day2.おにいちゃんは科学オタク?

 今日は勉強を教えるという名目で正愛まさちかさきを連れ出していた。

 勉強を教える。現役大学生にそう言われれば、けだもの共は渋々頷くしかなかった。


 アイスを買った日のように、二人は手を繋ぎ、図書館に向かっていた。


「見たかよ! あいつらの残念そうな顔! ざまぁみろってんだ! 俺がいる限り、早々好きにはさせねぇ!」


「……うん」


「でも寝ずに引っ付いてるわけにはいかねぇからなぁ。最近はあいつら悪知恵を働かせて、夜這いしてくんだって?」


「……うん」


 咲はきゅっと握る手に力を込めた。


「本当に吐き気がすんな! 反吐が出るってこういうことを言うんだろうな! マジで消えてほしいぜ!」


 正愛まさちかは天を仰ぎ、遥か上で燦々さんさんと照らす太陽を見た。


「——なぁ、咲。知ってるか? 太陽って燃えてるわけじゃないんだぜ?」


 見上げた体勢のまま咲を見つめた。


「もえてないの? でも、熱そうだよ?」


 咲も太陽を眩しそうに見上げた。


「科研、あ、科学研究サークルの奴らが言っていたんだけどさ。太陽の表面温度はおよそ6000℃。さらに中心部の温度となると、約1500万℃という超高温の状態を保っているんだってよ」


「やっぱりもえてるんじゃ……」


「そう思うよな。太陽はものすごい勢いで燃えているんだろうって」


「うん」


「でも、燃えてねーんだなー。太陽の周りの宇宙空間には、物が燃えるのに欠かせない酸素が、ほとんど存在していねぇから」


「さんそがないともえないんだ」


「そういうこと」


「もえてると思ってたから、水をかければなくなるんだと思ってた」


「水! そこはいい注目ポイントだ!」


「わっ!」


 正愛まさちかはしゃがむと咲の足首を持ち肩車した。


「水の剣で真っ二つにできるかもしれないんだってよ!」


 目を輝かせ楽しそうに話す正愛まさちかを見て、咲も何だか嬉しくなり前のめりになった。


「水のけん?」


「そう! 大量の水をな! ウォータージェットみたいに超高速で当てる! すると、こうスパン! と、スイカ割りみたいに真っ二つにできるかもしれないって話だ!」


「太陽を真っ二つ……、すごいね」


 咲は手で目の上をかざし、見上げた。


「だろ!? でもなー、残念なことに太陽の活動が止まってしまうと、地球を含む太陽系の星々は光と熱を失う事になり、死の世界となっちまうんだなー」


「……意味ないじゃん」


「それを言ったらおしまいだぜー」


「でも……」


「ん?」


「わくわくした。もっと聞きたい」


「ふっふっふー。まだまだあるぜー? 意味ないけど聞いて損しない豆知識ー。図書館に着くまでに色々話してやるな」


「——うん!」







「……そういえば、おにいちゃん」


「何だー?」


「……さっき、私のスカートの中、見た?」


「——いんやぁ? 見てないぞぉ? お前の可愛い苺パンツなんて見てないぞー?」


「——おにいちゃんのバカー!」



 ⌘ ⌘ ⌘


 あとがき。


 最後に変態ものぶっ込んですいません(笑)苺大好き咲ちゃんを伝えたかったのです。


 えーと、正愛まさちかは気さくで話しやすいので、年齢男女問わずたくさん友人がいます。

 そんな中の一人が科研の友人。


 咲はたくさんの人がいる環境に馴染めない子なので、この先、学校とかも無理なんじゃないか。そう思い、正愛まさちかは色んな友人から話を聞いて、咲に聞かせていました。


 そして、この頃から肩車していたので、八尺の高さでされても、怖がらなかった。という感じです。

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