第12話 謎の強き観察者!
この子、やっぱり俺のことを試そうとしている!
俺はこの時、そう確信したのだった。
だって、物凄い勢いで突進してきているあの漆黒のオークを俺が倒せなかったら自分も死ぬかも知れないってのに、
このまま彼女の思い通りになるのは少し嫌だったけど、それでももちろん何もしないわけにはいかなかった。
俺はまず、【全方位ステータス・オープン】の特殊能力を使うことにした。
これは別に全方位に自分のステータスを自慢する能力ではなくて、その逆で、敵味方関係なく(普通はパーティーメンバー以外のステータスは見ることができず、もちろん敵のステータスなど覗き見ることはできないのだ!)全方位にいる者すべてのステータスを知ることができる能力だった。
俺はこの特殊能力を使って、もちろんディープスコールオークのことを詳しく知ろうと思ったのだが、それよりも先に驚くべきことを知ってしまったのだ。
誰かがずっと見ている!
【全方位ステータス・オープン】の適用範囲である俺を中心に半径100メートルの円の中にいる者の中で、一番強いのは(強いものから順に目の前にステータスが表示されていくのだ)当然その漆黒のオークだと思っていたのだが、その円の中にそれよりもずっと強いステータスを持つ者がじっとこちらを見ているようなのである。
?????
だが、その名前すら表示されない(そんなことは今まで一度もなかった!)異常なほど高いステータスを持つ者には戦闘の意志はなく、ただ観察者としてそこにいるのだということがすぐにわかったので、かなり気になりはしたが一旦その存在は無視することにした。
でも、何の目的かは知らないが、もしもあんなやつがずっと俺たちのことを観察しているのなら、俺の本当の力は当分隠しておいた方がいいかもしれない。
そして、警戒すべきそいつの次に表示されたのが、ディープスコールオークのステータスだった。
強さはD級ではなくC級。
HPは522 MPは128
水属性魔術のランクはDで、使える魔術は攻撃系のアクアドリルと、守備系のアクアシールド。
そんな基本的な情報よりも、俺が知りたかったのはもっと深い情報だった。
【全方位ステータス・オープン】は使う者によってその精度が違ってくる。
大半の者は、今説明したような1ページ目の情報しか見ることができないのだが、俺はいつしか2ページ目以降の情報も見ることができるようになっていた。
スクロールしてページを捲っていくと、4ページ目に俺が欲しかった情報が載っていた。
――――急所はくるぶし
それを知った時には、もう漆黒のオークは俺たちのかなり近くまで迫っていた。
問題はその急所のくるぶしをどうやって攻撃するかだった。
F級の俺がC級のディープスコールオークに確実にダメージを食らわせるには、さらに弱点を突くしかなかった。
地属性の弱点は雷属性だ。
Fランクの俺が使える雷属性魔術は一番弱い攻撃力しかないリトルサンダーウルフ(小さな狼の形をした雷を放つ魔術)だけだった。
普通ならF級の俺がリトルサンダーウルフをC級の魔物の急所であるくるぶしにクリティカルヒットさせることは不可能に近い。
でも、俺には【連続攻撃(4回)】の特殊能力があった。
それと組み合わせればなんとかなりそうだ。
そう思った俺は、乗崎 麗夏たちに事前にこう説明し始めた(大嘘!)。
「実は、俺、さっきプレゼントをもらえなかったんじゃなくて、形のないあるプレゼントをもらってたんだ。そのプレゼントで今からあいつを攻撃してみるから、もしそれでうまく倒せなかった時は俺を見捨てて逃げてほしいんだけど―――」
しかし、俺がそこまで言ったところで、乗崎 麗夏がこう口を挟んできたのだ。
「言葉とは裏腹に自信満々って感じの表情ね」
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第12話も最後までお読みくださりありがとうございます!
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