ブギウギ!武器紹介!

「じゃじゃ~ん! ポルルの腕を使って作った、巨大ハサミ! 腕にすっぽりと嵌めてお使いください!!」


「うおっ! でっかっ!?」


 最初にエレナが取り出したのは、腕を覆う装甲と巨大な鋏が一体化したような武器だった。

 マルコスのギガシザースが盾の部分をメインにしているとすれば、こっちは鋏の部分がメイン。攻撃用の武装だ。


「とうっ! はっ!! どう? 格好いい?」


「うん! それにしても、アンさんが言ってた通り、本当に大きな武器だね……!」


「重さはすごいけど、硬さもすごいよ! それに、威力もすごい!!」


「カニカニカニカニ! カニカニ~ッ!」


 早速、その使い心地を確認すべく腕を嵌めて巨大ハサミを振り回したユーゴが決めポーズを取る。

 その後、マルコスへとバトンタッチした彼が見守る中、ポルルが用意した疑似標的である人形の前に立ったマルコスは思い切り腕を振りぬき、ハサミでそのターゲットを攻撃してみせた。


「おお……っ!!」


 ドゴォンッ! という大きな音が響く。

 大きさに見合った重量とポルルの甲殻の硬さを併せ持つ巨大ハサミをぶん回しての一発はユーゴたちの想像以上の破壊力を有しており、人形は粉々になっていた。


「ねっ! すごいでしょ~!? あとは鋏の部分も魔力を込めながら扱えば、この程度の岩なら……ほら!」


 マルコスからハサミを受け取り、自分の腕に嵌めたエレナがちょきんちょきんとそれを動かしながらこれまたポルルが用意した岩を掴む。

 斬るというよりかは挟んで砕くという感じではあったが、打撃だけではなく斬撃攻撃としても使える巨大ハサミのデモンストレーションを見せてくれた彼女へと、ユーゴたちは目を輝かせながら頷いてみせた。


「いいな、これ! とうっ! というよりかはなあれだけど、破壊力のある近接武装とか、マルコスが今、欲しがってるものじゃん!」


「硬さは十分。普通にブラスタ以上だ。元々の素材がいいのもあるが、それをしっかり加工してさらに堅牢にしてる。すごいな……!!」


「カニカ~ニ~!」


 コンコンと装甲部分を叩き、その硬さを確認したアンヘルが賞賛の言葉を口にすれば、素材の出所であるポルルが嬉し恥ずかしそうに頭を鋏で掻く。

 そんな中、エレナは一番気になるマルコスへと、自分が紹介した武器の評価を質問してみた。


「どう? このハサミ、すごいでしょ?」


「ああ、素晴らしい武器だ。しかし……私には合わないな」


「カ゛ニ゛ッッ!?」


 エレナの問いに対して、武器に関しては褒めつつも……自分が使うには相性が悪いと述べるマルコス。

 その答えを聞いたポルルは嬉しそうにしていた状態から濁った叫びを上げつつ振り返り、エレナも驚いた表情を浮かべている。


 自分のことを考えた上で武器を紹介してくれたエレナたちに申し訳なく思っているマルコスが、彼女たちにどう説明をすべきか迷う中、巨大ハサミを見ていたリュウガが口を開いた。


「確かにこの武器は素晴らしい。ユーゴが言った通り、マルコスが欲しがっている破壊力のある近接武装という部分は抑えている。しかし、腕から手までを完全に覆ってしまうこのハサミだと、細やかな動きができなくなってしまう。そこが気になっているんだろう?」


「……ああ、そうだ」


「う~ん、そうか……破壊力を重視し過ぎたか……」


「言われてみれば、ギガシザースも合わせると両腕でかなりの重量を負うことになるものね。長期戦になると、スタミナも心配だわ」


「そこに関してはあまり気にしていないが……やはり、手持ち武器であると嬉しい。我がままを言ってすまないが、他の武器を見せてもらえるだろうか?」


「うん! もちろんだよ! よし! じゃあ次は、ちょっと気分を変えてみようか!!」


 いい線いっていたが、ギガシザースが左腕をほぼ覆うような形状になっている以上、右腕は自在に動かせるようになっているのが好ましいとマルコスは考えているようだ。

 この巨大ハサミは右腕に嵌めて使うタイプの武器で、そうなると両腕がほぼ塞がった状態になってしまう。

 そこを気にして、申し訳ないがこの武器を却下したマルコスから追加の要望を受けたエレナは次なる武器を取り出し、一同に見せた。


「お次はこれ! ウチで人気の一品! ポルルの鋏を分解して造った双剣だよ!」


 大小一対の、黄金に輝く美しい二振りの剣を見せつけるエレナ。

 よく見れば、それは先ほどの巨大ハサミと同じく、ポルルの鋏を分解し、研磨して作り上げたものだということがわかった。


 純粋に観賞用の品として見ても価値があると思わせる一品だが、武器としての使い心地はどうか?

 それを確かめるべく、ユーゴが双剣を手に、試し斬り用の人形の前に立つ。


「よし、いくぞ! せやあっ!!」


 小さな剣での牽制から、大きな剣を振っての本命の一撃。

 ザクッ! スパッ! という音が響き、固い素材でできている人形が綺麗に両断される。


 切れ味も申し分なし、魔力を込めることでさらに鋭さを増させることができる双剣の威力を目の当たりにした一同の中でも、特に戦巫女の三人はその出来に感心しているようだ。


「いい切れ味ね。見た目も面白いわ」


「綺麗な金色をしてますし、ポルルさんの鋏を使った趣もありますね」


「拙者! あれ! 欲しい!!」


「うんうん! なんとっ!? 驚きの切れ味だな! 軽くて使いやすいし、普通に俺が欲しいかも!」


 シンプルに使いやすいということもあって、ユーゴからは高評価の双剣。

 マルコスもその良さは認めているようだが……やはり、渋い表情を浮かべながらこう答える。

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