第84話 さっそくドキドキメモリアルの制作に取り掛かる準備をしようか
さて、コナミンに先駆けてサンシャインで声の入ったドキドキメモリアルを出してしまえばいわゆる美少女SLGを代表するタイトルとして売り出せそうだと思いついた俺は早速、制作の準備に取りかかることにした。
とはいえ高校の頃よりはだいぶ時間の余裕はできたとはいえ、東大生である俺は勉強も当然しないといけないから、ゲームのプログラミングを俺自身がやるつもりはなく、ゲームプランナーとして企画立案になるべく専念して、プログラム制作などはナセルさんなどの他の優秀な人に任せようとは思っている。
ドキドキメモリアルのゲームシステムのプログラミング自体はサンシャインで発売しているプリンセスプロデューサーを基礎にすればそこまで難しくはないとも思うけど。
プリンセスプロデューサーは本来世界初の育成シミュレーションゲームとして1991年にガイアックスが制作した、女の子を育てるゲームで、その内容は中世ヨーロッパ風のファンタジーの世界を舞台とし、魔王から王国を救った勇者が、戦災孤児の少女を引き取って自分の養女として育てるというものだ。
具体的には8年間、1か月毎に上旬、中旬、下旬のスケジュールコマンドで様々なアルバイトや、武芸、学問、礼法などを学ばせたり、休息や旅行で疲労を回復させながら、娘のステータスを上げていき、最終的に娘が18歳になった時のステータス次第で色々なれる職業の中でも最高のプリンセス、まあ王妃になることを目指すゲームだな。
ドキドキメモリアルは高校の男子生徒でその高校には”卒業式の日に、校庭のはずれにある樹の下での女の子からの告白で生まれたカップルは永遠に幸せになる”という伝説があって、一週間に一つのスケジュールに合わせて勉強やスポーツ、部活動、おしゃれや流行チェックなどに取り組み主人公の能力値を高めて女の子と出会い、週末にデートをして仲良くなって、卒業式の日に伝説の樹の下で女の子からの告白を受けることが目的だ。
ただ一作目のメインヒロインは幼馴染で家が隣同士という設定なのに一緒に帰ろうと下校を誘っても”一緒に帰って、友達に噂とかされると恥ずかしいし…”等と言われたりもすることからあんまり人気がなく一番簡単に攻略できる西野沙希が一番人気だった。
こういったギャルゲーでは”メインヒロインは親しみやすく”したほうがいいだろうな。
まあ、これはこれで他のキャラの攻略のときに攻略の邪魔になる事が多かったりもするんだが。
あと問題があるとすると”前”ではドキドキメモリアルの発売は1994年で完全なバブル崩壊後の就職氷河期だったが、今回はバブルはやはり弾けるだろうが、就職氷河期は防ぐつもりなのでそういった世相の変化でゲームの売れ方が変わる可能性があるということや、ドキドキメモリアルの人気は国内のパソコン通信を通じて口コミで広まったようだが、現状ではまだパソコン通信がマイナーなことか。
とはいえバブルだろうと就職氷河期だろうとモテる男はごく一部でその他は現実にはモテないけどフィクションの中くらいでは女の子にモテたいという願望はあるだろうし、宣伝はテレビや漫画雑誌なども通じて行うつもりだから、大丈夫だとは思うけどな。
あとはステータスやスケージュール内容に合わせて攻略対象の女性キャラをどのくらい作るかとかの調整も必要かもしれないがそのあたりもなんとかなるだろう。
いずれにせよ”前”のヒットゲームを先に出していくのは、日本の将来を変えるために必要な資金獲得のために重要だよな。
前においてドキドキメモリアルの制作は開発に4年近い時間がかかっていて不採算による“開発中止”寸前だったらしく、それにより広告宣伝が殆ど行われなかった。
いろいろな試行錯誤が必要だっただろうとは違い元になる企画やシステムはあるのでそのあたりは長くても1年位で収まるとは思うけどな。
多少のアニメーションがあるとよいが対戦格闘ゲームほどにはキャラをゴリゴリ動かす必要はないので、制作メンバーはそこまで多くなくてもなんとかなるといいのだが、できれば声優は人気どころを使っておきたいところではあるな。
西千葉の高校のゲーム制作部はいま対戦格闘ゲームの開発で大変だろうから、新宿の本社で作れるように人を集めないとな。
ドキドキメモリアル制作の流れは、俺が企画と基本システムの概要を設計してまずはプロトタイプとなるプログラムをナセルさんと一緒に試作したいところだな。
俺は北条さんにドキドキメモリアルの制作についてもある程度具体的に話すことにした。
「北条さん、ドキドキメモリアルについてはまずは俺が基本的なシステムとかを企画してナセルさんと一緒にプロトタイプとなるプログラムを試作したいと思うけど大丈夫かな?
あとグラフィッカーやサウンドプログラマー、登場する女性キャラの声を当てる担当の女の子たちも早めに募集をかけてほしい」
俺の言葉に北条さんは頷いた。
「わかりました。
ナセル氏を新宿の本社にお呼びして住居も手配しつつ、グラフィッカーやサウンドプログラマーも募集します。
声優についてはオーディションを告知しましょう。
浅井さんたちは先に枠を押さえておきますか?」
「うん、お願いね。
いや、浅井さんたちにもオーディションは受けてもらったほうがいいかなって思う」
このあたりは東大女子に頼めることじゃないので、やはり北条さん頼みになってしまうのだよな。
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