第四夜
広い土間の
爺さんは酒の加減でなかなか赤くなっている。そのうえ顔中つやつやして
「お爺さんは
「幾年か忘れたよ」と澄ましていた。神さんは拭いた手を、細い帯の間に
「お爺さんの
「
「どこへ行くかね」とまた聞いた。すると爺さんが、また茶碗のような大きなもので熱い酒をぐいと飲んでまえのような息をふうと吹いて、
「あっちへ行くよ」と言った。
「まっすぐかい」と神さんが聞いた時、ふうと吹いた息が、障子を通り越して柳の下を抜けて、
爺さんが表へ出た。自分もあとから出た。爺さんの腰に小さい
爺さんがまっすぐに柳の下まで来た。柳の下に子供が三、四人いた。爺さんは笑いながら腰から浅黄の
「今にその手拭が
子供は一生懸命に手拭を見ていた。自分も見ていた。
「見ておろう、見ておろう、
爺さんは笛をぴいぴい吹いた。そうして輪の上を何遍も回った。
やがて爺さんは笛をぴたりと
「こうしておくと、箱の中で蛇になる。今に見せてやる。今に見せてやる」と言いながら、爺さんがまっすぐに歩きだした。柳の下を抜けて、細い
「今になる、蛇になる、
きっとなる、笛が鳴る」
と
「深くなる、夜になる、
まっすぐになる」
と唄いながら、どこまでもまっすぐに歩いていった。そうして髯も顔も頭も
自分は爺さんが向こう岸へ上がった時に、蛇を見せるだろうと思って、
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