第83話 今後日本が失われた30年にならないようにするにはどうするべきなのか

 さて、北条さんと一緒に西武百貨店のおもちゃ売り場をみていたことで、コナミンに先駆けてサンシャインで声の入ったドキドキメモリアルを出してしまえばいわゆる美少女SLGを代表するタイトルとして出せそうだと思いついたことで、今後はそれを実行していこうと思う。


 更に俺はエステや美容室で暇をしていた時間に考えていたことを北条さんに説明する。


 日本の野菜の自給率は見かけよりずっと低く、海外で育ったF1種の種を毎年買っている現状をどうにかするため固定種で自家採種をしていくようにしたいということ。


 特に瀬戸内海や四国は日本としては夏季でも比較的乾燥している地域で、小麦やオリーブなどの産地だし、土地を購入して種苗会社も立ち上げて、国内で野菜の種を生産できる体制を作ったほうが良さそうということ。


 同様に輸入だのみの化学肥料から脱却するために畜産の牛糞や豚糞、鶏糞、鳩糞あるいは野菜くずなどの生ゴミなどを堆肥化した有機肥料の利用を進めていったほうがいいということ。


 鳩の場合はエジプトや中東で長年使われてきた鳩の塔を日干しレンガではなくコンクリートで建てて、その中で鳩を大量に飼育してもいいと思うということ。


 コイのような淡水魚、ニジマスやギンザケのような淡水でも海水でも養殖が可能な魚だけでなく、マダイやヒラメ、ブリなどの海水魚の卵から育て上げる完全養殖も進めていくべきということ。


 日本の燃料の海外依存の高さもなんとかしないといけないので、まずは現在どんどん閉鎖されている炭鉱を買い取り採算性より安全性を優先して創業させつつ、機械による採掘や移送も進めるべきだということ。


 茨城の五浦海岸周辺から福島県いわき市の沖にも巨大なガス田あるいは油田がある可能性が高いらしいので調査してあるようであれば採掘権を優先して手に入れることなどだな。


 そしてこれは北条さんに相談しつつも、実際にどの炭鉱を買うのが良さそうかは北海道出身の大音さんや三田村さん、九州の炭鉱は佐賀出身の松平さんに調べてもらおうと思っていること。


 また北海道の二人と畜産が盛んな鹿児島出身の竹田さんには家畜糞の堆肥化に協力してもらえそうな農家について調べてもらいたいし、種の栽培については高知出身の玉井さんに調べてもらいたいこと。


 海水魚の完全養殖は高知、福島、鹿児島、島根、静岡、和歌山などが候補地かな。


 函館もそうだが青森と佐賀はハブ港にする予定なのでそっちが優先だ。


 新潟出身の不破さんには越後友禅の東京進出と俺達が進めていた普段着和装企画への参加も持ちかけてもらいたいことなど。


 無論、五月祭までは地元の特産品を屋台で出す準備があるからその後になるということも伝える。


 そして北条さんとしては、大方問題はないとのことだった。


「今までは私があなたの指示を受けてそこから仕事を割り振っていましたが、ある程度東大女子に直接仕事を振ろうとするのはいいことですわね」


「まあ、北条さんには今でも仕事をだいぶ頼んでるけど、大きな企業の買収はやっぱり北条さんに任せるしか無いとして、地方のそこまで大きくない企業とかは地元の人間のほうが状況もよく分かると思うしね」


 そういうわけでこのあたりは東大の五月祭が終わって落ち着いてから東大地方女子達に投げようと思う。


 また、今後日本が失われた30年にならないようにするにはどうするべきなのかなのだが……。


 まず、これからはコンピュータ化、IT化、AI化の時代で企業にとってもSEなどのエンジニアが非常に大事になってくるし、最終的にはパソコンやスマホは必須になってくる。


 なので俺たちが持っている金融や製造の会社においてもそういった職業は高給取りになるようにしていくべきだし、東大などの大学でもコンピュータやプログラムに関しての工学系の偏差値が上がるようにしていくべきだろう。


 インターネットが商業化された平成7年(1995年)以降に加速したIT革命で日本は盛大に出遅れたがアメリカでは学力トップ層はシリコンバレーを中心とした産業へ流れていったが、日本ではその後も医者が人気で工学系は人気ではなくこれも失われた30年間の原因の一つになった。


 日本人の政治家や医者・弁護士に対する給料的な過大評価は早めに是正しておくべきだろう。


 また、研究にのめり込んでしまっている人は、大概コミュ障だが会社という組織ではそういった人材は余り喜ばれないのは事実だ。


 しかし、バブル期に培われたコミュニケーション能力信仰は失われた30年の原因の一つだな。


 日本的な意味でのコミュニケーション能力の高さは技術的な進歩にはほぼ貢献しないんだよな。


 だからといってコミュ障すぎるのも問題ではあるんだが。


 また緊縮財政も日本の失われた30年間の原因の一つだ。


 緊縮とは、政府の支出を減らし、金融を引き締めるために金利を上げ、借金をしないようにさせ、余ったお金を貯蓄に回させたり、或いは増税をして支出をしにくくする等の施策になる。


 逆に刺激とは、政府の支出を増やし、金融を緩和するために金利を下げ、借金をさせ、あるいは減税をして支出をしやすくする等の施策になる。


 ちなみに不況時に政府が緊縮策を打ち、不況に歯止めをかけたというデータはまったく無く、昭和62年(1987年)のブラックマンデーの後は日本はすぐ立ち直れたが、平成20年(2008年)のリーマンショックから日本が立ち直れなかったなかったのは緊縮財政のせいだな。


 巨泉内閣以降日本政府は消費増税を繰り返し、可処分所得も引き下げ続け個人消費をひたすら抑えて、国民に我慢を強いてきたが結局は財務省の大馬鹿どもが原因だ。


 大蔵省はバブルの際に証券会社や銀行に過度の介入をしたことでバブルを膨らませすぎてに失敗したが、平成13年(2001年)に、中央省庁等改革基本法により大蔵省を改編改称して発足した財務省は、銀行・証券などの金融行政は、内閣府の外局として新設された金融庁に全面的に移管された事もあって、大蔵省のときとは正反対の失敗をしたということだな。


 大蔵省や年金を好きなように使い込んできた厚生省の社会保険庁は一度解体し、税金と年金や医療保険などの社会保険料の徴収を一括して行う歳入庁を創設し予算編成は財務省へ、徴税は歳入庁に行わせ、大蔵省の権力を分離すべきだな。

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