第104話



“はああああああああ!?!?”

“ファーーーーw w w w w ”

“えぐすぎw w w w w”

“きたああああああああああああああ”

“うおおおおおおおおおおおおおおお”

“どりゃああああああああああああ”

“おりゃあああああああああああああ”

“神木拓也最強!神木拓也最強!神木拓也最強!”

“神鬼畜きたぁあああああああ”

“神鬼畜最強!神鬼畜最強!神鬼畜最強!”



格闘系モンスターの討伐に、コメント欄が沸き立つ。


俺は潰れてもうほとんどダンジョンの床に回収されかかっている格闘系モンスターを見下ろした。


「まぁ…一応、ありがとう?」


こいつのおかげで一応配信が盛り上がったのも事実だ。


最後はあっけないことになってしまったが、一応感謝しておこう。


俺の力の調節がうまければ、もう少し戦闘を長引かせられたかもしれないが……まぁそれはもういいだろう。



“お礼言ってら^^”

“久々に熱い戦い見せてもらったわw”

”同接えぐすぎるだろw“

”同接150万人ww w“

”このモンスター、あまりに配信映えしすぎるw w w“

”なんつーか、正統派で強いモンスターだったなw“

”神木は相変わらずあれだったけど、にしてもこいつ強すぎるだろ“

”神木以外がこのモンスターに勝てるビジョンが見えないんだが“

“なんか途中余裕かましてパンチムダ撃ちしてたよな。あれなんだったんだ?”

“途中のあれは神木に自分の力を誇示しようとした、ってことでいいのか?”

“表情ないモンスターだったからよくわからんが、神木が同じ威力のパンチ打てると証明したら、なんかいきなり壊れ出したよな”

“もしかして神木が自分のパンチの威力についてこれたことが予想外だったんじゃね…?”

“あれで仕留められると思ったのか”

“手加減してこの探索者をいたぶったろ(ニチャァ…)みたいなこと考えてたんやろなぁ”

“結局自分が手加減されている側だったというねw”

”つか俺はダンジョンが心配だわ。崩落したりしないよな?“

”ダンジョンには自動修復機能があるからちょっとやそっとのことじゃ崩落したりしないぞ。壁や地面の岩が削れても、1日もすれば元通りだ“



コメント欄は格闘系モンスターとの戦いについて、ああでもないこうでもないと言い合っている。


同接はすでに150万人を突破していた。


格闘系モンスターと戦う前に比べて三十万人以上新な視聴者が入ってきている。



”なんかえぐいクリップ回ってきたと思ったらまたお前だったわw“

”切り抜きから来ました“

”まーたこいつ伝説作ってんの?“

”やあ^^きたお^^“

”神木さんちっす。また深層配信すか?“

”こいつまた深層に一人で潜っててわろたw“

”今度はなんの日本記録を作ったんですか?“



切り抜きから来た、クリップを見てきた、そんなコメントもたくさん届いている。


どうやらこの深層配信の切り抜きやクリップが、すでに視聴者たちによって拡散されているらしい。


ありがたい限りだ。



「切り抜き拡散ありがとうございます。今来た人のために説明すると、現在二度目の深層ソロ攻略配信に挑んでいます。現在は深層第三層です。これから第四層に潜っていきます」


たった今配信を見始めた人たちのために俺は現状を説明する。


こう言う盛り上がった配信というのは、同接が多いというだけで見にくる新規も多くなるからな。


何とかチャンネル登録まで繋げて、常連視聴者になってもらいたいものだ。


「よければチャンネル登録お願いします……スーパーチャットもありがとうございます…それじゃあ、第四層に向かいます」


すでに前方には第三層の終わりが見えていた。


モンスターの気配も感じないし、このまま第四層まで戦闘もなくたどり着くことができるだろう。


(順調だな)


