こんな僕を見つけて

空の蛇

1章 扉の外

エピローグ


夢を見る…。

底の見えない海の底に一人の少女が泣いている。

助けようと一歩踏み出すが何かが足にまとわりつく。

その先は覚えていない。

ただ、自分の世界がちっぽけに感じるほど

あの「世界」はとても美しく感じた。


1話 扉の外


ふと、目を覚ます。毎日のように夢を見る。

「・・・。また、あの夢か」と憂鬱にため息交じりに言う。

「何してんの京治?早くしたくしなさい」

「分かったよ母さん。」と答えて登校の支度をする。

その先は常日頃の変わらない毎日が待っている。

変わらない通学路に満員の電車に乗り、真面目に勉強をして親の機嫌をとる極一般的な高校生の生活をしている。今日も同じように当たり前の毎日を送ると思っていた。

そんなことを考えて歩いていると学校に着いてしまっていた。

「おはよう。京治」と声をかけてきたのは橋田潤貴。

スポーツはできるが勉強が苦手な生粋の脳筋である。

「おう。おはよう。何だかやけに眠そうだな」と目の下がクマだらけの潤貴に向かって言う。

「いやお前今日は特別学力考査だぞ?」

「そう言えばそんなことを担任の神田が言っていたよな気もするな・・。」

うちに高校は都内でも有数の進学校なだけに模試も比較的に多い。

そのせいか俺はすっかり考査のことを忘れてしまっていた。

「良いよなお前は余裕そうで」

「まぁ実際余裕だしな。」と俺は気持ちのない言葉を言った。

[クッソ~。全国1位の奴の余裕はちがうな。」と皮肉を垂れてきた。

そして、言い返そうとした瞬間に「汝が望むは何か?」と女の声が頭に響く。

「かっ・・・・・・・」と頭を抱え込むほどの頭痛に襲われた。

「おいっ!大丈夫か?今先生を呼んできてやる。」と潤貴の言葉を最後に俺は意識を失ってしまった。

気が付くと学校の保健室に居た。時計を見ると12時を過ぎていた。

「これはテストはもう無理か」と悟ると早々に早退の手続きをして高校を後にして

自宅までの帰路に向かう。その途中で奇妙な女の声がまた聞こえる。

「汝の欲はなにか?」と廃ビルの方から聞こえたように感じた。

声が聞こえる方向へと歩いていくと歪な形の扉があった。

「こんな扉見たこともないが、一体?」そのあとは己が知的好奇心に任せるまま

扉を開けた。














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