第34話 諍女(いさかいめ)
ガっビーン!!
アスタロト様に嫌われた。
こんなにアスタロト様に愛されているのに!
こんなにアスタロト様を愛しているのに!!
通じないないなんて、絶っっっっっっっっ対、イヤだー!!
そんなの嫌!
幸せになれるのに、相手を思いやるまり、不幸な選択をするなんて、イヤ!
そんなの悪魔のやることじゃない!!
らしくない!
悪魔は、おのれの欲望を満たすことが大前提にあるとアスタロト様の執務室に置いてあった『あなたも今日から悪魔!初心者のためのQ&A』に書いてあったもん!!!
なんで、そーなるの?
悪魔なのに!
侯爵の位まであるのに!
四大悪魔はそんなものなの!
わたしなら、天に召された瞬間、速攻、神様に転生をお願いしますよ。
今度こそ、れっきとした悪魔にしてくださいって!
「マリー、お前は、きっと天使になることを勧められるだろう。そうしたら、素直に神に従いなさい。悪魔に
はい!!
そこ!違うでしょ!!
アスタロト様、呆れちゃうわ。
天使になれとか違うから!
ていうか、神様ってずいぶんと強欲ですね。
慈悲の心とかないのかしら?
『人間の魂は神のもの、悪魔に魅入られても極上だったら神のもの』
そーゆーことですか?
ずいぶんと欲深いですね。
「唯一神は、自分以外を
ああ、なるほど!
でも、これもアスタロト様のあの蔵書の山の本から見ましたよ。
『唯一神VS多神教あなたはどっち!?』わたしなら、バラエティーにとんだアフタヌーンティーに出てくる3段トレイに盛られたお茶菓子や料理の数々みたいに色々選べたほうが嬉しいけど。
あっれ~?
まただだわ!?
さっきっから、おかしい、おかしいと思ってはいたんです。
わたしの声は、聞こえないハズなのに、アスタロト様との会話が成立してる?
「マリー、お前は、変な気はおこさず、我のことは忘れて、幸せになるんだぞ」
アスタロト様の満面の笑みを初めて見た。
屈託ない笑顔。
自然と涙が出た。
悲しすぎるよ、その笑顔。
わたしのために、自己犠牲もりもりの悪魔って……。
あなたこそ、やさしい悪魔じゃないですか!?
なによ、バカ。
イケメンのくせに、乙女心、ちっともわかってない。
「もう、マリーに置いていかれるのは、辛いんだ。だったら、君を送り出したい」
もう、ばかバカ馬鹿!
「君は、十分強いし自由だ、だから幸せになれるよマリー」
涙、止まらない。
笑うな!
悲しいよ。
……。
うん?
まてよ。
わたし、強いの?
「こんなに強い女は見たことない。千のデスループに耐えた精神力は脱帽ものだ」
せっ千回?すごくない!?
デスループ界に金字塔を打ち立てちゃった、もしかして?
「それに立ちむかい、自由を勝ち取ったんだ、本当にすごいことだ」
自由を自らの手で手に入れたのわたし?
「だから、変なところで、持ち前のユーモラスを発揮するなよ!?」
はい!
フラグ立ちました!!
アスタロト様さっきもおっしゃいましたよね、変な気をおこすなよって。
「……なんだか、さっきから、
無難な人生の選択を勧める親みたいな発言ですね。
アスタロト様は、悪魔なのに。
わたし、そーゆーの向いてない性格だって、タイムリープするたびに薄々、感づいちゃったんですよね~。
そっかぁ~。
わたし、強いのか~。
知ってる、魔王サタンは、もともとルシファーとい名前の天使だった。
アスタロト様の蔵書の本に書いてあった。
それからその本には、アスタロト様も堕天使だって書いてありました。
アスタロト様は、天使やめてるじゃん!
自分は、天使やめてるのに、わたしには、安全・安心・無難な天使を勧めるの?
なんか、それって……。
「……マリー、
こんなに不安そうな悪魔侯爵アスタロト様の声を聴いたことがるだろうか、いや、ない!!
「いいか、くれぐれも、変な気を起こすな。天使はいいぞ!神もいいヤツだ!安心しなさい!!」
そうですか。
そんなにアスタロト様がおっしゃるならば、愛するアスタロト様のご期待にそうべくわたし、天に召されてきますわ!!
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