第10話 終

「今回はって?…まさか?」


 不穏な言葉につい、反応してしまった。


 女神はこちらに指を向けてバキュンと撃つ。

「その通り!第二弾は当然あるよね!たった一度きりの罰なんて、輪廻に戻れば忘れちゃうからね。その魂に刻まれるまで君の報いは続くんだ」


 なんという絶望。生まれて死ぬまで苦しんで、死して生まれ変わっても更に続く絶望の日々。逃げ場がない。

 自分の先を思い、脳が沸騰して気持ち悪さが胃から込み上がってくる。


「安心して、次はパターンを変えてあげる。スタートからゴールまできっちり自分で思い出せるような環境に置いてあげるよ」


 女神の言うそれは、今まで以上に過酷な一生が待っているということだろう。いくら転生すれば忘れるとはいえ、今感じる恐怖はオレへ一番のダメージだ。


 女神は更に続けて話す。


「これはね、しょうがないんだよ。平和を維持しながら人間を正すには、ひとつひとつを潰していかなきゃいけないからね。君のことは魂がきっちり矯正するまでいつまでも見守るよ」


「僕もしっかり見届けます」


 女神と道弥は微笑みを絶やさない。それがとても恐ろしい。

 たまたま女神の代理を虐めてしまった為に千倍も万倍も仕返しをされる。

 きっと世界の仕組みから外れた行為だろう。

 抗えない、受け入れるしかない。それがオレの報いなのか。


 ああ、あんまりだ。




▼▽▼▽▼▽▼▽


「ふう、やっと二巡目送れたね」


 女神は次の世界へと、たつみを送り出した。次の世界は戦いを好み、文明が未発達な剣と魔法の世界だという。おそらくこちらの世界に戻ってくるのが早くなるだろう。


 別世界へ送られたたつみはというと、直前まで絶望で悲壮な顔をさらし、立ち尽くし、ブツブツと何か呟いていた。

 全てを諦めて現実逃避をしていたのだろう。



 道弥は女神へと向き直り頭を下げる。


「僕の為に、こんなにも良くしてくれてありがとうございます」


「当然じゃない!君は私であり、カワイイ子供なんだから」


 






 たつみはこれから幾時を経て、魂の矯正を実行されるだろう。それは相手が悪かったという事実と、偶然の産物だが誰にでもあり得たこと。

 いつか、女神の考える新の平和が訪れたときは、それは理想の世界で、最もつまらない世の中かもしれない。




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 最後までお読みくださりありがとうございます。

  このお話は、私の気持ちを物語へと昇華させるために書いたものです。 実際にはあり得ないから、頭ん中で妄想するくらいは許せと思って。

 盛りに盛って、神目線でけちょんけちょんにして、書き終えて多少スッキリ。

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オレの報いは案外過酷で神は敵 @Akoco

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