第2話
きょうの朝、私は7時25分に家を出ると、いつも通り高校へ通学するために駅へ向かいました。はい、朝の話です。この話はそこから説明しないと分かってはもらえないので。駅は、そうです。
それで、いつものように改札を抜けてホームに入って、電車の4両目が
その男の人はヘビオって、私が勝手に名づけて心の中で呼んでいました。だってヘビみたいに顔色が悪くてのっぺりしているし、髪もずっと濡れているようにベタッとしているし、スーツも黒くて陰気な感じがしていたので。それにいつも雨の日にだけ見かけるので、気持ち悪い人だなと思っていました。
いいえ、全然知らない人です。雨の日に見かけるのも、私が晴れや
きょうの朝もそうしてヘビオはベンチから立ち上がったのですが、その時私は、彼の足下に何か落ちたことに気づきました。初めはハンカチかパスケースかと思ったのですが、よく見たら黒い二つ折りの財布でした。それもヘビの皮……いえ、ワニ革みたいにひび割れた
私はベンチの前でその財布を拾いました。雨で湿っているせいか、手に貼り付くみたいにベタベタとしていたのを覚えています。拾わなきゃ良かったと思いましたが、考えるより先に体が動いていました。でもその時にはもうヘビオの乗った電車はドアを閉めて発車していました。
だから私は、その財布を自分の
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