第7話 上官に恋人役を頼んだら……


 結局私は3曲踊ってしまった。

 心が疲弊する私にキラキラ笑顔を向けていくるルーフェイス。そのルーフェイスに手を取られ、壁際に連れてこられ、飲み物を手渡された。見た目はノンアルコールの果実水だ。少し甘い香りの中に、頭が痺れるような匂いが混じっている。


 匂いを嗅いだ私はその受け取った果実水を側にあった花瓶の中に流し込む。


「エミリア?」


 不思議そうに私を見るルーフェイスが持っている飲み物を奪い取り、匂いを嗅ぐ。アルコールの中に甘い痺れるような匂いが混じる。これも中身を花瓶の中に捨てる。


「エミリア。何がありました?」


 私に聞いてくるルーフェイスに手を上げて、少し黙っているように促した。そして、今まで諜報部が集めた情報を組み立てる。

 一ヶ月の間の情報が抜けているのが痛いけれど、ここ最近の王都の地下組織の動向から、私はてっきり『武王ライオネル』が動いていると思っていた。

 だけど、この分だと恐らく違う。『魔術師ファルコン』だ。元から王都に潜んでいた怪しいクスリを人々に流している人物だ。


 私は手に持っていた扇を広げ、ルーフェイスに話しかける。


「副部隊長。隊長に確認してください。この人員配置は『魔術師ファルコン』対策ですか?それにしてはお粗末ですねと」

「『魔術師ファルコン』?どこからそのような言葉が出てくのです?」


 ルーフェイスは冷たい笑みを浮かべて私と内緒話をするように顔を寄せてきた。


「裏組織の一角でした『女王ソフィア』が崩れたことで、色々水面下で動いています」

「その報告受けていませんが?」

「報告をまとめる前に副部隊長に連れ出されてしまいましたから」


 私は報告書を作る前に連れ出したルーフェイスが悪いと責任転嫁をする。だが、さらに笑みを深めたルーフェイスは低い声で言い放つ。


「その様な重要なことは口頭でもできたはずです」


 私はその言葉には答えず、一人の給仕に視線を向け、こちらに来るように促す。手にトレイを持ち、そのトレイの上には数種類の飲み物を乗せ、配っている男性だ。

 その男性はわかるかわからないかの微妙な加減で首を横に振る。


 私は手に持っていた扇を閉じ、左手の手のひらに打ち付ける。それにより諦めたようにこちらに足を進める私直属の部下。


「どのような飲み物がご希望ですか?」


 肩をビクビクさせて、注文を聞いてきたので、ルーフェイスを見上げる。その顔には綺麗な笑みが浮かんでいた。

 オカンが激おこだ。


「アルド様を案内してほしいわ。そこの料理が用意されているテーブルに……」


 その側にいる物欲しそうなオーラを出しながら、料理をガン見している近衛騎士の格好をしている部隊長のところに。


「か、かしこまりました。こちらです」


 私の部下の後に付いていっているけど、私を見てくるルーフェイスに手を振って送り出す。

 恐らく部隊長も諜報部からの情報から『武王ライオネル』が動いていると考えて、やる気満々の雰囲気を醸していたのだろう。それだと、この隊員の配置では後手に回ってしまう。



 私は気配を消して動き出す。先にお手洗いに行ってこよう。



 化粧室から出てきた私を待ち構えていた人物がいた。格好はここで給仕してる者の姿をしてる。


「あの……お連れの方が、お話があると言われておりまして、ご……ご案内いたします」


 蚊の鳴くような聞き取りにくい小さな声で両手を前で組みながら手を忙しなく動かし、落ち着きがない感じで女性が話しかけてきた。

 動いたか。


「そうですの?ではお願いします」


 私は首を横に傾けよくわからないけれど、付いていくという意志を示す。すると、『こちらです』と言いながら踵を返す女性の後に付いていくが、この女性は足音がしなかった。そして、手を前に持っていっていたのは広い肩幅を隠すためか。

