エクリプス ―蝕―

文重

エクリプス ―蝕―

 僕、マガモとカルガモのハーフなんですよ。マガモの親父がカルガモのお袋を見て、種を超えて欲情しちゃったんでしょうね。

 それはともかく、僕のこの顔周りの青緑色に輝く羽きれいでしょう? マガモに特徴的な色合いなんですが、生殖羽といって繁殖期の間だけ派手な色で、繁殖期が過ぎると地味な茶色に換羽して雌と見分けがつかなくなっちゃうんですよ。普通はね。


 僕の場合、換羽しても1年中きれいな色のままなんです。蝕(エクリプス)にならずに、常に臨戦態勢ってことですね。特異体質っていうんでしょうか。個体差ってやつですね。


 しかもマガモと一緒に渡りをせずにカルガモたちと生活しているので、もともと地味な彼らに比べるとめっちゃカッコいいみたいです。というわけでまあモテますよね。


 あれ? 急にお日様が隠れて真っ暗に。夜目が利くとはいえ、日差しの下でこそこの男っぷりが水面に映えるのに。


 ――日の光が戻ってきた! え? 僕の顔の羽の色が……。

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エクリプス ―蝕― 文重 @fumie0107

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