第6章 そしたらずっと一緒にいられるね
04
仕事納めは一昨日。
昨日はいつも通り。
年末くらい私の作ったご飯じゃないほうがいいと思って、お寿司を差し入れした。
誰もいないほうに向かって酒盛りをしていた。
床に日本酒の瓶が転がっている。
赤ら顔。
珍しい。
お酒にあまり強くないから、よほどのことがなければ飲まないのに。それこそ、月一の食事会。お寺さんの旧友にお酌されたとき以外は。
「おお、マコ。お前も来いよ。いいよな?」克仲さんは機嫌がよさそうに私を手招きした。
だから、
そこにいるのは。
一人しかいない。
「ミブキさん?」
私が正体を見抜いたからなのか、何もいなかった空間に。
白いドレスを纏ったミブキさんが座っていた。
死に装束というよりは、純白のウェディングドレス。
綺麗な人。
この人はずっと綺麗。
「お久ぶりですね、マコさん」
私はこのときすべてを悟った。
ミブキさんは、
克仲さんを迎えに来たんだ。
除夜の鐘が聞こえた。
ぼーんぼーんと。
鳴るたびに外皮が剥がされていく苦痛。
だから、私は早々に立ち去った。
お寿司を置いて。
どうすればよかったんだろう。
一緒に飲む?
まさか。
私はあの場にいる資格なんてない。
だって私は、
あなたからあの人を奪った。
奪えやなんかしないのに。
それでも一緒にいればどうにかなるかもと思って。
この関係を演じ続けた。
結果はこの通り。
不要なのは私だ。
消えるべきは最初から私一人。
わかっていた。
わかっていたんだから。
しばらく経って、様子を見に行った。
ほら、
連れて行っちゃった。
1
結婚式が卒業式の翌日になったのは、ミツ姉が「挙式は軽井沢で」とか言ったせい。
移動とか諸々に時間がかかるから一日延びてしまった。
挙句、誰の日ごろの行いが悪かったか知らないが、卒業式の日から軽井沢では大雪が降っており、移動もままならない可能性も出てきた。
この日のために生きてきたと言っても過言でないミツ姉はひどく凹んだが、式場側も数年に一度の悪天候に同情して2週間後の同じ時間に会場を押さえてくれた。たまたま空いていたとは思えないので、式場側がなんとかしてくれたのだろう。
石造りの教会。
ミツ姉が、見学する前から「絶対にここ!」と譲らなかった。1年前から予約していた。
つまり逃亡が2週間延びてしまった。
飛行機どうしよう。キャンセル料は仕方ないとして、チケット取れるかどうか。
シマもあまりの急変更に頭を抱えていた。
軽井沢は3月にも雪が降る。そりゃ2月にあれだけ降ってれば、3月に降ったっておかしくはない。か?
ミツ姉の機嫌を取り戻すことが最重要だ。
運よく参加者は血縁者だけなので、なんとか予定を開けてもらった。
俺のほうは、じいさん、ばあさん。
ミツ姉のほうも、親父さん、お袋さん。
そして、新郎新婦共通の友人枠のシマ。
ああ、なんてコンパクトな式。
まあ、終わった後にばっくれるんだけど。
そして、当日。
本日は晴天に恵まれてお日柄もよく。
式は滞りなく終わった。
さて、
シマを迎えに行かないと。
2
本当にこれでいいんだろうか。
あの日、
廃ホテルのチャペルで交わした約束を。
毎晩毎夜夢に見る。
汗びっしょりでうなされて起きる。
あの日から、
ぐっすり眠れたことなんかない。
モリの父親は死んで、母親は離婚して。
そして、
ミフギも死んでしまった。
あれだけ私との子どもが欲しいとか好きだとか結婚したいだとか言ってたのに。
クリニックで眠剤をもらう睡眠薬の量が増え続ける。
それでも全然眠れない。
モリには気づかれているだろう。
このクマじゃ、誤魔化しようもない。
私は本当に、すべてを犠牲にして、モリの好意に甘えてもいいのだろうか。
好意?