 これはある種の人に受けそうだな。なんてくだらない事を考えていると、外に連れ出され、明かりの少ない庭に案内される。


「どこにいきますの?」


 私を人気のないところに連れて行こうとしているのか。


「直ぐにつきます。泉の側にある東屋でお待ちです」


 と言われても私はそんなものがあるかなんて知らないけれど。

 そして、生け垣の迷路を抜けた先には、月光を反射した泉がキラキラと輝いていた。うん。普通であればこのシチュエーションにドキドキするのだろうけど、そこに待ち受ける者は鬼なのか蛇なのか。



 これは本人が御登場だった。

 金髪まきまきの金色のドレスを着たヴァンウラガーノ公爵令嬢だった。


 そして、その背後にはこの場には似つかわしくない無頼漢ぶらいかんのような男たち。


「子爵令嬢如きが、ルーフェイス様の隣に侍るなど許しがたい蛮行ですわ!」


 まぁ、普通はその態度で合っている。私もそれを思って、ありえない恋人役を頼んだのだから。


「私、アルド様に呼ばれたはずですが?」


 首を傾げなから、聞いてみる。

 すると、金髪のドリルをふるふるさせて、ヴァンウラガーノ公爵令嬢は怒りを顕わにした。


「そのアルド様ってなんですの!ルーフェイス様の妻気取りですか!」


 いや、私もありえないと抵抗したけど、無駄に終わってしまったのだ。


「アルド様からその様に呼ぶように言われたのです。私も呼んで良いのか最初は戸惑いましたわ」


 私はそう答えながら片手を頬に置いて困ったように装う。


「でも、婚約者であるならいいと言われたのですもの」

「その婚約者であるのも今だけですわ!その場所は私が貰い受けます!」

「それは難しいのではないのでしょうか?」


 ヴァンウラガーノ公爵令嬢はルーフェイスに嫌われている自覚は無いようだ。まぁ、ずっと笑顔でいるルーフェイスも悪いけれど。


 すると、ヴァンウラガーノ公爵令嬢は不敵な笑みを浮かべて言い切った。


「先程口にしたモノがどんなものかご存知?」


 口にはせずに捨てた中身は知ってますよ。


「『狂香の夢』ですわ。強力な媚薬ですわ。貴女はここでこの者たちに遊ばれて純潔を散らせばよいのです。私は貴女の名でルーフェイス様を青鹿の間に呼び出していますので、貴女の代わりにあの方の妻になってさしあげますわ」


 ヴァンウラガーノ公爵令嬢はそれだけを言って去っていった。恐らく私に宣戦布告をしたかったのだろうか。それとも絶望させたかった?


 それはどうだろう?確かに『狂香の夢』は一部の貴族の者達の間で出回っている媚薬だ。それも使われたものは狂ってしまうという曰くつきの代物。


 だけど、身体に取り込まなければ意味がない。毒好きの同僚がこの『狂香の夢』を手に入れて、これを香に混ぜろよと言っていた。いや、それだと使った本人も狂うから駄目だったんだろう。


 そして、この場にいる男の娘と無頼漢の男5人。気をつけるのは、男の娘だけだ。


「あの、私戻りますね?」


 私が踵を返すと無頼漢の一人が私に触れようと手を伸ばしてきた。このまま私に近づかなければ、生きて帰れたのにね。私はクソ野郎には一切容赦はしない。


 伸ばしてきた手を切り飛ばす。私の手には赤い炎を固めた剣が握られていた。


「ウギャー!俺の手が!!」

「やっちまえ!」


 私が剣を持っていることに、焦った4人の無頼漢が襲ってきたが、そんな素人に毛が生えたようの者など、鎧袖一触だ。剣を振ってできた余波の風に胴と首が別れていく者。胴が切り刻まれる者。最後の者は怖気づき背を向けたところで、背中を袈裟斬りにする。


「やっぱいいなぁー」


 男の娘はニヤニヤと笑いながら、肉塊になった者たちを見ていた。


「その力いいなぁー。その金色の目玉をくり抜けば、僕も使えるかなぁー」


 そう、目の前の男の娘が『魔術師ファルコン』だ。噂では、かなりの老人だと聞いたが、何かしらのクスリを使って、若返っているのだろう。


「その金色の瞳。僕に頂戴?」

「お断りします」

「そうですよ。その瞳は私が独り占めすると決めていますから」


 ん?何?独り占めって?

