愛染 #湯浅ありす


「上杉稀羅、あんたが三星にふさわしいかどうか、見極めてあげるわ! あたしと勝負しなさい!」



三星を好きな男子。

最初は、その程度だった。

バカみたいにまっすぐで、生意気で。

それでもどこか抜けていて、正直危なっかしささえあって。

何を言っても曲げない、その瞳からは強ささえ感じられた。

あたしにとってその強さは、少し羨ましかった。



「……でも、正直驚いたわ。あの子に直接じゃなくて、あたしに聞いてくるなんて。他の人達は怖がって近づこうともしないのに」



あたしが親しみやすい? かっこいい?

あいつは、あたしのことをちゃんと見てくれた。

誰もあたしのことなんて、見向きもしなかった。

気になんてしない、ただ距離を持って怖がるだけ。

ずっと一人で過ごしていたっていうのにー



「ま、まあ? 来てくれるって約束してくれるなら? あんたにだけ特別なアクセサリーを、作ってあげてもいい、けど……?」



出会ったのがもう少し早ければ、三星のことをもっと早く教えてあげれば。

……なんて、後悔。するわけないじゃない。

そんなのする暇があるくらいなら、あたしは戦う。

美少女読者モデルにも、クールなボーイッシュにも、妹系にも、負けてあげない。



「なんであんた敬語なのよ!!! 輝夜さんたちにはタメ語じゃない! 今度敬語使ったらただじゃ済まさないわよ! わかったわねうえす………き、稀羅!」



あたしはあたしのやり方で、

あんたを落としてみせる。

好きになるのが遅かったとか、そんなのどうだっていいわ。


他の誰でもない、あたしだけに夢中になるようにしてあげる。

覚悟しておきなさい、上杉稀羅!

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俺の隣はすでに決まっていたはずなのに。 ~Catch the Glittering stars☆彡~ Mimiru☆ @Mimiru_336

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