この国の出版市場の約45%は「漫画・コミックス」

 ええ!? 嘘!? 本当!?


 本当です。コミック市場全体(コミックス+コミック誌+電子コミック)は6,770億円。で、2023年の出版市場額は1兆5963億円。2023年は「漫画・コミックス」が6937億円なので出版市場額の実に43.5%も占める。しかもかつての過去最高額に達した1995年の市場額(5884億円)を4年連続で上回った。つまりこの国の出版は漫画・コミックスと児童文学以外が壊滅だったという事だね。それにしてもこの国異常すぎない? 大学まで出てる人が半数以上居るのに読まれている本の半数近くは「漫画・コミックス」なんだよ? そのうち電子書籍に関しては90.2%、要は約9割が「漫画・コミックス」という異常な国なんだ。世界広しと言えども国内出版市場の約半分が漫画・コミックスなんて国は日本ただ1国だ。


 2023年の「漫画・コミックス」世界市場は130億6,000万米ドルなので日本円に直すと2兆円だ(1ドル150円で計算)。何のことは無い!! 日本1国で約35%ものシェアを誇る。実は日本はご存じの通り漫画輸出大国なので輸出・翻訳分も入れると日本国の漫画シェアは例年約40%前後って言われてます。我が国の2021年の漫画のライツ収入(版権輸出額)は118億円です。つまりそれだけ漫画・コミックって世界的にニッチ市場で漫画を大人が読みまくる国って世界広しと言えども日本ただ1国って意味の数字なんだね。これに児童文学の市場額も入れてみ? もう日本の出版市場で大人向きの一般本市場は既にとっくの昔に壊滅済みだよ。ということで日本の出版文化はもう死んでいる。


 大変申し訳ないけどこれは日本国の人文知や学問の敗北で日本国民の読むジャンルの約40~50%が漫画ってもうこれ文化が滅びた後なんだと思う。


 よく考えてみ? よその国は電子書籍で一般書を読むんだぞ? 電子書籍の約90%が「漫画・コミックス」というだけでどれだけ日本って国は異常なのか分かってる? ということは日本は文化の多様性の構築に失敗し次に「大人文化」の構築に失敗し、学芸の構築に失敗した国なんだよ。特に小説って知的活動だから知的活動の敗北って意味にもなるよね。あと高齢者は出版市場から引くから今の出版市場が主流である60歳以下20代後半以上まで「大人」の構築に失敗したディストピア国家って事だよね。しかも「漫画・コミックス」市場2位のアメリカ合衆国を大きく引き離す結果にもなったって事だよ。あの世界最強のディズニーコンテンツを持ってる国すらも大きく引き離してる漫画市場だよ、この国は。いかに異常な国か。もう児童文学以外を売り込むこと自体が無理ゲーじゃねえのかな。


 そしてオリコンランキングで週の初動が4000部で2週目に2000部、3週目に1000部未満で初動月が1万部にも到達しない赤字すれすれか出版すればするほど赤字のラノベ本。翌月はたぶん100冊も売れない。何でこういった作品が10巻・20巻・30巻と続くんだろうか。たぶんだが「コミカライズ」が本業でラノベがおまけの「逆コミカライズ」で生き延びてる、つまりラノベの出版は「コスト」で最初から実質脚本家として君を自称物書きとして使っていて……実際に作品を売ってるのは漫画家だったというオチじゃねえのか? 

 もちろん赤字覚悟で売る出版物もある。大学の教科書で使う本(学術書)などの公益性の高い本。でもラノベは違うだろ? しかもこういった学術本って来年も再来年も授業で同じ本を使うから結局黒字なんじゃねえのか? 約10年間教科書として同じ本を売ったらたぶん黒字になる。学術書って価格も高いし。新書とかもそう。年1万部売り上げたらベストセラーの世界。なんで新書って多数の本が売ってるのだろう。結局図書館(特に大学図書館)などが買い支えてるしロングで売れるからだよね。でもラノベは違う。昔はラノベって発刊から数か月の間売れてたけどいまや月単位どころか週単位で発刊後の売上がほぼ完結する世界だ。つまり君のやっていることは実質「漫画脚本家」で君の作家人生は漫画家が握っていてそれでもフリーター並みの年収にしかならない印税収入だよ。20巻も売ってる人であってもね。20巻超も売っていてラノベ単体で累計発行部数が100万部すらも行かないラノベは特にそうだろう。

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