 私は私の腰を抱えて引き寄せきた人物を仰ぎ見る。ルーフェイスだ。


「ああ、僕の為にお仲間を呼んできたのかぁ」


 そして、暗闇から次々と現れる第0部隊の者たち。別に私が呼んだわけではなくて、私に付いていた部下が隊長に連絡しただけだろう。


「う〜ん。結局、僕のクスリ飲んで無いみたいだし、分が悪そうだから、出直してくるよ」

「逃がすか!」


 近衛騎士の甲冑を着た者が男の娘に向かって剣を振り落としたが、その剣はファルコンを通り抜け、地面に突き刺さる。


「じゃぁねー。バイバーイ」


 ファルコンはそう言って幽霊のようにスーッと消えた。そう、そこには始めから居なかったように跡形もなく消えたのだ。


「幻影?」


 それにしては、この場に居たような存在感があった。何か別の……分身とか?


「エミリア。怪我はないですか?」

「こんな雑魚では怪我もしません」


 私の事を確認してきたが、そういえばヴァンウラガーノ公爵令嬢は何か言っていたよね。青鹿の間がどうとか。


「そう言えば、私の名で呼び出されませんでした?」

「ええ、エミリアが話があるから待っているという伝言を持ってきた者がいましたが、その直後にエミリアが敵の誘いに乗ったと報告がありましたので、隊長のケツを蹴飛ばして駆けつけたのですよ」


 部隊長。オカンから蹴られたのか。何勘違いしているのかと。その部隊長は部下にこの場の後始末を指示している。さて、私も後始末をしましょうか。


「アルド様、王太子殿下と話をすることはできます?第0部隊のフィアロッドとしてです」


 決して、ルーフェイスの婚約者としてではない。ここは公私混同してはいけない。それに、偽装なのに王太子に嘘の紹介をしてはいけない。


「いいでしょう。あと、エミリア。帽子が歪んでいますがら、直しておきましょう」


そう言って私の視界が開けていた左目にベールがかぶさってくる。そして、ルーフェイスは部隊長の方に向かって言い放った。


「部隊長!明日から死ぬほど働いてくださいよ」


 ルーフェイスのこの言葉から副部隊長である彼が居ない間、サボっていたのだろう。そして、私はルーフェイスにエスコートされて、来た道を戻っていく。ああ、いい加減に剣を消しておかないとね。




「お初にお目にかかります。第0部隊フィアロッド班長であります」


 私は王太子殿下の前でカーテシーではなく、騎士として敬礼する。


「ああ、ルーフェイスの婚約者の」


 そこ違う!なんで王太子殿下まで私の事を婚約者として認識しているわけ?


「ご老人方が可愛い孫自慢を父上の前でするものだから、ここ一ヶ月ほど私にも飛び火してきて困っているのだ」


 双子の兄弟の孫自慢が王族の方々に迷惑をかけていただなんて!誰かあの老人の張り合いに終止符を打ってよ!


「それは申し訳ありません」


 私は深々と頭を下げるしかない。そして、頭を上げて本題を王太子殿下に告げる。


「あのアルフォンスエスト王太子殿下はヴァンウラガーノ公爵令嬢の事をお好きですよね?」


 そう言って、私は同僚が作ったヤバいクスリが入った小瓶を差し出す。


「今回、ヴァンウラガーノ公爵令嬢は『魔導師ファルコン』に良いように使われていました。恐らくこの王城にファルコンを引き入れたのはヴァンウラガーノ公爵令嬢でしょう」

「それで、君は王族を脅すというのか?」


 私に王太子殿下の怒気が降り注ぐ。だけど、これはヴァンウラガーノ公爵令嬢を思っての怒りだ。


「これはいわゆる惚れ薬です。これを献上しますので、ヴァンウラガーノ公爵令嬢の暴走を抑えてもらえませんか?一部の貴族から裏組織に金が流れているのも事実ですが、貴族が、それも公爵の者が裏組織に支援しているとなれば、かなりの金が動いていると思います」

「ほぅ、君は国のためには公爵家の令嬢一人を悪い噂のある私に生け贄に出して構わないと?」


 うーん?私は利になる事を提案しているだけなのになぁ。仕方がないと、私はヤバいクスリを隠しポケットにしまう。

 え?なんでしまうのって顔するわけ?