だってそうだろう。
断ったら私が死んでしまうから。
死を選ぶということは、呪いに呑み込まれるということ。
明日は、
遂にその日。
夢にミフギが出てきた。
――シマくん、それでいいの?
いいよ。もう決めたんだ。
――ミツアちゃん、悲しむよ。
わかってる。
――モリくん、ずっと苦しむかもよ。
わかってるよ、そんなこと。
私の一時の激情のために、だいじな二人を不幸に陥れていいのだろうか。
私が、
私だけが我慢すれば丸く収まるのではないか。
――手伝ってあげようか?
具体的には?
式が始まった。
ミツ姉は見たことないくらい綺麗で幸せそうだったし。
ミツ姉が幸せそうだったのでモリも嬉しそうだった。
――モリくんは、本当は自分が幸せになりたかったんだよ。
夢じゃ、
ないのか。
幽霊なのか呪いなのか。
石造りの教会に、真っ黒なドレスで飾ったミフギが現れた。
黒いヴェールと黒いアームカバー。長い長いドレスの裾を引きずっている。
まるで自分も花嫁なのだと主張するかのごとく。
ちゃっかりと私の隣に座っている。
――自分が幸せになれないから、誰かが幸せになるのを見て自分を誤魔化してるんだよ。
知ってる。
知ってるから、モリには。
幸せになってほしい。
その幸せそうな顔は、どっち?
ミツ姉が幸せそうだから?
それとも、
本当に心の底から幸せなのは、
私の隣ではないのではないのだろうか。
――シマくん、提案があるの。
どうせ碌でもないだろう。
――そんなこと言わないで。ほら、こっち。
ミフギの横に、
座っていたのは。
――どうも。シマくん。
立ち上がりそうになった。
呪いの総体。
なんでこんなところに。
姿は、
私そっくりな形をしていた。
紋付き袴で、
こっち二人も結婚式みたいだった。
ミフギのドレスが黒一色なことを除けば。
――タテマがね、身体欲しいんだって。
へえ、
まだいってるの?
3
シマがどこにもいない。
式は終わってこのあとは披露宴。
ミツ姉のお色直しが最初で最後のチャンスだと思ったのに。
約束の場所に、いつまで経っても来ない。
このままじゃ、披露宴が。
始まってしまった。
シマの不在にミツ姉も気づく。
でも幸せすぎてそれどころじゃないらしい。
俺は気になりすぎてそれどころじゃないんだが。
ケーキカットも、共同作業も、ファーストバイトもどうでもいい。
なんで、
いない?
披露宴が終わってからも、シマは見つからなかった。
怒って、もしくはつらくなって先に帰った?
シマならあり得ない話じゃないが、このあと飛行機で海外逃亡だってのに。
先に空港で待ってる?
そうゆうことか。
行ってみよう。ミツ姉が着替えている間に抜け出した。
空港に、
来てみたはいいが。
どうやって探そう。
呼び出してもらう?
いや、目立っちゃいけないし。
とりあえず発着口に。
来ない。
いない。
シマ。
なんで?
俺のこと、
嫌いになったのか?
4
一番耐えられなかったのはやっぱり、誓いの言葉を交わして、指輪を交換して、誓いの口付けをしたところ。
式の全部。
なんで私はこんな煮え繰り返りそうな場面を見せられているんだろう。
何度も何度も意識が飛びそうになった。
式が終わったら、落ち合う場所へ。
ふらふらする足を引きずって。
――モリくんなら来ないよ。
何しに来た?
闇色のドレスを引きずったミフギ。
――来ないってことを伝えに。モリくん、幸せそうだったね。
うるさい。
――やっぱミツアちゃんとお似合いだよ。シマくんもそう思ったでしょ?
うるさいうるさいうるさい。
わかってる。
わかってるんだ、そんなこと。
私だけが異常なんだってことくらい。
幸せになれるわけがない。
だって、海外逃亡だ。
犯罪者も同然だ。
私は一生眠れないままなのか。
――そんなシマくんに提案です。
さっきの話だろ?
