第14話 さてまずは家具を買いそろえようか

 さて、新宿の会社の寮の中がどんな感じなのかも直接見たことで分かった。


 ウォークインクローゼットなど収納スペースがかなりあるので、タンスとかはあまりいらないかもしれないがシャツやパンツのような下着を入れる低めのチェストはあった方がいいかもな。


 そこで俺はみんなに言う。


「部屋の中を見たことだし、新宿は家具屋も多いからついでに必要な家具やインテリア、家電なんかも買って行ってしまおうか」


 俺のその言葉にまずうなずいたのは浅井さん、芦名さんと佐竹さん。


「あ、それでしたら私もいきたいです」


「僕たちはそもそも新生活で何が必要かよくわからないんだよね」


「なんせ俺たちは狭い部屋にしか住んだことないしな」


 俺たちの様子を見て口を開いたのは上杉さん。


「ふむ、では私もついていくとするか」


 俺はその言葉を聞いて少しほっとした。


「上杉さんならこういう時に何が必要かもわかってるでしょうし、ぜひお願いします」


「まあ、任せておけ」


 それを聞いていた北条さんは溜息をつきながら言った。


「私はこの後に色々とやらなければいけないこともありますので、そちらを片付けてしまいます」


 俺はうなずいて言う。


「ごめんね、北条さん」


「まあ、仕方がないです。

 私はそういう役割だとわかっておりますので」


 そして斎藤さんも言う。


「私は家具はゆっくり選びたいから、明日以降に行くことにするわね」


 俺はうなずいて言う。


「了解、まあ買わないといけない家具も多いし、せっかくならゆっくり選びたい気持ちもわかるよ」


 そして横山さんはというと。


「私は自宅から持っていくものを、もう一度確認して引っ越し準備をしてから、新しい家具は買うことにします」


 俺はうなずいて言う。


「それもいいかもね」


 というわけで、家具などを見に行くのは俺、浅井さん、芦名さんと佐竹さんに上杉さんだ。


「で、どこに買いに行くんだ?」


 上杉さんがそう聞いてくるので俺は答えた。


「まずはツルモク家具のショールームを見に行きましょう。

 ツルモクは国内トップレベルの国産高級家具ブランドですしね。

 といってもイタリアやドイツなどの家具ブランドに比べれば全然安いですが」


 俺がそういうと上杉さんはうなずいた。


「ふむ、なかなかいい選択だと思うぞ」


 まあ、北条さんならイタリアブランドの150万円する三人掛けソファーとかでも普通に買いそうな気がするし、斎藤さんは北欧デザインのイケヤが船場ヘルスセンターのローラースケート場跡にあるから家族とそこに買いに行ったりするかもな。


 まあ本来ならイケヤは一度日本から撤退しているはずなんだが、谷津遊園などのおかげでこの近辺の商用施設が有名になったのもあっていまだに残ってるらしい。


 イケヤも悪くはないんだが微妙にデザインとか色合いなどが俺の好みに合わないんだよな。


 なんかちょっとけばけばしいという感じがするんで。


 さらに外国のブランド家具とかは日本の部屋には少しでかいという場合も多かったりする。


 その点でツルモク家具は日本最大手の家具メーカーで、日本の住宅にあった家具が多いから安心だ。


 余談だがツルモク独身寮という漫画が確か今年あたりに連載開始していた気がするな。


 元々は材木屋で、四洋電機などの下請として木製品の加工を行っていたらしい。


 新宿東口にあるショールームにつくと結構でかい。


「思っていたよりだいぶでかいな。

 まあ色々そろってありがたいけど」


 取り扱われている家具はソファー、ダイニングテーブルやチェア、デスク、テレビ台やドレッサー、キャビネットなども含めた収納家具、照明器具、カーテンやブラインド、ラグ・マット・カーペットなどの敷物、壁掛け時計・目覚まし時計などの家具としての時計類、キッチン用品やテーブルウェアなどに食器・カトラリー・キッチン雑貨、クッションやクッションカバー、バス用品・バスグッズ、トイレ用品・トイレ収納、ごみ箱、ルームシューズ、文房具・文具などの生活雑貨、額縁・フォトフレーム・ポスターフレーム・アルバム・ハンガーラック・ポールハンガー・鏡類などのインテリア雑貨など。


「ここで大体の家具や雑貨は買いそろえられるだろう。

 まずは大き目の家具から決めるがベッドは買うのか?」


 上杉さんの質問に俺たちはそろって首を振った。


「和室に押し入れもあるので俺は布団を使おうと思ってます」


 俺がそういうと浅井さんも言う。


「私たちも同じです」


「布団だと購入先は寝具店だな。

 では次に大きめの家具というとソファーだがこれはどうする?」


 上杉さんの質問に俺は答える。


「リビングにテレビを置いてソファーで見るっていうのをやっぱやりたいんで、俺はソファーは買います。

 疲れて帰ってきたときに横になるのが簡単なようにソファーベッドタイプにしたいですけど」


 俺がそういうと上杉さんはうなずいた。


「なるほど、ソファーベッドという選択肢もありだな

 ベッドとソファーは同じ階の売り場だから探してみよう」


 そしてしばらくソファーを見まわした後、俺が見つけたものはというと。


「これなんかよさそうですね」


 俺が指さして言ったのは黒い合成皮アーティフィシャルレザーのモダンなデザインのソファーベッド。


 座面下にはシーツやブランケット、ひざ掛けなどの小物収納にとても便利な収納引き出しがあり、背もたれの中央には収納可能なテーブルが付いていて、飲み物などを置きながらテレビを見るのに便利らしい。


 さらに足置きオットマンもセットでついてきて、背もたれを倒してベッドに使うときにオットマンとソファー本体はジョイントでしっかり接続できるため、寝ていてオットマンがズレてしまう心配もないらしい。


 ベッドとしての幅も、102cmはあるのでシングルベッドとしては少し大きめだ。


 さらに、アーティフィシャルレザーは水や汚れに強く、耐久性にも優れているので実用性も高そうだしな。


 まあお値段もそこそこ高いが。


「ふむ、いいんじゃないか?

 普通に男の部屋にあっても違和感はないデザインだしな」


「じゃあこれにしましょう」


 お値段は50万円なり。


 まあ、これでも高級家具としてはそこそこの値段らしいがな。


「あ、私はこれがいいです」


 と浅井さんが選んだのは可愛らしい白いクッションと背もたれの猫脚ソファー。


「うん、可愛らしくていいんじゃないかな?」


 こちらのお値段は40万円なり。


 芦名さんと佐竹さんが選んだのは同じくクッションや背もたれがピンク色のシェルソファーだ。


「なんかお姫様になった気分だよね」


「まあ、俺達には似合わないかもしれないけどさ」


 二人の言葉に俺は苦笑して言う。


「そんなことはないと思うぜ」


 お姫様っぽいインテリアの家具が欲しいなら、そっちに強いブランドの家具屋に行った方がいい気もするが。


 こちらのお値段も40万円なり。


 それぞれを選んだ当人たちはひどく満足なようだし、上杉さんもうなずいてから言った。


「いいと思うぞ」


「次はテレビ用テレビ台かな」


 俺がそういうと上杉さんは言った。


「ふむ、では売り場を移動するか」


 俺が選んだテレビボードは木目調のシンプルな奴で、ビデオデッキを入れるスペースとその下に引き出しもあるやつだ。


 浅井さんたちが買ったのは白くて可愛らしい感じを受ける奴で、引き出しがない代わりに足がついている。


 テレビ台の値段は2万円くらいだな。


 続いて買ったのはダイニングテーブルと椅子。


 俺はシンプルな木目調の椅子が2つついているテーブルセットを選び、浅井さんは白くて小さめな丸いダイニングテーブルと椅子のセットを、芦名さんと佐竹さんが選んだのは可愛らしいピンク色の椅子が3つついた、少し大きめの丸テーブルだった。


 テーブルセットはそれぞれ5万円くらい。


 電話機や電話帳を置く電話台は1万円くらい。


 照明器具も俺は洋室や和室に合いそうなシンプルデザインのペンダントライトを選んだが、浅井さんは和室には丸い提灯のような吊り下げ照明を選んだり、芦名さんと佐竹さんがリビングの照明に選んだのはシャンデリアタイプのものだったり、スタンドライトも花をモチーフにしたものだったりで、一番可愛らしいものを選んでいるのが芦名さんと佐竹さんだった。


 特にドレッサーは浅井さんがおしゃれな感じの白い奴だったのに対して、二人が選んだものは装飾の多いピンクのものだったりする。


 お値段は両方とも50万円ほどしたが、ドレッサーって結構高いんだな。


 今回の買い物ではベッドや大きいクロゼット・タンスなんかがないのが救いか。


 まあ、下着やトップス、ボトムスなどを入れるためのチェストは買ったがこれは3万円くらい。


 カーテンの好みも同じような感じだな。


 レースカーテンはみな同じような白だが、厚手のドレープカーテンは俺は黒、浅井さんは白、二人が選んだものは装飾の多いピンクのものだったりする。


「なるほど、徹底してるなぁ」


 全体的な好みとして俺は黒や木目調、浅井さんは白、芦名さんと佐竹さんはピンクのものが多い感じだった。


 この時代のツルモク家具の品ぞろえが広くて助かったな。


 ちなみに支払いは俺が持ってるプラチナムのクレジットカードでまとめて払った。


 次は家電を買いに行くか。

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