スワロウ

@tatunari0000

プロローグ

 雲は道を開けて眼の前は蒼くそまる。

 

 彼女は機体の翼が震えるのを操縦桿から感じ取った。彼女のきゃしゃな腕は必死に揺れに耐え続け、足までもが震えてビートを刻む。そのリズムが変わらないようにと彼女は願いながら操縦桿を引く。耳にはプロペラの吠える音が刺さるが無視してゆっくりと瞳を閉じた。

  



     すると空は彼女を見て微笑んだ。 


 

 これが彼女の初めての空だった。

 機体を回転させて、空に背面を向けると頭上にフタロブルーの海が広がった。陽の光が反射して時折ブルーの間に黄金がちらつく。この景色が彼女の18歳のプレゼントになった。

 


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