本当に、
呪いになったら。
一生モリの傍にいられるのか?
――うん、だって、わたしだって一生シマくんのそばにいられるよ?
見えるのか?
――うん、見えてるでしょ? 話もできるし、死ぬことも老いることもない。これ以上の幸せがある?
ちょっと考えさせてくれないか。
――披露宴、覗いてみたら?
幸せいっぱいのミツ姉と、満更でもないモリ。
やっぱり、
邪魔なのは。
――決まった?
いいよ。
好きにすればいい。
タウ・デプス
***
モリ君
シマ君
ミツ姉
ミフギさん
5
シマは、
実家に戻っていた。
そのことが、
異常極まりないアラートを俺に鳴らした。
「シマ?」
シマだよな?
「結婚おめでとう、モリくん」
「シマを、どこにやった?」
シマの形をしたそれは、にやりと笑って俺の頭の上を差した。
「そこ。見えてない?」
振り返るにはまだ、
覚悟が足りない。
6
2年前に宇部の野外彫刻展で賞を取った小張エイスの作品展が、同じく宇部で開催されることが決まった。それに伴いエイは拠点を宇部に移し、独りこつこつ制作をしているらしい。
3月下旬。
エイが借りているアトリエ?スタジオ?を訪ねてもいいと許可が出た。
ミツ姉も付いて行きたがったが、謹んでお断りした。
ごめん、今回はどうしても一人で行きたかったんだ。
アトリエないしスタジオは、閉校になった小学校跡地を利用しており、入るのにちょっと躊躇われた。門を入って校舎までの長いエントランス脇に和モダンなカフェがあったので、ああここは小学校じゃないって改めて確認ができた。
入館は自由で、事務所の人にも特に何も言われなかった。
全体的に天井が低い。
案内図によると、4階建てで、講堂や大広間、ギャラリーや図書館もあるようだった。
エイの制作室は、階段を上がってすぐ。2階にある。エレベータの真ん前の部屋。
「勝手に入っていいよ」エイの声がした。
中はほぼ、小学校の教室。
違いは、机と椅子がない程度。黒板はそのままあった。
がらんした空間。
中央の地べたに、エイが座っていた。床のあちこちに粘土の残骸が散らばっている。
部屋が寒いのに、エイはシャツ1枚で腕まくりをしている。
「寒くねえの?」
「このほうが集中できる」エイがやっと顔を上げた。「ああ、よく来たね」
「元気してた?」
「見ての通り。アイディアが出ない以外はそこそこ」
同じく地べたに座ろうとしたら丸椅子を指差された。
「潰されたら困る」
「困るんならテーブルとか載せろよ」
「もうちょっと、もうちょっとなんだけど」エイが粘土を手の中で潰す。
寒いのでマフラーの襟元を締めた。
「あのさ」
「結婚おめでとう」エイが無感情に言った。俺の左手を見ている。
「どうも」
「あんまり嬉しくない?」
「いや、決まってたことだし、別になんも変わってないし」
「変わったことはそれ以外のこと?」エイが粘土を手の中で転がす。「例えば、妹が死んだとか」
「知ってたのか」
「知らないわけないよ。姉貴も巻き込まれて」
残ったのは俺たちだけ。
「妹はわかってたけど、姉貴は残念だったね」エイが手を止める。「わざわざこんなところまで押し掛けてまで話したかったのはこれ?」
「呪いの権化が」
シマの身体を乗っ取った。
「そう。それで後ろにいるんだ」エイが俺の頭の上あたりに眼を遣る。
エイには見えている。
俺は、
見えないフリをしている。
