フィナーレ破壊計画!
「あった! これが【フィナーレ】の本体部分だ!」
「普通に大きいから、普通に見つかったね!」
ユーゴとアビスが城の屋上で死闘を繰り広げる中、城内に戻ったメルトたちは破壊兵器【フィナーレ】の本体を発見した。
この島全体を攻撃し尽くすだけあって、それだけの大きさを誇る破壊兵器を見上げる一同は、その巨大さに圧倒されているようだ。
複雑そうに見える構造と屋上へと延びる砲身部分をメルトたちが見上げる中、薙刀を手にしたサクラが意気揚々とそれに斬りかかる。
「これを破壊すればアビスの計画は水泡と帰すでござるな! では、早速――!!」
大きく跳躍し、振り上げた薙刀を【フィナーレ】へと叩き込もうとするサクラ。
しかし、ジャンプした彼女は途中で見えない壁にぶつかったように空中で制止すると、そのまま落下してきた。
「ぶべっ!? な、なんでござるか……!?」
「これは……防御用の結界だな。かなり厳重だぞ」
「流石のアビスも計画の肝となる兵器に何の守りも施さずに放置してはおかないか。これを突破しなければ、【フィナーレ】を破壊することは不可能だな」
見えない壁こと、【フィナーレ】を防護する結界の存在に気付いたアンヘルたちがその様子を確認する。
想像を遥かに超えた堅牢さを誇る結界の守りに彼女たちが舌打ちを鳴らす中、メルトは周囲をきょろきょろと見回していた。
「どうかしたの、メルト? 何か気になることでもあった?」
「うん……アビスの奴、シアンたちにクリアプレートを渡して手下にしてたじゃん? でも、三人の手下たちのうち、一人しか出くわしてないから、残りの二人はどこにいるんだろうって思ってさ」
メルトの言う通り、アビスはシアンたち三人にクリアプレートを与え、自身の手駒とした。
その内、シアンは城の前で遭遇し、今もリュウガと戦いを繰り広げているが……残るウォズとトリンはどこにいるのだろうか?
メルトは知らないが、トリンの方は既にロストに倒されている。しかし、それでもウォズが残っているはずだ。
てっきり二人は【フィナーレ】の守りに就いていると思っていたメルトはここまで来ても彼らが姿を現さないことに困惑している様子だった。
「ぬぬぬぬぬ……! この結界、予想以上に固いでござる! 拙者たちが力を合わせても破壊は難しそうでござるよ!!」
「確かにな。正面突破はほぼ不可能なレベルの守りだ」
「なら、結界を生み出す術式か魔道具をどうにかするしかないか。問題はそいつがどこにあるかだが……」
一方、結界の調査を行っていたアンヘルたちは、これが自分たちの攻撃では破壊しきれないものだと判断し、結界を生み出している原因を破壊することに決めたようだ。
術式か魔道具の在りかを探る一行であったが、それもなかなか難しそうである。
「馬鹿デカい【フィナーレ】を覆い尽くす上にこの固さだ。人間が長時間作り出せるもんじゃない。間違いなく、それ専用の魔道具が存在しているはずなんだが……」
「でも、それだけの魔力を発生させれいるとなると、近くにあれば私たちでも存在を感知できるはずだよね? 城の中にはそれっぽい反応はないよ?」
「ということはある程度離れた位置に設置されているということになるのだろうが、そうなるとちょっとした設備くらいの大きさになっているはずだぞ? 何故、誰も気付かない? 姿は透明化の魔法で隠せたとしても、巨大な魔力反応をごまかすことは不可能のはずだ」
「……木を隠すなら森の中、ということではござらぬか?」
城内に結界を作り出している術式の痕跡は見当たらない。その類に詳しいライハが確認している以上、そこは間違いないはずだ。
ということは、結界を生み出しているのは魔道具で、それはこの城から少し離れた位置に設置されていると……そう結論付けた一同がどうしてそれを見つけられないのかと困惑する中、サクラが呟く。
「確かに結界を生み出している魔道具からは膨大な魔力が出るでござろうが、今、この島にはそれ以上の魔力を放つ【フィナーレ】があるでござる。その影響で魔力を計測する機器や感覚に異変が起きていて、結界の方の魔道具の存在がごまかされているのではないでござるか?」
「そういうことか……! これも計算のうちだったってことか!」
「ウォズとトリンがこの場にいないのも、そっちの魔道具の防衛を担当しているからだとしたら、色々と辻褄が合うよ!」
「あとは場所だ! それさえわかれば――!!」
「……既に、そちらを調べています。式神を使い、結界から続く魔力の流れを追って、魔道具の位置を特定していますが、これは……!!」
「どうしたの、ライハ?」
式神を用いて結界を発動している魔道具の位置を特定したライハが、苦し気な呻きを漏らす。
その様子に並々ならぬ雰囲気を感じ取ったセツナに応えるように、彼女は自信が得た答えを仲間たちへと告げた。
「魔道具の位置が、離れ過ぎてる……この島の西と東に、それぞれ一つずつ設置されてるの!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます