第一ノ三 ね?
「この町だけなのかな? こんな状態は?」
視線を上げ、
「情報がほしいとこだな。携帯は……やっぱ圏外か」
「そうだ、思い出したぜ。お前の部屋……、違う。お前の部屋には相応しくない物置きみたいなとこに、確か」
ギシギシと古い廊下を歩いて
そこは掃除が行き届いていないどころか、されていなく、湿って蜘蛛の巣や埃だらけの寝室とは呼べない畳部屋。
その押し入れを
「お? あったあった」
「動いてくれよー」
それを畳の上に置くと、つまみを回し始めた。ザザッ、ジジッ、という音ばかりで、何かが聞こえてくる気配はない。
「ダメか」
諦めて、部屋を出ようとした時、
【マ……、マサ、チカ、ホウジンマサチカ】
「お
「——……」
ラジオから、機械音のようで、くぐもった響くような甲高い声が、
呼ばれたことで、
【キミ、キミ、ハ、ボクタチ、ニ、ワレワレ、ニ、イカサレテ、イル】
「…………」
【キミ、ノ、イマ、ハ、ワレワレ、ニヨル、モノ、ダ】
「…………」
【ソノ、コトニ、カンシャ、シ、イマヲ——】
不気味な声がまだ話している途中で、
「ふんっ!」
庭の方へ殴り飛ばした。
「なっ、何してるのお
「だってよ、気持ち
「でも、大事な情報だったかもしれないのに……」
「大事な情報でも、あんな気持ち悪い奴からのはいらん。あー、なんか無性に腹が立ってきた。ちょっとそこらの化け物花を狩ってくんわ」
そう言って背を向け歩き出した
「え……」
白いハットを被っているのを見た。
だが、目を擦り、瞬きを繰り返すと、いつもの黒い短髪だった。
(……疲れていたのかな)
咲は、そう思おうとしたが、何故かあのラジオの言葉が引っかかっていた。
【キミ、キミ、ハ、ボクタチ、ニ、ワレワレ、ニ、イカサレテ、イル】
“生かされている”。
確かに、愛する人は、生きている。でも、それが、不安だった。
もし、本当に、誰かにより、
——ニンゲン、ノ、イマ、ヲ、シッカリ、ト、カミ、シメ、ルンダ。ね?
— — — —
あとがき。
神なのか、何なのか。
あ、表紙的なものを作ってみました。
こちらよりよければ↓(近況ノートに飛びます)
https://kakuyomu.jp/users/michishirube/news/16817330661130612972
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