同接も着実に伸び、特に危険な目に遭うこともなく、ここまで2回目の深層ソロ配信は順調と言っていいだろう。


この分だと今日中に問題なく最下層まで辿り着けそうだとそんなことを思いながら、俺は第四層を目指して歩みを進める。



= = = = = = = = = =



「くそ…まさかあんな化け物みたいなモンスターがいるなんてな…」


「拳一発で衝撃波を起こすなど…信じられん…」


「催眠ガスが効いたからよかったものの……それがなかったら我々は全滅していたぞ…」


緊張した面持ちで、特殊スーツに身を包んだ男たちがダンジョンを進んでいる。


彼らは政府が組織したダンジョン攻略のための特殊部隊だった。


総勢50名。


いくつもの探索者、いくつものクランが壊滅させられたこのダンジョンを民間に任せておくといつまでも未攻略のままだと、政府がとうとう攻略に乗り出したのだった。


あらゆる状況に対応できるように訓練され、様々な武器を携帯している特殊部隊50名は、早朝よりダンジョン攻略を開始した。


下層突破までは問題なくこなし、深層に突撃。


第一層で出現した八十尺様を、一斉掃射で削りきり、第二層でデュラハンをスナイパーが仕留め、そして第三層で出会したキョンシーを催眠ガスで眠らせて仕留めた。


彼らの手際は無駄がなく、洗練されていて、連携も十分に取れていたのだが、それでもここまで死傷者が3名出てしまっている。


つい先ほど、キョンシーの先制攻撃を喰らい、衝撃波によって3名の隊員が切り裂かれて死んでしまったのだ。


「気をつけろ…またいきなり攻撃を喰らうかもしれない…」


「せめて予兆か何かあれば対応できるのだが…」


「甘ったれるな…ここは深層だぞ…何が起きてもおかしくない場所だ…」


隊員たちは互いに注意を促しながら、銃を構え、周囲を警戒しながら深層第四層を進んでいく。


『グルゥウウウ…』


「「「「……!」」」」


不意に部隊の前方から低い唸り声が聞こえてきた。


暗闇の向こうで巨大な何かが蠢いている。


「来るぞ!」


「戦闘体制に入れ…!」


「気をつけろ!」


「あらゆる攻撃に備えるんだ!」


隊員たちはダンジョンの通路の至る所に散開し、先ほどのように衝撃波による攻撃などをまともに喰らわないような立ち位置になる。


『グァアアアアアアア!!!!』


ビリビリと咆哮がダンジョンの空気を震わせる。


果たして、部隊の目の前に現れたのは、深層最強格のモンスター、ドラゴンだった。


「ドラゴンだ!!」


「出たな化け物め…!」


「対ドラゴン戦の基本はわかっているな!?」


「ああ!!とにかく火力で押すことだ!!」


「撃てええ!!!撃って撃って撃ちまくれえええええええ!!!」


隊長がそう叫び、部隊は一斉にドラゴンに向けて発砲する。


対ドラゴン戦の基本は、とにかく火力で押すこと。


弾丸が、ロケットが、手榴弾が、次々にドラゴンに襲いかかり、集中砲火を浴びたドラゴンが悲鳴をあげる。


『ギシャァアアアアアアア!!!』


苦しげな悲鳴と共に、巨体がずぅううんと倒れた。


「やったか?」


誰かがそんなフラグのような呟きを漏らした。


「「「…っ」」」


隊員たちは、銃を構えながらドラゴンにゆっくりと近づいていった。


次の瞬間…



ぶしゅぅううううううううう



「ぐあああああああ!?!?」


「ぎゃぁあああああああ!?!?」


「ぐ、苦しい!?」


「なんだこれはぁああああ!?!?」



紫色のガスが、ドラゴンの全身から発せられ、隊員たちに襲いかかった。



= = = = = = = = = = 


ガチャ…


「桐生様。いい加減そろそろ作戦会議に参加していただかないと…」


「神木ぐぅん!?神木ぐん神木ぐん神木ぐぅうううううううん」


「あっ(察し)」


バタン…


「ん…?今誰か…?」









〜あとがき〜


新作の


『親友が突然この世界はゲームだと言い出した件〜前世の記憶を持つ主人公の親友ポジの俺、腰巾着として楽に無双〜』


が公開中です。


内容は、


•よくあるゲームキャラに転生するラノベ主人公の親友ポジにスポットを当ててみた



と言う感じです。


一風変わった無双物語として楽しめますので、ぜひよろしくお願いします。


リンク↓


https://kakuyomu.jp/works/16817330657021256327





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