最初の持ち主

『ナァ、本当に大丈夫か?』


「あぁ大丈夫だ。全て煙草が勝手に解決してくれやがる…」


『ソウハイウケドヨォ、血の量が致死量だぜ?』


この傭兵らしき男、俺を引き抜いたは良いが…。

一応俺も"魔剣"そう簡単に引き抜かれてたまるか!という意地のもと抵抗した結果、盛大に男の片腕が肩から吹っ飛んだのである。

(どうせならワイルドチックなイケおじ顔を吹き飛ばしてやりたかったが…)


『ナンデ俺を引き抜いたんだ?』


「俺が最強だという実感を得たかったんだ」


『アホみたいな理由だな』


「実際俺のギルドプレートは最高ランクのクレナイだからなぁ、最強さ。一応」


「ただ、実感が無い…」

紫煙を吐きながらそんな事をボヤきやがる


なんかムカつくな…

『…ヤッパ、腕吹き飛ばして正解だったわ。

これで最強じゃなくなっただろ。ざまぁねぇ』


「だが、これで良いんだ。そもそもギルドを辞めるつもりだったしな。

良い口実ができた──────。」



「おっと…煙草を吸いきっちまったか。だがこれで」


『ホォ〜。肩の吹っ飛んだ断面が塞がってんな』


「便利なもんだろう?」



『アァ、見事なもんだな綺麗なもんだ。だが腕まで再生はしないんだな』


「世の中そんな都合のいい能力なんざ無い…。さぁ行くぞ」

煙草に火をつけながら立ち上がる


『チョットマテ…よしこれで良い』


「ほぉ、お前さんが俺の腕になってくれんのか。───こいつは良いもんだな。俺の元腕と変わらん、腕が真っ黒な点を除きゃぁな」


『流石に色までは変えられねぇ。だが十分だろう?』


「あぁ十分だ。さ、行くぞ」


『行く宛なんざあんのか』


「無い」

『オイ』


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2振りの剣 由良戯 @dke3050

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