第8話 とりあえずは会社の寮への引っ越しの準備か
「さてと、昨年の秋口から進めていた案件の現状把握はだいたいこんなものか」
俺がそういうと北条さんはうなずいた後に言った。
「まあ、買収した企業に対して細かい会社運営方針の提示などを行ったほうがいいかもしれませんが、それはまだ先でもいいでしょう。
それから東大駒場キャンパスへ通うための物件は至急押さえますので、皆さんは一人暮らしをできるように引っ越しの準備をお願いしますわ」
ああ、そういえばそうだな。
「ああ、確かにそれは必要だね。
場所は移転予定の新宿の本社の近くって感じかな?」
「ええ、そうなりますわね。
こちらは急ぎませんが新橋の営業所の比較的近くにも、社員寮は買い付けるつもりですが」
「そっちがあれば東大本郷キャンパスへの通学が楽になりそうだね」
俺たちの会話に斎藤さんが首をかしげていった。
「本社の移転はついさっき決めた話なのに寮とか本社の建物とか今からおさえられるものなの?」
北条さんはふふんと笑っている。
「本社機能の東京への移転自体は昨年の秋口から方針としては決めていたことですわ。
ただ、その時点ではそもそも東大へ合格できなかった場合なども考えて、物件の調査くらいしかしていませんでしたが。
ですが、全員の合格が決まった後は物件探しに本格的に動いておりましたから問題はありません」
北条さんがそういうと斎藤さんも納得したようだ。
「ああ、なるほど。
そういうことだったのね」
「まあ、どちらにせよ卒業するまでは、私たちの身分は高校生ですので、引っ越しは卒業後に行うつもりでしたので、物件契約をあまり早く進めるつもりもありませんでしたしね」
俺は苦笑しつつ言う。
「まあ、だれも住んでいない物件をただ持っていても、もったいないもんな」
「ええ、本社での私の仕事をサポートしていただく方は絶対必要ですから、本社の物件が決まって、必要な事務器具などをそろえたらすぐにでも面接は行いますが」
俺はその言葉にうなずく。
「まあ、俺は基本的に進捗状況を見ながら、織田君とかに仕事を投げればいいけど北条さんはそうもいかないしな」
「そうですわ。
本年度は足利さんは豊臣さんのサポートに回ってもらうことが増えますでしょうしね」
そして斎藤さんが北条さんに聞いた。
「今から契約を結ぶということは家具や家電に生活雑貨とかは当然ないわよね?
部屋の大きさはどの位なのかしら?」
北条さんが斎藤さんの質問に答える
「私たち役員の部屋は2LDKでトイレ洗面共用、バスはその奥で分離、二口ガスコンロを置ける大きさのキッチンにシンク、洗濯槽置き場は室内で、バルコニー付きですわ」
だいぶ広いな、子供一人いる夫婦が住めるんじゃないかそれ?
それに対して俺がさらに聞く。
「結構広いんだな。
っていうかそれぞれの部屋の広さってどのくらい?」
「和室6畳が一部屋、洋室6畳が一部屋、LDKが12畳ほどですわね」
思ったよりだいぶ各部屋が大きいぞ?
俺は北条さんに聞いた。
「それだとだいぶ広くて掃除とか大変そうだな」
「ですが、2LDKであれば寝室と仕事部屋をハッキリ分けることができます。
私たち女性には服などをしまう場所も必要ですしね」
それには斎藤さんもうなずいている。
二人の反応に苦笑しつつ俺は言う。
「まあ、確かに女性だと寝室以外に衣装や化粧品、三面鏡なんかを置く部屋があったほうがいいのか」
そして北条さんは言う。
「掃除や料理まで手が回らないというのであれば、ハウスキーパーでも雇えばいいのではありませんか」
「まあ、日曜日にお母さん来てもらうとかでもいいかもしれないけど……。
でも、そうすれば雇用を増やすこともできるってことか……別に俺の部屋だけやってもらう必要もないしな」
俺がそういうと北条さんはため息をついて言った。
「あなたは変な所でせこいですわね。
仕事に必要であればいくらでもお金を使う割に、身の回りの事にお金を使わなすぎではありませんか?」
それを聞いた斎藤さんが言う。
「私たちは普通の中流家庭の生まれだから贅沢しないのが普通なのよ」
斎藤さんがそういうと北条さんはうなずいて言った。
「まあ、無駄なことにばかりにお金を使わないのは良いことでもありますが、もっとバランスというものを考えてほしいものです」
「んあ、じゃあ、引っ越しをするときには、それなりに高い家具とか家電とか買うようにしてみるよ。
でもまあそこまでバカ高いものは買うつもりもないけどさ」
「まあ、買い物も少しずつ慣れていけばいいのではないですか。
何も何千万する家具などを買えというわけではありませんし」
北条さんがそういうと斎藤さんも笑って言った。
「自分の好みで身の回りの物を買いそろえられるのは少し楽しみよね」
まあ、この際最新のホビーパソコンとかを買って、手元に置いておくのもいいかな。
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