誰もが一回は思うだろう。「みんなが真面目で優しくて助け合えるような社会だったら」と。 この物語はそれを可能にする道具を作り上げた男の話である。 前半における舞台設定では「こんな世界だったらアリ、むしろなって欲しい」とまで思える。 しかし、話が進み、実態がはっきりとするにつれて、「悪意なしに起こった悲劇」が浮き彫りになってくるのが印象的。 大人は「大人びた子供」をもてはやす。 自分はどうだろう? そんなことを思った一作。