「私の勘違いだったのですね。会場に入ってから王太子殿下はヴァンウラガーノ公爵令嬢しか見ていなかったので、てっきりお好きなのかと思ってしまいましたわ」


 失礼しましたと頭を下げて、王太子殿下の前から去ろうとすると、右腕が掴まれて引き止められた。


「そんなに私の行動はバレバレだったのか?」


 耳まで真っ赤になった王太子殿下に尋ねられたけれど、バレバレというかチラチラと鬱陶しいという感じだった。


「獲物の位置を確認している狩人という感じですか?」


 獲物との距離と周りの環境を確認し、いつ弓を引こうかと様子を伺っている感じだった。まだ、矢はつがえていない分、獲物を狙ってはいなかった。


 すると、王太子殿下はしゃがみ込んでしまった。よっぽど自分の行動を他人から聞かされて恥ずかしかったのだろう。


 私はポケットから再び小瓶を取り出して、王太子殿下に握らす。


「王太子殿下。ヴァンウラガーノ公爵令嬢は青鹿の間にいらっしゃいますよ」


 私がそう告げると、颯爽とこの場を去っていった。私はヤバいクスリを廃棄できたことにホッと溜息を吐く。


「エミリア。何故貴女が、惚れ薬なんて持っているのですかね?」


 私の背後からオカンが怒っている声が聞こえてきた。持っていると言うか回収したというか。


「あれはサイルが巷で噂になっている『狂香の夢』を手に入れて、解析した物を更にアレンジしたら、クスリを飲んだ後に初めて見たものを好きになるというヤバいクスリを作りあげたのですよ。それを踊り子のマリーちゃんに使うと言っていたので、ぶん殴って没収したものです。ですからあの1本しかありません」


 そんな恐ろしいものを、おいそれと放置できないので、常に持ち歩いていたのだ。


「サイル。毒使いのサイルか」


 ルーフェイスは理解してくれたらしい。いろんな毒の収集癖のあるサイルなら、怪しいクスリも作ってしまうと。


 そして、私は振り返って。ルーフェイスを仰ぎ見る。


「この一ヶ月間ありがとうございます。お陰で大団円で収まりました。明日から第0部隊のフィアロッド班長として頑張ります!」


 私はこの茶番劇に協力してくれた上官に敬礼をして、明日からは元の鞘に戻って仕事に戻る意志を示した。

 裏組織に多額の金を流していたヴァンウラガーノ公爵令嬢を王太子殿下にまかせておけば、管理してくれることだろう。

 といっても、裏組織としては微々たる金だろう。


「何を言っているのですか?王都に新しい屋敷を購入しましたので、一緒に暮らすことには変わりませんよ?」

「は?だって偽装……」


 新しい屋敷?何を言っているわけ?私が困惑の表情を浮かべていると、ルーフェイスに抱き寄せられた。


「婚約届にサインしましたよね?」

「しました」

「国王陛下がサインされたものを簡単に取り下げられると思っていますか?」

「思わないです……ん?あれ?ちょっと待ってください副部隊長!」

「アルドですよ」


 その名前呼びよりも大事な事は!これだと、フェンテヒュドール侯爵邸に連れてきたときから、私と本気で婚約することを承諾していたことになる。


「私が、恋人役を頼んだときには婚約なんて考えていませんでしたよね?」


 これは確実だ。あの時ルーフェイスは私に怒っていた。それにバカな私の再教育が最優先だったはず。


「ええ、正直ムカついていました」


 そうでしょうね。私も無理だと思って言っていたので。


「ですが、お祖父様に抱えられているエミリアを見て考えが変わりました」


 私が馬鹿じゃないというとこだね。


「私の心を鷲掴みにして離さない金色の瞳のエミリアを自分のものにしたいと」

「え?」

「貴女は悪意ある好意には敏感ですが、お祖父様は普通に接していたので、徐々に攻めていけば行けると確信していました」


 なに私の攻略法みたいな事を口にしているわけ?


