【Word】の弱点を暴け!女子たち、決死の戦い!
「こうなったら、やれる限りのことを試してみるべきだよ! ガンガン仕掛けていこう!」
「アビスの能力だって全能じゃあないはず。きっと何か弱点があるわ」
「それを暴くためには……全力で攻撃し続けましょう!」
「ヒーローの条件その一・絶対に諦めるな! でござるな!!」
ほぼ無敵にも近しいアビスの能力を目の当たりにしても、全く心が折れる気配のないメルトたちが気合いを入れながら話し合う。
ユーゴもまた、彼女たちの輪に加わって攻撃を仕掛けようとしたのだが……それをそっとアンヘルが制止した。
「ユーゴ、お前は無理せずにアタシたちの戦いを見ててくれ」
「なに言ってんだ? アビスは強敵だ。俺たち全員で戦わないと――」
「だからこそだよ。折角、あいつの隙が見つかっても、そこを突ける奴がいないと意味がないだろう? アタシたちが全力でアビスの弱点を暴く。だから、お前はあいつをぶっ飛ばすために体力と魔力を温存しておいてくれ」
総力戦でないとアビスには勝てない。だからこそ、自分たちが前に出る。
彼に勝てる可能性が一番高いユーゴの負担を軽減しつつ、【Word】の弱点を見つけ出すために全力を尽くすのが自分たちの仕事だと語ったアンヘルは、続いてマルコスへとこう言葉を投げかけた。
「マルコス! あんたも何かを掴みかけてるんだろう? だったら、そこで見てろ。アタシたちと戦うアビスを見てたら、違和感の正体に気付くかもしれないからな」
「待て! この中で最も守りに長けているのは私だ! その私が前に出るのが一番――!!」
「そうじゃないだろ? リュウガの言葉をもう忘れたのか?」
「今の自分にできることを全力でやり続けろ……リュウガさんはそう言いました。だから、私たちは私たちができることを全力でやってみます」
「ユーゴとマルコスは私たちの戦いを見て、アビスの弱点を見つけ出して! 二人ならどうにかしてくれるって、私、信じてるからっ!」
「お前たち……!」
厳しく過酷な役目だが、ユーゴとマルコスのことを信頼しているからこそ、その役目に挑むことができる。
そう笑って言うメルトたちの言葉にマルコスが隠し切れない驚きを抱く中、アビスが声をかけてきた。
「そろそろ、話し合いも終わりになりますか? いや、別に私としては待ち続けるのは構わないのですが、あなたたちが困るんじゃ――」
【フィナーレ】の発動時間まで時間がないぞと、暗にユーゴたちを挑発しながら余裕綽々といった態度を取っていたアビスであったが、自分の前で弾ける風の矢を目にしてその言葉を途切れさせた。
二発、三発、四発……と、まるで手を止める様子もなく矢を射かけ続けてくるセツナの姿を見た彼は、やれやれと言った態度で首を振る。
「まったく、乱暴な子たちだ。相手の話の邪魔をしていけないというマナーを守ろうとする気持ちが見えない」
自分にとって、無駄な抵抗としか思えない攻撃を繰り出すセツナのことを嘲笑いつつ皮肉るアビス。
そんな彼を挟み込むようにして、アンヘルとサクラが突撃しながら武器を構える。
「サクラっ、行くぞっ!!」
「合点承知でござるっ!」
「ふむ、なるほど。そう来ましたか」
セツナからの射撃を受けながら、左右から迫る二人の姿を見やったアビスが呟く。
そのまま、何の防御行動も取らずにいる彼へと接近したアンヘルとサクラは、巨大なハンマーと薙刀を思い切り振り抜いてみせた。
「せやああああああああっ!」
「ふっ! はあああああっ!!」
「はははっ! だから、無駄ですって!」
強烈なハンマーの打撃と、鋭い薙刀による斬撃。そこにセツナの射撃を加えたコンビネーション攻撃を繰り出す女子たちであったが、それにもアビスは全く動じない。
現に彼女たちの攻撃は彼の周囲に存在する見えない壁のようなものに阻まれ、標的であるアビスに直撃することはなかった。
「ちっ……! これもダメか!?」
「あなたたちの考えはわかりますよ。打撃、斬撃、射撃と、属性の違う攻撃を同時に叩き込めば、どれか一つは私に届くんじゃないかと思ったんですよね? ですが、そういうの関係ないんです。だから【Word】は、私は、最強なんですよ!!」
そう叫びながらアビスが腕を振れば、激しい衝撃波がアンヘルとサクラを襲う。
その衝撃に吹き飛ばされる二人であったが、逆にアビスからの反撃も予想していた彼女たちは即座に体勢を立て直すと、次なる攻撃に打って出た。
「ならば、これならどうでござるかっ!?」
薙刀の刃に水を纏わせたサクラが、叫びと共にそれをアビスへと放つ。
アンヘルは変形させた魔道具から炎を、セツナは強烈な暴風を、さらにそこにライハが加わり、雷を放ち、四方からアビスを攻撃したのだが……?
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