第4話

慌ただしかった一日が終わり帰りの時間がやってきた。

仕事終わりの保護者が続々とやってくる。



『…あっくんまたね』


「またね」



『…あっくんばいばい』


「ばいばい」



保護者に手を引かれて帰る幼女たちとお別れをする。

皆別れが寂しくて消沈気味だがいつもの事。初めは泣き叫ばれて大変だったが今では泣く子はいないので成長したようで嬉しさ半分寂しさ半分。

ただ、保護者と幼女の会話から『捕まえる』や『結婚』などの不穏な言葉が聞こえるのはどうしたものか。



『またねあっくん!』


「マヤちゃんまたね」



お昼寝の後から『誰にも許らない!』と行動で示すかのように俺に纏わりついていたマヤにもお迎えが来た。



『あっくん!マヤの面倒見てくれてありがとね~!』


「おれもマヤちゃんといるとたのしいから」


『まぁ!あっくんってば!マヤが羨ましい~!』


『えへへ…あっくんはあげないからね!』



マヤの保護者であるマヤママとは、俺とマヤが仲良しなのもあって自然と仲良くなった。そのため必然的に俺の母親とも仲良くなっており俺にとってマヤは所謂幼馴染的なポジションに収まっている。






『あ、あっくん……ばいばい』



マヤと別れた後。

今日一日、詳しく言えばお昼寝の後から俺の顔を見て避けるようになっていたルナが声をかけてきた。その様子から、いくら女性と交友関係が無い俺でも察することができる。つまりはそういうことだろう。



「ばいばいルナちゃん」


『う、うん…』



どこか名残惜しそうに頷いた。

何か伝えようとしているのか動く気配がない。


よし、ここは俺の出番。

このままずっと余所余所しくなっても悲しいからな。



「ルナちゃん」


『…な、なに』


「もしかして…おれのことすきになった?」


『?!』



揶揄うようにそう聞くと、ルナの反応から当たってたとわかる。

ルナは顔を真っ赤に染めて今にも逃げ出しそうな様子だった。



「また…遊ぼうね」


『え…あっ』


『う、うん……!! またね!あっくん!』



ルナはこれまでとは違った元気な笑顔を浮かべ母親のもとに走り去っていった。


俺ができるのは拒絶しない意思を伝えること。おそらくルナは照れもあるけど拒絶されるのが怖かったと思うから。






——それはそうと、俺がそんな青春をしているのを隠れて観察している不審者が一人。すごく見覚えのある顔ですね。




『あっくん…』


「なにしてるの」


『あっくんは私のだからね!』




今世の俺のマミーだった。



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貞操逆転世界に転生してイチャイチャする話 やまいし @yamaishi_913

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