カラスのつぶやき

とらまる

カラスのつぶやき

「おぉ、新入りか?」


「はい。よろしくお願いします」


「どこから来たんだ?」


「はい。隣のH市からです」


「H市か。

 あそこはこの辺では一番未来化が進んでいるんだよな」


「はい。そうなんです。

 もうこのような電柱や電線もありません」


「どこにやったんだ?」


「全部地中に埋められているみたいです」


「そうか。

 まぁこの町も徐々に電線の地中化は進んでいるよ。

 この一帯もいずれそうなるだろうな」


「そうかもしれませんね」


「ところで何故H市からここに来たんだ?」


「はい。もう食べ物がほとんど無いのです」


「そうか。あそこはロボットだらけだったからなぁ」


「そうなんです」


「この前ちょっと訪れたら街のど真ん中に長さ10メートルくらいかな?

 急速充電椅子が備え付けられていたな。

 そこにロボット達がズラリと座っていたのを見たよ」


「えぇ。もうそれがH市の日常です」


「味気ないよな。奴らは電気しか食わねぇ。

 俺達みたいに肉や魚とか食わねぇからな」


「えぇ。だからもうH市には住めない、と思って昨夜引っ越して来たんです」


「そうか。まぁこの町もいずれそうなっちまうだろうけど、まだ人間はいるみたいだ

 からな」


「人間、まだいますか?」


「まぁほとんど見掛けないけれどもな。ロボット達の奴隷として家の中にいるみたい

 だぜ」


「そうですか・・・」






「おっ。ロボットがいらなくなった人間をゴミ捨て場に捨てに来たぞ。

 おいおい、おっさんかよ。

 しかも洋服着けているじゃねぇか。

 あれじゃ食いにくいんだよな。

 裸にして捨ててもらいてぇもんだよな。

 まぁ、わがまま言えねぇか。

 食える物があるだけ有り難いってわけだな。

 さぁ、降りて一緒に朝飯、食おうぜ」



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