第8話 動画配信やり放題!

「・・・・・・では、出発前にとっておきのプレゼントを受け取ってくれたまえ!」


 プレゼント? 


 そんなもの10回もこのゲーム世界に転移してる俺も一度ももらったことがないぞ!

 

 超マイナーロールプレイングゲーム『サーザントピアス』にもそんなオープニングイベントはなかったはずだ。


 そんなことを思っていると、すぐに天から白いプレゼントボックスのようなものがゆっくりと各人に降ってきたのだが、なぜか俺にだけはいつまで経ってもその箱が降ってこなかったのだった。


「おーっ! 超カッコいい剣だぜ!」


「なんだよ、俺は盾かよ!」


「僕なんて回復薬だよ! めちゃいっぱい入ってるけど」


    

         ⚫



「スマホだ! しかも5Gでバリバリ繋がってるし! それに充電不要? これで動画配信やり放題じゃねぇかよ! ・・・・・・ルテルスモード? なんだよ、これ? タップしてみっか? ・・・・・・えっ? おれ透明になってねえか? おいおい! ステルスモード中はおれに対する攻撃は全て無効? でも、おれからも攻撃できない? なんだよ、それ? いや、でも、これで誰にも気づかれずに配信できるってことだよな! なんの危険もなく! ・・・・・・それじゃあ、あとはどのパーティーに同行するかだな! これミスったらマジ終わりだからよく考えねえとな! 大金持ちになれるかどうかの大事な選択なんだからよ!」



         ⚫



 みんなプレゼントボックスを開けて一喜一憂いっきいちゆうしている。


 そんな中、天の声のおっさんが俺だけに聞こえる声でこうささやいてきたのだった。


「君はいらないよね? ・・・・・・でも、何もないのはかわいそうだから、すでにこの世界を10度救った功労者の君には、特別にステータスを自由に調整できる能力をさずけてやろう! 最強すぎたらそれはそれでドン引きされて結局ぼっちになってしまうだろうからな! 今回こそはパーティーを組む気なら、うまくステータスを調整してパーティーのメンバーに最強だってことがバレないようにせいぜい頑張りなさい! ただし、ステータスを調整したら、当たり前だが、本当にその調整した数値の強さになってしまうから気をつけるように。あと、特に戦闘中にステータスを上げる場合は、5、6分くらいその変更が採用されるまでタイムラグがあるからそれも注意するのだぞ!」


 実は俺もあのステータスをみんなに見られた時点で変人扱いされるかもしれないと心配していたのだ。だから、正直ステータス調整能力はすごくありがたかった。


 まあ、最初はこれくらいにしとくか。



【トキオカ・ナオハル】

冒険者レベル 1

職業 なし

HP 52

MP 56

攻撃 98

防御 99

力  41 

俊敏 46

炎属性魔術  F

氷属性魔術  F

水属性魔術  F

雷属性魔術  F

風属性魔術  F

地属性魔術  F

樹属性魔術  F

闇属性魔術  F

幻術系魔術  F

回復系魔術  F

補助系魔術  F 

空間魔術   F

解除魔術   F

剣術     F

武術     F

武具習熟度  F

特殊能力 【全方位ステータス・オープン】

     【連続攻撃(4回)】

     【?????】

     【盗賊シーフの心得】

     【心の声(送受信)】

     【大魔導書[出現][解読][加筆修正]】 

     【転生の儀式[コネコ][コドラゴン]】

     【素朴なキャンプセット】

     【高級ホテル建設】

     【武器、防具の合成、創造】

     【執事猫じい召喚】

 


 どうやら、操作できるのは職業と冒険者レベル、HPなどの数値(面倒くさいので下二桁だけ残した)と魔術レベルだけで、すでに習得した魔術や特殊能力は消すことができないみたいだ。


 さすがにステータス調整能力は[?????]になってる!


 でも、これを見られた時に(魔術や特殊能力を含めて)どう説明するか考えておかなければいけないな。

 

 そんなことを考えながら俺が自分のステータスの下方修正を終えると、安斎あんざい遼也りょうやが俺だけプレゼントボックスをもらっていないことに気づいてこう言ってくる。


「なんだぁ? ここに一人だけプレゼントもらえてないぼっち野郎がいるんだけど! どういうこと? やっぱこういうプレゼントも存在感のないやつには届かねーのか? ハハハハハッ!」


 そう言う遼也は魔法銃を手に入れたようだった。

 おっさん! こんなやつに銃なんて与えんなよ!


 俺がそんなことを思いながら、遼也が手にしている魔法銃を見つめていると、その視線に気づいた遼也がこんなことを言ってくる。


「そんな物欲しそうな顔で見るなよ、気持ちわりぃ! ・・・・・・おい! お前らが選んだぼっち野郎は全員がもらえるはずのプレゼントももらえない最低の使えない男だってことがこれで証明されたな! お先真っ暗だな、かわいそうに! 今更オレ達のパーティーに入れてくれって言ったってもう駄目だからな! ハハハハハッ! この世界はオレ達がすぐに救ってやるから、お前らは死にたくなかったらどっかにずっと隠れてるんだな! ・・・・・・ああ、それでオッサン! オレ達はどうすれば元の世界に戻れんだよ! 出発前にそれを教えてくれよ!」


 遼也のその問いにすぐに天の声のおっさんがこう答えた。


「この世界を救ってくれた者達だけが元の世界に戻ることが可能だ! それ以外の者達は、一生この世界で暮らしてもらう!」



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第8話も最後までお読みくださりありがとうございます!


もしちょっとでも「なんかおもしろそう!」「これは期待できるかも!」と思っていただけましたら、最新話の後に☆☆☆評価をしていただけるとめちゃくちゃうれしいです!

作品フォローもぜひお願い致します!

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