聞こえないフリをしている。
「話してあげたらいいのに。その話じゃないの?」
「タテマをシマから追い出す方法なんだけど」
「俺に訊く?」
それは、そうなのだが。
「ごめん、頼りにならない」
「いや、まあ、それはそうだし」
なんとかならないのはわかっていた。
でも他に関係者がいなかった。
沈黙。
しばらく気まずい無言が続いた。
「駄目だ。外出よう」エイが立ち上がってジャケットを肩に引っかける。「付いてきて」
電車で湖沿いの公園まで移動した。駅からけっこう歩いた。
太陽が照っているせいか、外のほうが暖かかった。
世間は春休みなせいか、小さい子どもの家族連れが目立った。
恋人よりも家族に眼が行くのは、俺の次のステージだからだろうか。
子どもか。
どうするんだろ。
ぶっちゃけ何も考えていない。
ミツ姉が望むなら応えてあげたいのが本音だけど。
そんなことを考えながら、野外彫刻が点々と並ぶ遊歩道をどんどん進んで、縦に長いとある彫刻作品の前で止まった。
「これ、俺の」
高さは目算2メートル程度。水平方向に切れば楕円寄り。
ぎらぎらする金色で塗ってある。
中身が詰まっているのか、空洞なのかは外からはわからない。
「えっと?」
「神の像で、
「へえ」
適当にぐにゃぐにゃと粘土を積み上げて、それとなく見えるように塗料を吹かしただけのような。
素人からの感想は控えよう。
「これが? 賞取ったやつ?」
「失礼だな。顔に出てる」エイが不服そうに言う。「君だって描いた絵、そんな風に言われたら傷つくだろ?」
「なんも言ってねえじゃん」
エイの力作が見えるベンチに座った。
相変わらず薄ら寒い。
「役に立たない兄貴だ」エイがどこを見るともなく言う。
「気にすんなって。アテが外れただけだから」
と言っても、エイが駄目となれば本当に誰もいなくなった。
当の本人は絶対に教えたがらないだろうし。
ミフギさんをつくることに協力したらいなくなってくれるだろうか。
駄目か。
駄目だろうな。
「実際、評価されると思ってなかった」エイが言う。「賞までもらった上に、いきなり作品展開くからそれまでに新作を少なくとも3点はつくれっていう無茶ぶり。喜んでいいのか、驚いていいのか」
「いつまで?」
「2年後。正直自信ない。見たろ? なんも進んでない」
「俺はコメントできない」
「だろ? そうゆうことだよ」エイがこちらを見る。「餅は餅屋。呪いは呪い屋。ああ、呪い屋はもういないか」
そこまで言って、エイが「いや」と、言葉を区切った。
「
「知らないけど」
「なんか父さんが、ああ、お前の父親じゃなくて
「マジ? 初耳だけど」
エイが唸りながら考え込んでしまった。
納家の分家?
巫女はこの世に一人しかいない。現巫女が亡くなれば次代にその力が引き継がれる。
そのことから考えて、分家がいたとしても持っているのはまったく別の力だろうと。
呪いとはまったく関係ないことをしていると言われてもああそう、と納得できる。
「どっちでもいいけど?」
分家がいようがいまいが、シマが戻って来るわけでもなし。
「何かヒントが得られればと思ったんだ」
「ありがと。自分でなんとかしなきゃって思ったわ」
それにしても、納家の分家か。
でもこれも誰に聞けばわかるのかわからない。わかりそうな納家の人間はもういない。
もう一回家系図でも洗うか。
ん?
