第4話 酒場にて
その店の中は客で
「うわあ、
「特別な夜にふさわしい特別な料理ということか。うん、本当だ。美味い」
「ですが、ドレイク様、その特別な夜というのは、どうもきな臭いですね」
「というと」
「さっき、ひろしを門外に放り出しに行った時に小耳に挟んだのですがね、視察隊が来るって話、あれはどうも実質的には駐留軍のようですね。完全武装の師団が王都からやってくるみたいですよ」
「わざわざ王都から?」
「ええ。それに、気付いていますか」
「うむ。店の中や通りの連中だな」
「浪人風の
「この町に入る時も門周りの警備が随分と厳しかった。これは、何らかの外敵に備えているということか……」
「かもしれやせんね。この町そのものが王都防衛の
「ひろしは大丈夫なのか」
「ああ、大丈夫ですって。犬なんですから。町の娘からふんだくった下の肌着を咥えたまま、走っていきました。当分、町に入れないでしょうが、その方がここの住人には迷惑にならずに済みます。特に若い女には」
溜息を吐いたドレイクがフォークに刺した猪肉を口に運ぶと、背後で男の声がした。
「政府に雇われた傭兵は全員直ちに出動しろ! 門が破られた。敵がなだれ込んできている!」
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