お披露目!南の島の武器!
「あはは~。え~っと……待たせてごめんね! じゃあ、早速武器を見よっか!」
「お、おう! そうだな! どんなのがあるか、楽しみだぜ!」
若干の気まずさというか、微妙な空気が流れる中、それを振り払うような明るい声を出したエレナにユーゴも同調する。
なんにせよ、今は彼女の父が作ったという装備を見させてもらおう。そう考え直したユーゴたちは、エレナに案内されて工房内にある広めのスペースへとやってきた。
おそらく、ここは武器を試すために用意されたスペースなんだろうなと、ルミナス学園の工房内にも似たような空間があったことを思い出したユーゴが頷く中、エレナが近くにある装備棚を開く。
「はいは~い! お待ちかね~! これが私のパパが作った装備だよ~!」
「おお、こりゃすごい……!!」
「思ったよりたくさんの装備がある……! 種類もいっぱいだ……!!」
お披露目された装備たちにまず真っ先に食い付いたのは、アンヘルとフィーだ。
技術者としての心を刺激されるのか、想像以上の数や種類を揃えている装備たちに釘付けになっている。
二人から一歩引いた位置でその装備たちを眺めたユーゴたちもまた、感嘆の吐息を漏らしながら感想を述べた。
「すげえな。滅茶苦茶作りがしっかりしてる。どれもこれも、全部強そうだ」
「本当ね。一流の技師が作った魔道具と比較しても、遜色ない出来だわ」
「でっしょ~!? パパは本当にすごいんだから!」
「カニカ~ニ~ッ!」
えっへん、と二人揃って胸を張るエレナとポルル。
二人が自慢するだけあって、彼女の父親が作った装備はどれもかなりの完成度を誇っている。
こういう部族が使う武器といえば、木の棒の先端に尖った石なんかを取り付けた槍というイメージがあるが……目の前にある装備たちはそんな原始人の武器のような物とはかけ離れた見た目をしていた。
一目でわかるくらいに魔物の素材をメインに据えてはいるが、そこに金属や木材といった補助の素材をしっかりと使ってそれぞれの特性を引き出しているように見える装備たちの中から、エレナが金色の輝く巨大な盾を取り出し、マルコスへと言う。
「ねえ、これなんかどう? ポルルの殻を使って作った盾! 堅さもすんごいよ!!」
「その盾はいいもののようだな。しかし、私にはこのギガシザースがある。まさか両腕に盾を装備して戦うわけにもいくまい」
「今使ってる魔道具と交換して、こっちを使う……ってわけにはいかないよね?」
「当然だ。このギガシザースは我がボルグ家に伝わる魔道具。いわば、私だけでなく先祖の誇りも詰まった代物だからな」
「そっか……ごめんね、変なこと言って!」
「構わん。それより、他の武器を見せてくれ」
「オッケー! オッケー! ちょっと待っててね~!」
マルコスのリクエストを受けたエレナが、並ぶ装備たちの中から自信を持っておすすめできる品を探し始める。
その間、夢中になって装備を見ているアンヘルとフィーに声をかけたユーゴは、彼女たちから感想を聞いてみることにした。
「どうよ、二人とも? お眼鏡にかなう品はあったか?」
「どれもこれもすごいよ! それに、ただ魔物の素材を使って武器を作っただけじゃない! 魔道具と同等の力を持つ武器もあるんだ!」
「フィーの言う通りだ。例えば、この剣に魔力を注いでみると――」
そう言いながら、アンヘルが手に持った片手剣へと魔力を注ぐ。
やや短めの、その分刀身が太くなっている湾曲したナイフのような形状のそれを見ていたユーゴたちは、その刃に深緑色の毒のようなものが浮かび上がってくる様を見て、驚きに目を見開いた。
「うおっ!? すげっ!!」
「ああ! それはこの辺に生息してる毒鳥の素材を使った武器だよ~! 毒を生成する器官を埋め込んで、それを魔力で刺激することで刃の部分に毒をこびりつかせるんだって、パパが言ってた!」
「飾りのように見える羽も、持ち手の方に毒が流れないように工夫されて取り付けられたものだ。デザインと機能を両立してる、すごい武器だよ」
「アンとフィーがそこまで言うってことは、本当にすごい代物なんだな。これを作ったエレナの親父さんも、本当にすごい技師ってことか……!」
ブラスタを信頼して預けられる二人が口を揃えて高評価を出した武器とその作り手のすごさを再認識したユーゴが大きく頷く。
そんな中、イチオシの武器たちを選び終えたエレナが、マルコスだけでなくユーゴたちにもそれを紹介すべく、全員に声をかけてきた。
「よ~し! マルコスにおすすめしたい武器、選び終わったよ! ユーゴたちも見て見て!!」
彼女に声をかけられたユーゴたちが、マルコスの横に並ぶ。
ちょきん、ちょきんと鋏を鳴らしながら小躍りするポルルと並び、ドヤ顔を見せるエレナは、自信満々といった様子で自分を見つめる面々へとプレゼンを開始した。
「え~……お待たせしました! ではでは、まずはこちらの武器のご紹介です!」
なんだかテレビショッピングを見ているみたいだなと、緊張とおどけが入り混らせながら紹介を始めたエレナを見ながら思うユーゴ。
そんな彼らへと、エレナはポルルの手を借りながら、自分が選んだ武器を紹介していった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます