第11話 日三の宇宙航空事業部を独立させるなら自動車関連の現状をはっきりわかるようにしないとな
さて、半官半民の日三の宇宙航空事業部を独立させるなら、本体である自動車関連の現状をはっきりわかるようにしないといけないだろう。
まず、最高級セダンであるチェアマン。
1965年10月に初代モデルが発売され、主に官公庁・企業などでの公用車や社用車のお抱え運転手が運転するショーファードリブンカーとしてのフラグシップモデルで日三自動車における最上級車。
グレードによるが価格は1000万円から3000万円ほどとかなり高い。
しかし、技術の日三自動車という信頼性の高さからも、この分野はまだまだかなり強かったりもする。
高価格で収益性の高い最高級車で多くのシェアを持っているというのも、日三の経営陣が危機感が薄かった理由かも知れないな。
その次がオーナーが運転手であるオーナードリブンカーの最高級モデルであるサミット。
これは今年の1月に発売されたようだ。
価格は500万円ほどでチェアマンよりは安いが、一般向けオーナードリブンカーとしては最高級だ。
こちらも最近の株価や地価の上昇による好景気もあって、高級車としてはかなり売れているらしい。
また、9月には同様な高級車「ゼファー」が発売予定であるらしいが、こちらの予約も結構入っているようだ。
また、スカイロードGT-RやフェアレディZZなどのスポーツカーも現状では好調な販売実績を残している。
主に商用で使われるバンのカーゴもそこそこのシェアはある。
まあ、これについては豊畑のスーパーエースが強いけどな。
さらに現在の所は日三がタクシー車両を独占し、シェアの約8割を占めているらしい。
これは故障が少なく信頼性が高いということからだったようだ。
しかし、前ではバブルの崩壊とともに日産の営業利益が落ち込むとともに、タクシーの利用者数も激減し、市場規模がだいぶ小さくなってしまった。
さらにタクシー業界やユーザーからの反響に対して、豊畑はその声を拾い上げて車両に反映させていった。
長時間の運転を行うタクシー運転手のために、運転手の疲労軽減を図り、最適なように座席の固さやポジションを整えたり、後部座席や助手席の乗り心地を良くしたり、ハンドルの各最小回転半径が一般車より10cmほど短く設定されていて、狭い路地などへの進入やUターンなどに向くようにできている。
さらにタクシーは燃料がLPガスであったり、助手席や後部座席は自動ドアを整備していたりといった特別仕様で、部品も一般車とは異なるがそれが入手しやすいというのも大きかったようだ。
乗客へは助手席や後部座席のドアが一般車よりも広く開くように改良されていて、乗客が乗り降りをスムーズに行えるようにも配慮されている。
まあ、ここまでの車種は、現在は好調なのでいいだろう。
とはいえ、前はバブル崩壊の影響に販売の下手さ、セダンやスポーツカーからミニバンやSUVなどへの人気車種の移行もあって、チェアマンや商用のバンはともかく、サミットやゼファーのような一般向け高級車やスポーツカーは2000年代後半には全くと言っていいほど売れなくなるのだが。
この辺りはバブル崩壊やそれに伴う雇用の不安定さ、実質的な可分所得の減少などを防げばある程度は何とかなるかもしれない。
なので基本的には安全と安心の高級車路線を貫いていこうと思うが、高価格で収益性が高いからと高級セダンやクーぺにこだわりすぎるのは危険だろう。
現状でもいわゆる大衆車のシェアでは豊畑には大きく水をあけられつつある。
日三にはコンパクトカーとして評価の高いマイクラがすでに販売されているが、安価ながら実用的な移動手段を求める個人やファミリー層向けにもっと安価な軽自動車も欲しいところだ。
この時代では軽自動車については豊畑、日三ともにあまり得意ではなく、バイクメーカーから軽自動車に参入してきたメーカーのほうが強かったりする。
買収できた富士山重工業は自動車メーカーとしては
しかし、日三の自動車と富士山重工業の車は設計思想そのものが大きく異なるため、設計や部品の共用化などは本格的に行われることはなかった。
これはもったいないので、変えていくべきなんだろうな。
そして富士山重工業はトラックやバスなどで有名な、いすず自動車と業務提携をしていたりもするのだが、こちらの自動車メーカーは、かつては豊畑自動車、日三自動車とともに日本自動車業界の御三家とも言われていたらしい。
だが、乗用車部門は長らく不振で、すでに経営状態はあまりよくはないらしい。
こちらの会社も折を見て買い取るのもありかもな。
それはともかく、バンについてはすでに生産されている車種はあるが、人気になるミニバンはまだなのでこれは前倒しで作らせた方がいいだろうな。
1990年代前半はクロスカントリー4WDブームで、四角くてごっつい4WDが人気になるがそれはあんまり長く続かない。
これはオンロードでの乗り心地がいまいちだったり、立体駐車場などを利用しにくいというのがあったからなので、キャンプやウインタースポーツを楽しむ人向けに、未舗装路や雪道を走るのに充分な性能を持つが、舗装された道路の乗り心地も悪くないSUVも作らせるべきだろうな。
これから先は、ユーザーのニーズが多様化し、それに伴って車種も増えて、1車種あたりの販売台数は減っていくはずだ。
つまり人気の車種頼みでもまずいというわけでなかなか難しいところではあるが、これから先の売れる自動車の傾向はある程度はわかるので、まあ何とかなるだろう。
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