幼馴染におっぱいをたゆんたゆんしてと頼んでみたら付き合うことになった

しゆの

第1話

萌花もか、おっぱいをたゆんたゆんさせてくれ」


 高校に入学してニ度目のゴールデンウィークの昼寝ご飯後、リビングのソファーに座っている佐々木亮太ささきりょうたは、毎日ご飯を作りに来てくれる幼馴染の桜井萌花さくらいもかに頼んだ。


「……は?」


 後片付けを終えてキッチンからリビングに戻ってきた萌花は、ポニーテール調にしていた腰くらいまで伸びている桃色の髪ほどきながらちょっと何言っているか分からない、と思っていそうな顔をこちらに向けた。


 アメジスト色の大きな瞳からは今にも人を凍死させそうなほどに冷たい目をしている。


「萌花、おっぱいをたゆんたゆんさせてくれ」

「いや、聞こえなかったから『は?』 て言ったわけじゃないんですけど……」


 今までに聞いたことのないくらいに冷たくて低い声だ。


「たゆんたゆんって意味が分からないのか? ジャンプしたり身体を横に揺らしたりすればおっぱいたゆんたゆん動く」


 立ってジャンプした亮太を見た萌花は、「はあぁぁ」と深いため息を吐いた。


「どうした? ここは一軒家だからジャンプしても人に迷惑をかけないぞ」


 今から四年ほど前、亮太が中学入学と同時に親が購入した一軒家なため、マンションやアパートのようにジャンプして下に住んでいる人に迷惑をかけることはない。


「いや、そうゆうことじゃないんですけど……」


 小学生までは隣人で中学になってからも今は長期出張で家を空けている親の代わりにご飯を作ってくれるくらい仲良くしてくれる萌花は、幼馴染に本来するべきじゃないくらいの軽蔑しているかのような視線を向けてくる。


 軽蔑な視線を向けられて喜ぶドMではないから止めてほしい。


「いくら亮くんが胸好きだからって、普通女の子にそんなこと言いますか?」


 亮太のことを亮くんと相性で呼ぶ萌花は、これだから男は……と思っていそうだ。


 目測でGカップの胸は男の視線をどうしても集めてしまうため、基本的に萌花が胸元を出す服を着ることはない。


 以前仲良くない男子に胸を見られるのが嫌だと言っていた。


 女の子からしたらエッチな視線を向けられるのが嫌なのだろう。


 今も胸が強調されないゆったりとした白いワンピースを着ている。


「男がおっぱい好きなのは当たり前のことだ。うぅぅぅ、たゆんたゆん。萌花のおっぱいたゆんたゆん」


 バカな殿の歌の真似をしてみた亮太は、自身の胸に手を当ててみた。


「亮くんが無理矢理する人じゃないから二人きりになりはしますけど、アホですよね。普通に嫌ですよ」


 再び深いため息を吐いた萌花は、何だかんだ言いながらも隣に座った。


 物心ついた時から一緒にいるため、他の人よりかは信用されてはいるらしい。


「手足や腰は細いのにおっぱい大きいよね。ジャンプすればお腹じゃなくておっぱいたゆんたゆん」

「人の話を全く聞いてない……」


 高校二年生ながら学校一の美少女と言われている萌花は、何でこんな人の幼馴染やっているんだろ? と思っていそうな顔をした。


「昔は亮くんと絶対結婚するとか言ってたのにね」

「それとこれとな話が違うじゃないですか。それに付き合ってもいないのに胸を見せたりしません」


 頬を赤くした萌花は間違いなく男性経験はないだろうし、付き合ってもいない男子に身体を見せる軽い女でもないだろう。


 そもそも学校でも家でも毎日一緒にいるため、萌花が誰かと付き合っているとかないのは分かる。


 彼氏がいるのに他の男の家にホイホイ行くような性格ではないだろう。


「付き合ったらいいのか? たゆんたゆんしたおっぱいを見たいから付き合ってください」

「そんなクズい告白初めてされましたよ。ナンパでも最初から身体目的なことは言いませんよ」


 学校一の美少女と言われるだけあってかなり告白してされる萌花は、基本的には亮太から離れようとしない。


 腰まであるサラサラな桃色のストレートヘアーに、長いまつ毛に包まれた大きな宝石みたいな瞳、スベスベな乳白色な肌、異国情緒溢れる容姿なのに童顔でアニメの世界から飛び出てきたと思わせる萌花は、一人で外に出たら間違いなくナンパされるだろう。