「あとは強引に押せば貴女が根負けするとわかりましたしね」


 そうですよ。それは認めますよ。

 だから、前世でろくでなしの男にひっかかっていたのだ。それは生まれ変わっても変わらなかったので、人間関係が希薄な第0部隊がよかったのだ。


「ということで、今日から新築の屋敷になりますので、帰りましょうか」

「急!急過ぎます!せめて一度家に帰らせてください」

「大丈夫ですよ。エミリアの荷物は全部運び込むように指示してありますから」

「大丈夫じゃないです!」


 文句を言っている私をルーフェイスは更に抱き寄せ、軽く口付けをしてきた。


「エミリアと一緒に暮らせて、職場も同じなんて幸せですね」

「ぐふっ。私は鍵付きの部屋に引きこもります」


 上官に恋人役を頼んだら婚約者にされてしまった。私のお一人様の人生計画が破綻した瞬間だった。














一週間後の閑話


「たいちょー!ふくちょーがイジメるのですぅー」


 黒い騎士の隊服を身にまとった10代半ばと思える少女が、半身裸で腕立て伏せをしている男性がいる部屋に駆け込んできた。その少女の風貌は長い赤い前髪を横に流し右目を隠し、左目には斜めに被った黒い帽子が覆いその表情は口元でしか判断できない。


「お前ら仲がいいな」


 呆れた声で少女に言葉を返す男性は、腕立て伏せをし続けている。


「私のパラパラ漫画が描かれた報告書をビリビリに破ったんですぅー」


 報告書に落書きをすれば、破られて当たり前だと思うが、腕立て伏せをしていた男性はそれを聞いて慌てて立ち上がった。


「なんだと!この前の続きだよな!」

「そうなんですよー」


 盛り上がっている二人に冷たい声が突き刺さる。


「そこのバカ二人!何をしているのですか!」


 怒っている口調ではあるが、銀髪の青年は笑みを浮かべて騒いている二人を叱咤した。それに対して、腕立て伏せをしていた男性は腰に手を当てて堂々と言う。


「暇だから鍛えていた」

「暇でしたら、山のようになっている書類にサインをしてください」


 ますます、笑みを深める青年。その青年の横を気配を消して通り過ぎようとしている赤髪の少女は、青年に首根っこを掴まれてしまった。


「貴女はさっさと報告書を仕上げてしまうこと!わかりましたね」

「早く上げたくないですぅー」

「今日はマダムシェリーメイを呼んでいると言いましたよね?」


 マダムシェリーメイ。それは王都で一番人気のデザイナーのことだ。


「採寸は時間がかかるから嫌ですぅー。ドレスはお古でいいですぅー」


 拒否する赤髪の少女は首根っこを掴まれたまま引きずられている。そして、そのまま部屋を青年と共に出ていったのだ。


『アルドさまー。私実は歩けるのですよー』

『知っていますよ』


 そんな言葉が廊下から響いてきた。それを部屋の中で聞いていた男は腕を組んでフムと頷いている。


「昔から思っていたが、あいつら仲がいいな。第1師団長に報告しとくか、今日はウエディングドレスの採寸らしいっと」


 そう言って、男は隊服の上着を手にとって、後ろの窓から飛び降りていった。その隊服の色は黒ではなく白い色をしていたのだった。




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 数ある小説の中からこの作品を読んでいただきましてありがとうございます。


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 ここまで読んでいただきましてありがとうございました。


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上官に恋人役を頼んだら婚約届を渡された件 白雲八鈴 @hakumo-hatirin

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