宇宙Re-ray
どらお
宇宙Re-ray
地球は終わりを迎えようとしていました
戦争であるとか人為的な何かではなく
太陽に飲み込まれて、という確実だった運命によって
そこで人類は思いつきました
人間、動物、虫、植物などのデータ、DNA
人間の作り出したモノの設計図、記録、音声、映像などなど
とにかくありとあらゆるデータ化可能なものを詰め込んだ
名づけて「地球人類ブラックボックス」を作り
訪れる太陽系の終焉の前に彼方
外宇宙へと送り出したのでした
地球人類の再生という儚い野望や
地球人類の存在した証を託して
或いは見果てぬ友人に向けて
そして
遥か遥か時の彼方に
宇宙空間で唯一高度な知能を獲得した生物が居ました
彼らはたまたま地球人類ブラックボックスを見つけました
しかし彼らにはそれが何なのか、分からない
ただ、被造物であることは分かるし
彼らの科学力で調査したところ
びっくりするほど、と言うか信じ難いほど
時をさかのぼった時代の被造物である事は分かりました
しかしそれがなんであるのかサッパリ分からない
分からないけれど、なんだかすごいモノだとは分かったので
彼らの文明、科学の総力を結集しての調査が、これもまた
とてもとても長い長い間にわたって続きました
ところがやっぱり、分からない
しかし彼らはあきらめませんでした
そんな彼らの星にもやがて、終わりが訪れます
終わりを前にして彼らは、彼らが発見した
「人類ブラックボックス」を遥かなる宇宙の彼方へ
その解明と、彼らの存在した証
データを託して送り出すことにしました
つまり人類ブラックボックスに
「彼らブラックボックス」が追加されたのです
そうして、彼らの時代の終わりの間際で
彼らはハっとしました
もしかして、自分たちが気が遠くなるほどかけても
解明できなかった、その何かの中身
意味というものは
もしかして
宇宙という底知れぬ無限に、孤独ではなかったのだと
暖かな気持ちを残して、彼らもまた
おしまい
宇宙Re-ray どらお @dorao1985
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