1.配信アプリ 【ツギハギ】
カタカタカタ.........
【アプリ開発 チャットワーク】
剛力:お疲れ様です。頼まれていた、プログラミングが出来ました。ご確認の程よろしくお願い致します。
社員1:えっΣ(゚д゚;) フランケンさんもう終わったんですか? まだ30分しか経ってないのに💦
社員2: フランケン君は本当に仕事が早いね!
井原:剛力さんは仕事が早いのに丁寧で、取引先の方がいつも褒めてます。いつもありがとうございます!
剛力:こちらこそありがとうございます。
井原: 確認しました。みんなも剛力さんを見習って頑張りましょう!
社員1:はい!部長了解です!
社員2:承知致しました。
現在俺は、アプリ制作会社GReeN Monsterのプログラマーとして働いている。
出社は、月に2~3回しかなくプログラマーという仕事のおかげで、会話は全部チャットワークで済むから、俺にとってとてもいい環境だ!
この会社を勧めてくれたのも、大親友の武尊だった。
武尊の家は、うちの寺のすぐ横で幼稚園の頃から常に一緒だった。
武尊は他の人みたいに俺の顔や声で一切態度が変わらない唯一無二の存在だ。
俺が、人前で話せなくなってからは武尊がずっと通訳の役割をしてくれていた。
33歳の誕生日。
武尊からお祝いだからという理由で、外食に誘われた。
「誕生日なんだから、たまには外で飯食おうぜ!」
「う、うん。わかった」
祝ってくれるという事だったので、あまり気は進まなかったが、外食することになった。
「今日は、羅漢が好きな焼肉を予約したんだ!」
「マジ!ありがとう!大和課長ゴチになります笑」
と2人で喋りながら歩いていた。
道行く人が振り返る...
武尊は、身長も高く、誰が見てもイケメン!見た目も若い。
その隣には、フランケンシュタインという怪物のような顔でだいぶ老けた小太りの男が一緒に歩いてるんだから周りもみるんだろう。
道行く2人組の女の子が
「あの人めっちゃカッコよくない? えっ今喋ったの隣のフランケン?」「あの顔で、あの声とかありえない!はぁ〜😩💨」
いつもの反応だ。
「でもあの人かっこいいからちょっと声掛けてみようよ〜︎💕︎︎」
「あのぉすみませ〜んお兄さんお時間あったら3人で遊びません?」と小柄で20代前半のカースト上位に入るような女の子2人が武尊に寄ってきた。
「あっごめんね😊 俺ブスのお子ちゃまとは遊ばないんだ😊 羅漢行くぞ!」
ぽかんと口を開けたまま固まってる2人を横目に歩き続ける武尊。
「今日の店は、お前の好きな牛タンがめっちゃ美味い店なんだよ😊好きなだけ食べて飲もうぜ!」
何もなかったように武尊は楽しそうに店の紹介をしてくれた。
武尊が予約してくれた店は、完全個室のパネル式注文のお店だった。
高そうなお肉とビールが届く。
「カンパーイ🍻」
(/◎\)ゴクゴクッ…(*>∀<*)プハー
「やっぱりビールは最高だな」
個室という事で、気兼ねなく話せる為、俺はテンションが上がっていた。
「お前昔からビール好きだもんな」
「ビールしか勝たん」
2人は、何気ない会話をしながら楽しい時間を過ごしていた。
食べ始めて、1時間した頃に、
「これ、誕生日プレゼント🎉」
「ありがとう!開けてみてもいい?」
「良いよ!」
プレゼントの中身は、配信用マイクとコンテンツクリエイターと書いてある色んなボタンがついてる機材だった。
「これって?」
「お前ってさ、俺としかこうやって話せないじゃん?他の人とも会話出来たらいいのにって思ってさ!この前仕事のファイルみてたら、初めて俺と羅漢で担当した、ツギハギってアプリをみて、これなら羅漢でもできるんじゃないかなって思って機材買っちゃった!(ノ≧ڡ≦)☆」
武尊は、おちゃらけて話していた。
今の会社に入って半年がたった頃、やっとお互い独り立ちした時で、武尊が初めて営業先の担当に認められて取ってきた仕事が、この配信アプリ【ツギハギ】だった。
この配信アプリは、アバターと呼ばれるキャラが動いて、こちらの表情や身振り手振りに合わせて口や身体が動いて、観てくれてる人のコメントに合わせてコミュニケーションアプリだ。
このアプリ担当は、営業マンの武尊とプログラマーの俺の2人だけだった。
アプリ開発には、基本的にかなりの制作費がかかるのだが、依頼主はベンチャー企業で投資金が少なく、新規事業ということでこちらの諸事情もよく分かってない事もあり当時の上司が、
「ろくな利益にもならないアプリなんかに、人員をさくことは出来ない!お前ら2人でどうにか対応しろ!」と無謀と言える指示を受けた。
同時期に大手企業から大ヒットアニメのゲームアプリ開発の依頼があり、相当な利益が会社に入るので会社として一大プロジェクトになっていた。ほとんどの人員がそちらに流れてしまった。
依頼内容
1、他では味わえないアバター配信アプリ
2、アバターが他社とは絶対被らない内容で子供から大人が楽しめる可愛いキャラクター
3、常に利益が取れる仕組み
4、期限は半年以内
こんな感じのざっくりした依頼だった。
通常なら2人で半年以内にどうにかなんて、出来る訳がないが、武尊&羅漢は天才かつ負けず嫌いの性格だった為、ちょっと本気を出したので要望以上の出来になってしまった‼️
「あの時バカ上司のせいで、俺ら2人でやることになったけど、羅漢神がかってたよな!ツギハギの担当者さん羅漢が凄すぎて泣いて感謝してたもんな笑」
「アイツには腹が立ったからね!そういう武尊こそ普段やる気なさそうなのにマジな顔でやってたじゃん!武尊がいなかったらあそこまでのアプリは出来なかったよ!1週間ずつの細かいスケジュール管理とか大量のマーケティングデータをあんな短期間で用意出来るのは武尊ぐらいだよ!」
武尊はまず依頼内容に沿って、半年後までのスケジュールを1週間ずつ細かく分けてスケジュール管理をした。学生時代に培った人脈を駆使し、2000人のアプリ配信者への意見や要望を集めて、毎日のように戦略を考えて、司令塔として動いてくれた。
羅漢は、アプリに関わる全てのプログラミングとアプリで使用するアバターの作成を担当した。学生時代には全国プログラミング大会で1位になる実力で、自作AIや自作ゲーム・アプリを中学生の頃から作っちゃうぐらいの天才だった。今まで自分で作ったものを全部投入して作り上げた。
出来上がった内容は、
世界で一つだけのアバターが出来るように何万通りのパーツを用意した。最初に携帯カメラで自分の写真を取り、20種類の性格診断をすると自分に似ている可愛いアバターが出来上がる。性格診断と元々の顔によっては、人間意外の存在にもなるのでそれも個性があって楽しめる。
アバターが出来た後は、そのアバターの着せ替えができるように、様々な洋服類も用意した。
着せ替え用の洋服は、配信時のポイントや現金で買えるため、無課金でも楽しめる仕組みになっている。
他と違う配信アプリにしたいと言う事だったので、全部のアバターに羅漢が作ったAI機能をつけてアバターとの会話も楽しめたり、配信先もツギハギタウンっていう仮想空間に街を作って様々なシチュエーションでの配信が楽しめるようにした。
配信をみに行くときは、そのアバターの近くに寄っていけば誰でも配信をみて参加する事が出来て、大手配信になるとレンタルで大きなホールを借りたり、ネット配信としてスタジオを借りてアバターに持たせているスマホから参加することが出来るようにした。
「俺だって初めての依頼なのにあんな言われ方して、ついつい本気出しちゃったꉂ🤣w𐤔そういえば今日のニュースで、ツギハギが登録者数が史上最多の1000万人突破したらしいぞ!ベンチャー企業で人数少なかった会社が、今や大企業になってうちの得意先だもんな!」
「このアプリの生みの親の俺らがアプリを使わないのはアプリが可哀想だろ??顔出ししなくていいし、全部アバターが喋ってくれるから羅漢には丁度いいからやろうぜ!」
スマホ画面をナデナデ(。・ω・)ノ゙しながらツギハギのアプリのマイページをみせて勧めてきた。
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