第4話
返せ、です。盗んだ物を返せって、水の中というか、口の中に
でもおかしいんです。後ろの男の人がヘビオのはずがないんです。だってヘビオはこれより前の電車に乗って行きましたから。もし次の駅で財布を落としたことに気づいて引き返しても、この電車が駅を出た時間に間に合うとは思えません。だから余計に不自然で、怖くて抵抗できなかったんです。周りの人も誰も気づいていないようでした。
幸いにも、それから数分後には
私の言っていること、分かりますか? 状況じゃなくて、私がこの話をした意味です。関係のない話をして
電車を降りたあとはそのまま、普段通りに高校へ向かいました。その間もなんとなく、周りの人から見られているような気がして落ち着きませんでした。でもこれは証拠がないので私の思い過ごしかもしれません。まだ雨が降っていたから傘で顔を隠して早足で歩き続けました。
高校に着いてからは、一時間目が終わったあとの休憩時間にトイレへ行きました。あのヘビオの財布をちゃんと確認するためです。電車内での出来事がやっぱり気になって、もしかすると場所の分かる発信器みたいな物が入っているんじゃないかと思ったんです。何か、ボタンとかコインみたいな形で電波が出るような……。そういうのもあるって、どこかで
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます