第20花 正愛
歩く
そこには、確かにシトだが、人らしからぬ白さではなく、人間らしい肌色を取り戻し、濁って揺らいでいるような、怪しい黒い瞳ではなく、しっかりと瞳孔がわかる瞳の。
「うおおおぉぉぉ!」
シトで従兄妹の男は、雄叫びを上げながら、咲の足に絡みついていた根を引き千切り、咲を脇に抱えると。
「おらぁ!」
迫り来る波を、蔓を掴み、人間技とは思えない怪力で引き千切り、投げ飛ばした。
そして、血だらけの手で咲をそっと下ろした。
「……お従兄ちゃん? 本当に
咲は、シトであり
「ああ、そうだ」
目を細め、優しく穏やかな声で言った。
「——お従兄ちゃん!」
咲は
「咲……、思い出せてよかった!」
強く、互いの存在を確かめ合った。
ここで、二つの疑問が生じる。
咲は何故、
それは、確かに、
時は、
— — — —
あとがき。
次回、新章にて最終章になるといいな、な章です(なるといいなって何だ)
それにしても、シトが
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