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廊下からこぼれる明かりが、床を、虹色に、揺らしていた
走り回る喧騒の中
私は、四角い机の上、そのまどろみの頬を押し付ける
騒がしさの規律の中
私の意識は、四角い木の板の上で、何とも言えないような、答えを、得ては、沈んではを、繰り返してい
意識の手放しを、繰り返しているうちに、その板を、奪われる魔法の呪文のように
「起立」
と言う言葉が、私の耳の中を、震わせた
ただ、それだけの言葉で、私は、仕方なく、起き上がると、その奴隷制度にも似た、魔法の言葉の意味を、反射的に、理解して、それにならって、動いている
それは、周りの人間が、同じ行動をしているから、それをまねて、動いたのか、それとも、私が、それを、理解していたのか、その理解度は、どの程度だったか、まどろみのビート版を、奪われた
今の私には、特に意味を満たさない、そんな状況下で、あることは、間違いないだろう
わたしが、ぼやけた視界を、ピンともあわさず、なおかつ、撮る気もない、カメラのレンズを、教壇の指導者へと、その背後の知識を灰にして、白く脱色した、処刑場の森へと、向かわす
そこには、大看板に、今日の題名と、攻めるべき、城の内情が、書かれた青写真が、緑の上に、白く塗り固められていた
私は、その内情が、消される前に、黒くくすぶった心情を、白い
嘘の上に、まるで、炭鉱夫の怨念のような、黒い鉛筆を、走らせて、呪いの知識を、広げていくのである、数ある、生贄の儀式の中で、私はこの知識の牢獄と言うか魔方陣のさなか
まるで、狂信的な信徒のように、信じて疑わないどころか、覚えることで、一生懸命で、それに疑いすらも、いや、最近の若者のように、宗教するら興味を示さないように
学びとは、疑念だ
どんなものでも、技術を、得た後は、それを、変化させる
しかし、宗教と言うのは、その変質さを、嫌う傾向がある
そのまま、もしくは、それを頂点とする
キリスト教の中から、学問が生まれたように
どれだけ、夢物語でも、その発足は、夢では無かったり、夢を追う人間でさえ
いや、形がないからこそ、それを、系統づけた場合
もしくは、それを、偶像化するとき、それは、形ない物だから、酷く、複雑化し
それは、結局は、口伝ですらも、言葉にできず
そして、限りなく、近づくことはあっても、それは、それに実際にあったものとは比べ物にならない
絶対的、それこそ、安全地帯の中のまどろみ程の布団があるのだ
私は、授業の意味を、考えながら、一人で勉強したときと、こうして、オウムのように繰り返される実験場を、見るのと、どちらが重要かを考えているうちに、給食を知らせる
ただ一度にして、全て同じであり
一年でなる回数を、決められたチャイムが、なる
それを、また、操り人形の高等化したものみたいに、音を理解し、それに従うように、前の男が、それに従った
時計は、五分ずれている
それに気が付いている人間は、このクラスで、半分ほどだろうが
それに対しての、行動を、私は、観察するべきであろうか。
席に着席した後には、繰り返される予習の嵐の中
その教科書の内容以上のことが何一つ起こらない
強制の流れを、私は、浮き輪の中で流れるように、一人、机にしがみつくように、浮いていた
時間は、想定通り、鳴り響き
私は、教室を出る
きっと、あのままあそこにいれば、そのうち、空気の圧力が、私の中で膨張を、起こし
教室一面に、破裂していたことであろう
私は、クールダウンを兼ねて、人のいない
離れた校舎の階段の下で、死にそうな兵士のように、じっと固まって、動かなくなってしまった
もう、十五分くらいたっただろうか
私は、学校を、出るために、人の流れが落ち着いた、時間を、見計らって、下校するために、裏口の校舎の玄関へと向かう
どんどん辺りは、日が差さないために、暗くなり、私は、日傘もさしていないのに、やけに、日光の当たらない
そんな場所を、過ぎて、一人、コンクリートの道を、歩いて行った
日光は、辺りを、照りつけているが、今度は、コンクリートの墓所とは違い
鉱物ではなく、木が、道路の左右で、今にも、道を、無きものとせんとするように
上から、覆いかぶさり、地面を、踏まれ、苦痛に窒息するさなかにも、時間的、攻撃を、仕掛けているに違いないのであった
私は、絶望のふらつきから、よろよろと靴を、地面に、擦りながら、帰り道を、歩行した
周りに生徒はいない
勉強もせず、そして、何かするわけでもない無意味な時間の無さは、まさに、ミヒャエルエンデの
モモの世界を、言い表せているが、その抗いは、決して、電脳世界にはなく
そこら辺の職人の手にしかないと言うのであれば、実に、妙な話である
幸福の数値化を、失敗した現代において、神経ばかりが、すり減らした、不健康体の人類に、果たして、未来は、待ち受けているのだろうか
まるで、そのうち、どんな人間も殺してしまうウイルスのように
我々人類は、その存在自体が、全てを駄目にした毒のように
または、定められた、既定のように
それは、滅びの一途を、宿主を、殺す、寄生虫のように
暴利を貪るあまり
栄養を、吸いすぎた、寄生植物のように
それは、必然的に・・・・
目の前の赤い郵便ポストが、目の前を、横切る
繰り返される毎日において、私は、異常な日常の中を
一人歩いているような気がするが、これは、全くの異常ではなく、ごく一般的なこととして受け入れられている
わたしの地面は、私の地面ではない
土地は誰かのものかもしれないが
その地面だって、流されてしまえば、分からなくなる
地面が、谷ほどにも、広がれば、そこには、人間の価値観など皆無である
私は、信号の前で、立ち止まる
車が行き来しているが、いつ死んでもおかしくない
それは、死の行軍に、見えて仕方がない
果たして、彼らは、それに見合う、何を得て、何を、奪っているかを、知って居るのだろうか
私は、足を進ませる
信号は、青を、示しているが、私は、左右を、見て、また足を前に進める
特に何もない、日常であるが、私は、どうしようもなく、膨れた思想の中
その行き詰まりの最中の中を、鋏で、ゆっくりと進むような、速度でしか歩けてはいない
周りの人間はそれを無視して、横を歩いているが・・・
家に着くと、暗い部屋
悪臭が、辺りを立ち込めている
この部屋には、ゴミなど何一つない
まるで、そこら辺の家具屋のプラモデルのような部屋と言っても、差支えないが
私は、そのくらいおもちゃ箱の中で
一人、布団に、座る
先ほど、押し入れから取り出した、敷布団に、白いシーツをかぶせ
それを、畳の上に、載せて、座っている
周りには、だれも居ない
一人だけのはずであるが、何だろうか
どこかで、気配のようなものを、感じるが、もちろんこの場所に、私は一人しかいない
私以外に、ここには、だれも居ない
今日私は、何かを喋っただろうか、何一つ喋っていない気がする
ただ、部屋の中からは、何か、声のようなものが、漏れ出している気がする
この部屋には、この家には、だれも居ない
まるで、鞄の中から、声が聞こえる
阿部公房の話の様ではないか
私は、この暗い家の中
その声を、探してみたが、結局、声の正体は、分からない
水道は、しまっている、ブレーカーを、落としてみても、音は相変わらず、なり続け
ネズミの可能性も考えたが
その音は、天井でもなければ、床でもない
以前聞いたその音とは、余りにもかけ離れている
私は、一人、部屋の中
誰にも、離されることなく、無音のなか
何かの声だけを、聞いていた

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