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三人は、いそいでポケットから手紙をとりだして調べはじめました。


「手紙待っているなんて書いてあったけど、住所なんてどこにもない・・・。あれ?3―16―18?」


アヤミが封筒の内側に書いてある数字を発見しました。


「これが暗号?」


アヤミは見やすいように封筒を破って開きました。すると、黒で書いてある『3―16―8』の他にも、封筒と似た色のペンで数字がずらりとかいてあります。調べてみるとシュンヤとケンタの封筒にも封筒と似た色のペンで数字がずらりと書いてありました。『13ー5ー20 24ー1ー18 5―・・』


何だかさっぱりわからないけど、三人は楽しくてたまりません。

久しぶりにアキラも入れて四人で遊んでいるような気分です。

離れていても、こんな方法で遊べるなんて、アキラはやっぱり楽しいことを考える名人です。


結局、暗号の解き方はケンタがまた『少年探偵団』の本の中から探しだしました。


「並んだ数字は『本のページー行―何文字目』を意味しているはず。数字の通りに本の中から文字を拾っていけばいいんだ。例えばぼくの暗号、この『少年探偵団』の五巻から文字をひろってみると、ほら見て」


『夏休みの冒険旅行にご招待いたします』


「すごい!宝探しで見つけた本が、暗号を解くためのカギになっていたのね」


アヤミとシュンヤもさっそく暗号の解読にかかりました。

ところが、意味のある文章になりません。


「なんでかなあ、まちがってないよなあ」


シュンヤはもう一度朝礼台の下をのぞいてみました。まだ他に別のカギがかくされているのではないかと思ったからです。それをみてケンタはひらめきました。


「そうだ。わかったぞ。別々の本なんだ。三人とも封筒の色が別々だったよね。『少年探偵団』の本も一から六巻それぞれ表紙の色が違うんだ。ぼくの封筒は水色。この五巻も水色だ。封筒の色と同じ色の表紙の本が暗号を解くカギになっているんだよ」


さっそく『少年探偵団シリーズ』がそろっているケンタの家で、暗号を解読してみました。すると、こんな文章があらわれました。


『新しい家の住所です 

〇〇県○○市××町3―16―8』


黒で書かれていた数字はそのまま。暗号ではなく住所だとわかりました。


『夏休みの冒険旅行にご招待いたします』

『ぜひうちに泊まりに来てください』


三人はうれしくて思わずハイタッチ。

夏休みになったら、またアキラに会えるのです。

冒険旅行ができるのです。楽しみです。ワクワクします。


「電車の乗り換えならまかせとけ」


電車に詳しいシュンヤが、はりきってこぶしをつき出しました。


「お土産にもっとすごい暗号をつくってやろう。うんと悩ませてやらなきゃね」


ケンタもこぶしをつき出しました。


「じゃ私はアキラに手紙を書いておく」


三人はこぶしを合わせると、声をそろえて言いました。


「まってろアキラ!」


夏休みの冒険旅行に向けて、楽しい作戦会議のスタートです。

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まってろアキラ! あじみうお @ajimiuo

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