 だから外に出る時も基本的に亮太と一緒にいる。


「何言ってるんだ? 好きな子に告白する時だって男はイチャイチャしたい、おっぱい見たい揉みたい、あわよくばエロいことをしたいって考える生き物が男だぞ」


 本当に誠実な男なんてごく僅かなのは萌だって分かっているはずだ。


 それが洋服に現れているのだから。


「そうかもしれませんけど、普通は下心を隠すものです」


 確かに下心丸出しで告白してもフラれるのがオチだろう。


「幼稚園でボッチにならなかったのは俺のおかげだと思うんだ。だからお礼におっぱいたゆんたゆんしてくれ」


 隣に座っている萌花を見ながらお願いをする。


 桃色の髪はストロベリーブランドと言われており、ヨーロッパの一部で見られる髪色だ。


 クォーターの萌花は髪と瞳の色がハーフの母親譲りだが、日本人からしたら異色なために昔は友達が亮太しかいなかった。


 今は国際社会の時代だから髪が黒くなくても受け入れられる時代だから問題ないが。


「きちんと家事をしてあげてお礼をしてますよね?」

「くっ……」


 ぐうの音も出なかった亮太は、どうすれば萌花が胸をたゆんたゆんさせてくれるか考える。


 今までは動画を見たりして満足していたが、ここ最近は生で見たくなってしょうがない気持ちでいっぱいだ。


「そういう正論を言うんじゃない。おっぱいたゆんたゆん最高」


 最早、亮太の頭は胸のことしか考えていない。


「せっかくスポブラを買ったんだ。付けてたゆんたゆんしてくれ」


 テーブルにある段ボールを開けて萌花に灰色のスポブラを見せる。


 無性に萌花の胸をたゆんたゆんさせたくなった亮太は、先日通販でスポブラを購入した。


 何も付けずに見せてくれるわけがないと分かっていたからだ。


「いちいち買ったんですか。断られたし無駄な買い物でし……いや、寝る時に使わせてもらいますね」


 せっかく買ってくれましたし、と萌花はスポブラを手に取る。


 これからは少なくとも寝る時には付けてくれるようだ。


「Gカップのスポブラ探すの大変だったんだぞ。最近は揺れないのばっかだし」


 ネットで検索をかけても揺れないスポブラというのが多くて、揺れるのを探すのは大変だった。


 スポブラ自体がスポーツをする人用に作られているため、胸が揺れないのを作るのが当たり前なのだろう。


 購入ボタンを押した後で普通のブラやナイトブラにすれば良かった、と少し後悔した。


「私のカップ数を知っているのはこの際置いといて、亮くんはその、私のことを胸しか、見てないんですか?」


 スポブラを持っている萌花は、見上げるようにこちらを見る。


 大きくなってきてから胸への視線が気になるらしく、本当に胸を見られるのが嫌なのだろう。


 気になるせいで萌花は海やプールに行かないし、高校はプールの授業がないとこにしたくらいだ。


 カナヅチというのもあるかもしれないが。


「萌花のことはめちゃ好き。将来結婚するから。でも、俺がおっぱい成人なだけ」


 胸が凄く好きなだけで萌花を好きな気持ちは昔から変わっていない。


 ただ、自分の欲求に素直になっただけだ。


「亮くんがお、おっぱい星人なのは分かってますけど、その……ありがとう、ございます」


 頬を赤くして視線を逸らした萌花が嬉しそうにしている。


「昔結婚する約束したままうやむやになったままだけど、俺の彼女になってくれ。そしておっぱいをたゆんたゆんしてくれ」

「胸の話がなかったら良かったんですけどね」


 再び白い目を向けられた。


「さっき亮くんが言ったように、私は亮くんがいなかったらボッチでしたでしょう」


 何故か昔の話をしてきた萌花は、頬を赤くしながら自身の頭を亮太の肩に乗せた。


 この時点でどう思っているか分かるが、あえて何も言わずに続きを聞くことにする。


「こうやって毎日一緒にいるのは……亮くんのことがす、好きだから、です」


 これ以上ないくらいに頬を赤くした萌花の方を抱く。


 何で好きになってくれたのはもちろん分かっている。


「亮くんは昔からずっとずっと私のそばにいてくれました。ピンクの髪で周りの人たちは変な視線を向けてくるのに亮くんだけは違いました。今は変態ですけど」

「最後のは余計だな。おっぱいが嫌いな男はいない」


 変な視線を向けないのは、物心ついた時から一緒にいるのが大きいのかもしれない。


「両想いなのが分かったことだし、おっぱいたゆんたゆんしてくれ」

「本当にデリカシーのない人ですね」


 全くもう……と深いため息を吐く萌花は、何でこんな人を好きになったんだろ? と思っているだろう。


「せめて、せめて服を着たままでいいから、おっさいを強調してたゆんたゆんしてくれ」

「え? んん……」


 お願いをして生まれて初めてのキスをした。


 いきなりキスをされて驚いたようだが、少ししたら身を委ねてくる。


 両想いだと分かってキス出来たから嬉しいのだろう。


 胸を見られるのが嫌なのにおっぱい星人である亮太と毎日いるのは、萌花が本当に好きだからというのが分かる。


「その……少しだけ、ですからね」


 キスを止めると恥ずかしそうに頷いてくれた。


 頬を赤くしながら立った萌花は、両腕を胸の下にやって強調させる。


 Gカップだけあってゆったりとした服の上からでも大きいのが分かるし、男の本能がずっと見てろと言っているようだ。


「じゃあ、いきます、ね……」


 付き合いだしてから初めての彼氏のお願いが胸をたゆんたゆんさせてほしいとのことだし、心の底から恥ずかしいのだろう。


 胸を強調しながらゆっくりとたんたん、とジャンプした萌花の胸が上下にたゆんたゆん揺れる。


「控えめに言って最高。今度はブラで頼む」


 ぐっと萌花に向かって親指を立てた。


 上下に揺れる胸から視線が逸らさない。


「そ、それは……もう少し関係が、進んでから、です」


 今度してもらう約束をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

幼馴染におっぱいをたゆんたゆんしてと頼んでみたら付き合うことになった しゆの @shiyuno

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