう一度……!」
懲りない男はまた炎球を飛ばして来るが、俺は溜息を吐きつつ先ほどと同じように弧を描くように木刀を振るう。以前も似たような状況で
「ふざけるなァ! こんな事があってたまるかっ! このオレが二度も……!」
「現実を受け入れらない気持ちは非〜〜常に共感出来るが、やはり最後は諦めが大事だとおm「ウルセェェェェ!」」
バンバン撃ってきます。やっぱり魔力量は結構ある方か。炎系は威力こそ高いが消耗が激しいタイプなので使う人はそんなにいないと聞く。本人は暴走している感じだが、魔法の方はしっかり撃っているので元々慣れている魔法で魔力が多いタイプのようだ。
それにしても容赦ないなー。怪我してないからいいものの。ていうか審判役の教員が全然止めに入らないのも問題ではないか? あ、俺が平然と炎球を消しているからか。撃ちまくっている生徒を見て諦めた様子で天を仰いでる。……もしかしてクラス担任でしたか? 心中お察しします。
「いや、煩いのはお前の方だから」
「何をぉぉぉ――ブッ!?」
もう聞いてられない見てられない。頭抱えたそうな教員の気持ちを汲んでせめてもの情けとばかりに俺は奴の溝内へ一打。柄の下の部分を打ち込んだ。奴や他の面々からしたらいきなりの急接近だと思うが、肉体を龍族近くまで鍛え抜いた俺の速力は人間の限界速度を軽く超えています。余程の手練れでもなければ目で追うことすら叶わないだろう。
「龍魔斬術の太刀 ―龍閃―」
「……死んでないよな?」
柄の部分で済ませたので問題なしです。……多少凹んだかもしれないけど。
うずくまった姿勢で気絶した生徒を見ながら恐る恐る尋ねる教員に対して、俺は悪意など一切ないニコニコとして笑みで返した。
胸元で十字は切りませんでしたよ?
*作者コメント*
どうも、冬眠から少し目を覚ました作者です。
色々と放り投げた作者で有名でしょうか? 仕事の憂鬱さと眠気に負けて休日は怠惰に過ごしていたらもう2月。……何やってたか思い出すのに苦労しましたが、なんとか復活?気分で一つ出してみました。試し出しなので続くか不明ですが、一応生存報告ついでに考えていた一つを作ってみました。
未だ名無しの元神様の第二の人生。果たしてどんな学園生活になることか……続くかなぁ?
元神さまは人間に転生して弱体化したが、元がチート神なので魔法世界でもめっちゃ浮いている話! 〜龍神さまの日常〜 ルド @Urudo
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