あとがき

あとがき

 ということで、この国の漫画市場はあと数年で漫画・コミックスだけで50%シェアに到達します。それだけでなく約1年後には紙媒体出版市場が1兆円を割り込み逆に毎年約90%が漫画コミックスで推移する電子書籍が逆に7000億円市場に達する見込みという異常な国に住んでおります。しかも1996年の出版市場ピーク時だった2兆6564億円の時に記録した約5800億円(漫画・コミックス市場の第一ピーク年)の時よりも額がなんと大きいのだ。つまり令和の漫画・コミックスの出版シェア率は異常なほど大きいのである。要は我が国の人口の第二の山となった団塊ジュニア世代が23歳前後の時よりもずっと漫画・コミックスが売れているという信じがたい状態になっているのが我が国の出版界の現実だ。小説は漫画に敗北して久しい。


 その中で児童文学市場が拡大してるのは奇跡としか言いようがない。逆にラノベが落ち込むのは当たり前と言えば当たり前だしラノベ市場額第二ピーク時の-30%(2022年)ってほかのジャンルと比べたらよく2016年(ラノベ市場額第二ピーク年)まで持ちこたえたなっていうくらいに感心するけど……でももうラノベも2020年頃から限界だったって事だよね。いろんな意味で。


 日本は出版不況が1997年から開始して2017年まで落ち込んできたわけだけど出版市場の落ち込みをカバーする出版不況打破のファクターがまさかの電子コミックだなんて20年前の日本人の誰が予測できただろう。というか「漫画以外の本をほぼ読まない日本人」ってどれだけ異常なんだろう。


 そんな状況の中でラノベの公募に出すってどういうことかよく考えてほしい。え? ラノベはおまけで本業は電子コミカライズなんだよだって? だからラノベは衰退したんだよ!! 漫画家に食わせてもらってるってことだぞそれは。


 だからね、最後に言いたいのは公募に出す前にこの国の出版市場の動向ぐらいは把握せいよって事なんだ。だって君は大人だろう?



=終=

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