第23話 父の死そして娘の結婚
7月の終わり父が亡くなった
5月に妹が再婚すると彼を連れて病院へ行き
もうぼんやりとした記憶の中にいた父が
その彼を妹の前の旦那様だと勘違いしながらも『今度は幸せになるんだよ』と言ったらしい
お腹には赤ちゃんもいるらしく籍だけ入れると挨拶もほどほどにたった一人で嫁いで行った
少し目立ち始めたお腹をさすりながら葬儀の手伝いをしてくれる妹と交代で食事の買い出しや
遠くから来てるれる娘達や姉達の送迎をしていて葬儀までの3日間があっという間に過ぎていく
彼にも父が亡くなったことを伝えしばらく行けないと言った
職場から葬儀の日程等の聞き取りといつから仕事に出れるのかと聞かれた
確かに亡くなる前の数日も無理を言って休ませてもらったしいつまでも休む訳にはいかないのはわかっていたけど…悲しむ余裕も貰えないのかと思えた
通夜では久しぶりに集まった兄弟姉妹達と父の武勇伝や思い出話に華が咲いた
葬儀も思っていた以上に沢山の人に来てもらいらしくないほど棺に花を入れてもらい痩せて面影は亡くなったけど頬骨の出方は私たちの親だよねって姉達と少し笑ってしまった
彼も来てくれた
食事もしてもらえばと母達に言われ、呼びに言ったけれど丁寧に辞退された
『来てくれてありがとう』これだけ言うのが精一杯だった
父の葬儀も終わり普段の生活に戻った
姉が家に居るのを除けば
いつの間にか姉の荷物が家に届いていたのもびっくりしたけど
数ヶ月後
長女から電話があった
『結婚しようと思います。書類を揃えてください』
『そう、結婚決めたのね。良かった。』
『うん』
『結婚式とかはどうするの?』
『家の家系は結婚式をすると別れるのでしたくないって言ってある』
『まぁ確かにそうなってるんだけど、向こうのお父さんお母さん納得されたの?』
『今の時代そんなのは子供たちの自由だから思うようにしていいって、結婚式はしなくても写真位は記念に撮ったら?って言ってくれてるから写真だけは撮る予定』
『ごめんね。結婚式させてあげれなくて』
『別にお母さんのせいじゃないから気にしないで』
『向こうのお父さん達が母さんに会いたいからいつかご飯でも一緒に食べましょうって』
『うん。ご挨拶もできてないものね』
その年の11月長女は嫁いだ
娘には言ってなかったが私と同じ日に入籍したらしい(どうか娘がずっと幸せでもいてくれますように)
長すぎる恋は時々疲れてしまう 佐月 倭 @kurokuro0212
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