確か、お袋が納家の、力を受け継がなかったほうの家系だとか言ってなかったっけな。
ふと、エイの彫刻をじっと見つめている女性(20代前半)がいることに気がついた。
白い春もののコートと、真っ直ぐに長い黒髪が対照的。
作品として眺めているというよりは、何か確かめたいことがあって、その確証を得るために検分しているといった雰囲気だった。
「ファン?」エイの肩を小突いた。
「ちょっと行ってくる」エイが溜息を吐いて女性に近づく。
会話は聞き取れなさそうだったので早々に諦めた。
ただ、女性は好印象風で、エイも満更でもなさそうだったのは遠目からでもわかった。
エイにも春が来たってことか。
かれこれ5分経過。
「ニヤニヤしない」エイが戻ってきた。
「別に~」
「なんもないよ」
「早くない?もっと引き延ばせよ」
「変なこと聞くから吃驚した」
女性はまだ作品を検分している。
お手を触れないで下さいと注意書きがなければべたべたと触っていただろう。そのくらい熱心に隅々を見つめている。
「で、なんて?」
「中に人が入れますか、て。冗談じゃないよ。意味がわからない」
5+
久方ぶりにモリくんが描いた絵には、大切な三人。
元恋人であり友人。
幼馴染であり婚約者。
そして、僕を産んだ姉。
みんながみんな、笑顔でこちらを向いている。
これこそがモリくんが心から望んだ世界。
たった一人を選べないところが、君の長所であり短所。
死ぬほど後悔したってもう遅い。
君の手に残ったのは、零しそびれたなにかの残滓。
それは呪いかもしれない。
「姉ちゃん、ありがとう」
納深風誼は死んだ。
僕を封じそびれて。
その後に僕の傍にいた姉ちゃんは、僕がつくりだした
シマくんを追い込むために。
うまくいった。
すべてがうまくいった。
姉ちゃんは、僕のお礼に笑みを浮かべ、黒い塊となって消えた。
シマくんは、僕に身体を明け渡し、僕の代わりに呪いとなった。
モリくんは、
やっと僕の目的に追いついた。
「後継者か?」モリくんが後ろを向かないようにじっと正面を見つめる。
夕刻。黄昏時。
「シマくんが強情だったからね。こうすれば早いでしょ?」
「相手は?」
「別に誰でもいいから適当に探すよ」
「ミフギさんをつくるんだな?」
ああ、最高。
「君ならわかってくれるって思ってたよ、モリくん」
モリくんの表情が明らかに青褪めた。
一歩後退する。
「下がったら後ろのシマくんにぶつかるよ?」
「うるさい」モリくんがよろけそうな足を踏ん張って耐えた。
「方法はわかるでしょ?」
「俺か?」モリくんが自嘲気味に嗤った。もう自棄になっているだけか。「冗談じゃねえよ。まだ続けるのか」
「逆に聞くよ。僕の存在意義って何? それにまだ、じゃない。ずっとやってるんだよ、僕は。僕たちは、ね」
「反吐が出る」
「そうゆう反応新鮮だね」
モリくんが初めて僕に嫌悪や憎悪の感情を向ける。
「そんな顔したってもう遅いって」
ねえ、
「手伝ってくれるよね?」
「嫌だと言ったら?」
「僕が死ぬと、後ろにいるシマくんも死ぬんだけど?」
「ぶっ殺してやる!!!」
「だから、僕が死ぬと死んじゃうんだって。ちゃんと話聞いて?」
「人質か」
「そうだって言ってるじゃん。姉ちゃんの半身である君にやってもらいたいことはただ一つ」そう言って、モリくんに顔を近づける。「ここまで言えばわかるんじゃない?」
「最悪だ」
「何言ってるの? 最高の間違いじゃない? 曲りなりも君が愛する男と子作りができるんだから」
「はっきり言わんでいい」モリくんの顔が赤い。
あれ?
これじゃあ、
モリくん喜ばせてる?
「困ったな。嫌がらせするはずだったんだけど」
そうやって生まれた次々代の巫女はいずれ、
*******
次回予告
斯くして黒は、黒と成った。
「黒が見える眼ての、あれ、やってくんない?」
時は流れ、7月。
何もかも手放した祓い巫女
神奈川県警の片山の知り合いと名乗るうさんくさい男ーー岡田が訪ねてくる。
「じゃあ、マミでいいな」
みふぎの仕事先で発見される死体。
その悉くは激しい損壊を受けていた。
「逃げてるっつうより、捜してんじゃねえかな」
「続けたらいけない、みたいな言い方だね。私としては愛しているだけだよ」
滴るような愛を説くその男は、果たして悪か、黒か。
タウ・デプス
ニンゲンが呪いになったのか。
呪いがニンゲンになったのか。
「ねえ、お願いみっふー。ふたりで、ふたりで黒を祓おう?」
「言ったじゃん。やらなきゃよかったって思うよって」
タウ・デプス 闇黒の花嫁 伏潮朱遺 @fushiwo41
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます