ぎゃくる

イタチ

第1話

 またお前は勉強して


私は顔を上げて考える

ぼうぼうの髪をえ好き放題に伸ばし

無精髭

目は爛々と輝き

フクロウというよりも鷹の様に鋭い

口もいやらしく歪み

銀歯がぎらりと滲んでいる

そんな父上を前に私は

算数のドリルを続けている

暗い室内

畳ばりの居間に寝転んで続ける宿題を前に

父親はかんかんと言った態度で私を見たが

不意にそれもどうでも良いことだとでもいう様に

 

 お前のことは諦めた しかし お前は我が家の血を色濃く残しているはずだ

それはそれは 楽しみだ


そう言い残し

私は その存在を忘れるかの様に六角鉛筆を 握りしめた






校内に入ると 叫び声や雄叫び

目つきの悪い子供 上級生や下級生

宿題を提出しようにも雑踏過ぎて前の黒板マフで行くことも

一苦労である

私は仕方なく

諦め

ため息を一つつくと

窓の外から手元へと視線を向け

本を取り出すと

読み始める

雑踏は波の様に意味をなくし

ただ無意味の中に有限の自由がおとづれる


 ではホームルームを適当に始める


前の机で教師が茶色いアルコール瓶を持ちながら適当に

出席簿を前の席に椅子から投げると


 休んでいる奴がいる奴は手を上げろ


そいつはそう大声をあげて

確認する

誰一人として

休んでいようが手を上げることはなく

また そう呼びかけるやつは

それすら振り向かずに

棒線を雑に引いて

前に投げ返す


 じゃ 以上


教師は口を一つつくと

そのまま 机に突っ伏す

私はその全てを本の影から耳を澄ませていた







 しかし マリアナ公共で殺人があったらしいけど

僕の推測だと 隣町の監督が怪しいと踏んでいるんだ


私は授業が終わり

三冊目の本を机に置き

図書館へと向かおうとした時

前の席でたわいもない噂話を聞いていた


 でも 私の推理だと あの警察署長と駅長が怪しいと思うのよ


 二人はずるじゃないかな 推理は一つに絞った方が


 何言ってるの 共犯よ共犯 そんなこともわからないなんて 金魚以下ね フンよフン


私は夕暮れの教室を出て

図書室へと向かう

誰もいないグラウンドを窓辺に

3階の 図書室に行くと 人が絨毯で倒れている

真っ赤なシミが

辺りに広がり

どうやら 隔週3日くる司書さんの様であるが

私はその四角い眼鏡を踏まない様に

歩き避けると

目ぼしい 目辺りをつけていた

本を一冊取り

カウンターで適当に 処理を済ませてハンコと書き込みをして

部屋を出る

時刻は5時を過ぎようといている

どこかで

パトカーのサイレンの音がする

騒がしい

なんと雑踏で華々しく

うるさい物だろうか

本の入ったランドセルを背負い

玄関を出ると

黒くきつい制服を着た大人達が校内に入っていく

私はその音を

本の中から聞いて歩いていく

辺りにはススキが揺れ

その音の中で私は文字を泳がせていた

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ぎゃくる イタチ @zzed9

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